Updated: Tokyo  2015/12/17 11:10  |  New York  2015/12/16 21:10  |  London  2015/12/17 02:10
 

サード・アベニューをBNPやベアー・スターンズと同列に語るな-今は

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    (ブルームバーグ):市場は先週、2007年を追体験をした。サード・アベニュー・マネジメントとストーン・ライオン・キャピタル・パートナーズのファンドが、大量の資金返還請求に応じきれず払い戻しを停止した。

07年にはベアー・スターンズとBNPパリバがファンドの償還を停止した。これはその後2年に起こった大手金融機関の流動性危機と世界的な経済危機の先駆けだった。

しかし今回について、トレーダーやアナリストは少なくとも今のところ、次の金融危機の前兆ではないと言う。KBWの銀行アナリスト、フレッド・キャノン氏は「システム全体へのリスクがあるとは思わない」と述べた。

危機後に導入された金融規制改革法(ドッド・フランク法)のおかげで銀行の資本は厚くなり、バランスシート上に抱える取引しにくい証券は激減した。また、高利回り債の下落によって大きな影響を受ける銀行はないと市場参加者らは指摘する。

ウォール街の5大銀行のトレーディング勘定にあるレベル3資産(流動性が低く価格評価が難しい資産)の合計は9月末時点で67億ドル(約8170億円)。これに対し、普通株自己資本は8030億ドル。07年末にはリーマン・ブラザーズ・ホールディングス1社でレベル3資産が252億ドルと、自己資本の214億ドルを上回っていた。

また、銀行はバランスシート上に持つ社債を減らし続けている。5大銀は1-9月に保有社債の20%以上に相当する270億ドル分を減らした。銀行が取引相手にならないため社債の売買がしにくくなったという声はあるものの、銀行のエクスポージャーは小さくなっている。

そういうわけで、マン・グループのGLG部門の債券ファンド運用者、ジョン・モービー氏はこのところの波乱について「皆が恐れていたシステム全体での巻き戻しではない」と話す。その上で「私の見方では、それが起きるのは今から6カ月か1年後だ。その時はもっと大きなファンドの閉鎖が引き金になるだろう」と付け加えた。

そういえば、ベアー・スターンズの事実上の破綻は2つのファンド閉鎖から約1年後だった。

原題:Why High-Yield Debt Selloff Isn’t 2007 Over Again. Or Is It? (1)(抜粋)

記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Michael J. Moore mmoore55@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先: Peter Eichenbaum peichenbaum@bloomberg.net John Gittelsohn, Eric Balchunas

更新日時: 2015/12/17 08:03 JST

 
 
 
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