インドは日本と中国を天秤にかけている!
12月12日に行われた安倍晋三首相とインドのモディ首相との首脳会談で、インド初の高速鉄道で日本の新幹線方式が採用されることになった。日本はインドネシアの高速鉄道建設を巡り、中国との競争で敗れたばかりなので、政府筋から「インドでは巻き返しに成功した」との声も漏れている。
だが、その認識ははっきり言って甘い。今後、インドでも中国が盛り返してくる可能性が大きい。さらに言えば、日本政府の今までのやり方だと、アジアでのインフラ輸出・開発競争で中国に大敗するリスクが高まっている。
アジア各国で日本と中国は高速鉄道の建設を巡り、「受注競争」を展開しているが、これも率直に言って日本は劣勢だ。その理由は大きく2つある。
まずは、中国は採算度外視で安全保障の観点から高速鉄道建設に取り組んでいるが、日本には安全保障の視点が中国に比べて弱い点にある。次に、高速鉄道などインフラ輸出について、国際協力銀行などに丸投げしており、政治のリーダーシップが欠如している点だ。
インドの高速鉄道に関して日本政府は最大で1兆4600億円の円借款を行う。償還期限50年、利率も0・1%という「好条件」だ。ただ、今回はあくまでインド西部のムンバイとアーメダハード間(約500キロメートル)での合意であり、インドはこの路線も含めて計7路線の高速鉄道を整備していく計画で、残りの路線は日本が獲得できる保証はない。
日本の大手メディアはほとんど報じていないが、インドと中国は高速鉄道開発で協力し合うことに合意している。昨年9月には習近平国家主席がインドを、今年5月にはモディ首相が中国をそれぞれ訪問し、高速鉄道を含めた分野で経済協力し合うことを確認している。インドは、日本と中国を両天秤にかけていると見るのが冷静な見方であろう。
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