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他人事ではない!実家問題リアル

妻の実家近くに住んで“うつ”になる男たち

西川敦子 [フリーライター]
【第2回】 2015年12月17日
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実家に入り浸る妻と子ども
いつのまにか夫は疎外され……

妻の実家近くに新居を構え、食事も妻の実家でとる機会が増える男性も多い

 実家に行ったきり戻ってこない「実家大好き妻」が増えているらしい。24時間気が抜けない子育て期を乗り切るには、実家の力が必要だ。そこで彼女たちは結婚すると、夫を口説いて実家の近くに新居を構える。出産後は計画通り、実母の助けを借りて育児し、やがて生活拠点そのものを実家に移してしまう。

 毎朝、夫が出かけるとすぐ子どもを連れて実家へ直行する。離乳食をつくるとき、子どもが熱を出したとき、何かと力になってくれるのはやはり実母だ。

 佐藤真奈美さん(仮名・29歳)は「みんなで一緒に昼食、夕食を囲めば手間も減るし節約できますから。ついでにお風呂にも入っていけば水道代も浮きますよね。もはや自宅は夜寝に帰るだけの場所です」と打ち明ける。孫がやってくるようになって、冷え切っていた両親の夫婦仲も復活した。食卓では笑い声が絶えず、父も母も若返ったように見える。

 問題は夫だが、「どうせ夜遅いんだから、お風呂はシャワーですませてもらえば…」「どうせ食べてくるんだろうから、夜食は残り物ですませてもらえば…」という母のアドバイスに従い、あまりかまわないようにしているそうだ。

 マーケティングライターの牛窪恵さんが近著『恋愛しない若者たち』で「親ラブ族」と呼んだ、20~30代の夫婦ではとくに「仕事帰りの夫に、車で実家に寄らせる親ラブ妻」も少なくないらしい。中には、途中でコンビニに寄り、自分の分の夕食を調達して行く夫もいるという。

 妻の両親と妻、子どもが家族として固い絆で結ばれる一方、夫は疎外され、徐々に“外付け機能”のように扱われるようになる、と牛窪さん。

 「お正月などに妻の実家に遊びに行っても、娘や孫が優先され、お婿さんは放置されるパターンが多いです。『年末、持ち帰った仕事を自宅でこなし、あとから行ってみるとおせちはあらかた食いつくされている。残骸をつつきながらわびしくビールを飲んでいます』とぼやく人もいます」(牛窪氏)

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西川敦子 [フリーライター]

1967年生まれ。上智大学外国語学部卒業。編集プロダクション勤務を経て、独立。週刊ダイヤモンド、人事関連雑誌、女性誌などで、メンタルヘルスや介護、医療、格差問題、独立・起業などをテーマに取材、執筆を続ける。西川氏の連載「『うつ』のち、晴れ」「働く男女の『取扱説明書』」「『婚迷時代』の男たち」は、ダイヤモンド・オンラインで人気連載に。


他人事ではない!実家問題リアル

親が元気でちょうどよい距離をとっているときは、気にならない「実家問題」。だが、親の老化、あるいは結婚や出産などを機に「実家」と向き合わざるをえなくなることが少なくない。本連載では、30~40代男性にとって身近な問題をとりあげ、実家との対立の解決策などを探っていく。

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