「神戸山口組の切り崩しに対抗せよ」
<直参及び、その枝の組長は、この情報操作に踊らされることなく、この実態を細かく末端組員まで説明し、動揺を防ぐ必要が早急に求められている>
末尾にこう記されている、6代目山口組の内部文書を入手した。
タイトルに「神戸山口組の切り崩し手法と実例」とあり、細かく実例を紹介しているから「切り崩し対策マニュアル」と言っていい。執行部で「情報戦に対して、どういう対策を打つか」が議題となり、そのために作成されたようだ。
危機感をつのらせるのもわかる。
今年8月末、6代目山口組を飛び出した時の神戸山口組の勢力は、13団体約3000人だった。親を裏切ったという意味では「逆縁」である。住吉会、稲川会など大手広域暴力団は「筋」を重んじて6代目山口組を支持、資金的にも人員的にも6代目山口組に“分”があることから、神戸山口組は切り崩し工作にあって、弱小化は免れないと見られていた。
だが、現実は逆だった。分裂から約100日後の12月13日に執り行われた「正月事始め(神戸山口組は納会)」が、互いの勢力図を決める節目となったのだが、神戸山口組は7団体増えて20団体となり、分裂時に59団体だった6代目山口組は4団体減って55団体となった。
神戸山口組拡大の理由は、神戸に本拠を置く神戸山口組の中核組織の山健組には、名古屋を本拠地とする弘道会が仕切る6代目山口組にはない郷愁と、全国の組織と結んだ幹部たちの人脈があることだ。また、それを生かして巧みな切り崩し工作を行っていること、さらに、マスコミ対策も柔軟に行い、“勢い”をアピールしていること…結果的にそれが神戸山口組隆盛の“流れ”となっている。
6代目山口組の2次団体幹部が、率直に認める。
「確かに、神戸の方が、勢いがあるように見えるわね。こっちは、上(執行部)がなにをやりたいのか、ようわからんのですわ。毎週、実話雑誌を買うて読んでね、それでなにが起きているか、知るような状態です」
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