■自転車事故は急増か?
国内の自転車保有台数は7千万台ほどで推移している。自転車の普及率は変わらないものの一人あたりが利用する時間はむしろ増えているようだ。通勤時の活用、健康ブームを反映し休日に乗る、といった具合に自転車に触れる機会は以前より格段に多くなっている。自転者ブームといえる昨今、自転車事故による高額賠償判決が相次いでいる。自転車が絡む交通事故はここ最近11〜12万件(年間)ほど起き、交通事故全体では約2割を占めている。これを自転車対歩行者事故に絞ると2000年には1,827件。それが2010年になると2,760件と1.5倍に跳ね上がった(自転車の安全利用促進委員会)。弱い立場の歩行者を巻き込む事故は今後とも増えることが予想されている。
■14歳以上の子どもでも5万円以下の罰金!
事故とは直接関係ないかもしれないが、スポーツ車タイプの自転車出荷台数が今急増している。スタイリッシュでお洒落な形状のスポーツ自転車はかなりのスピードがでる分、事故に遭うリスクが高くなる。スポーツ自転車ではなくても猛スピードで走る自転車を時々見かける。また注意が散漫になる音楽を聴きながらの運転も頻繁に目撃する。自転車による事故を少しでも防ぐ目的で6月から改正道路交通法が一部施行された。危険を生じさせた自転車運転者に対し罰則を与えるというものである。3年以内に2回以上の違反を繰り返すと、安全講習の受講命令が出される。さらに、これを無視すれば5万円以下の罰金刑に処される。危険を生じさせる運転には14項目が規定されている。
■スマホ見運転も摘発される!
信号無視、歩行者用道路徐行違反、ブレーキ不良自転車運転、酒酔い運転、安全運転義務違反などがその対象事例である。あいまいな安全運転義務違反についてはスマートフォンを見ながら運転し、歩行者と衝突した場合などを想定しているようだ。実際は現場にいる警察官が危険運転の有無を判断するというから、どのようなケースで摘発されるかわからない部分もある。今回の道路交通法改正案にはいくつかのポイントがあるが、14歳以上の子どももその対象となることに注目したい。自転車運転において、子どもが加害者になる事例も当然のことながらある。民事裁判で親に対し巨額賠償が命じられたケースもあった。
改正された道路交通法では中高校生でも危険運転とみなされれば取り締まりの対象になる。子どもから大人まで罰則を強化して意識改革を図ろうという意図だろう。改善が期待されている。一方、罰則を強化しても無意味との声もある。どちらにしても、一旦事故が起きれば被害者、加害者双方に大きな禍根を残すことは間違いない。改正道路交通法がどのような効果を生み出すか、しばらく見守ることになりそうだ。
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リーガルネット
編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2015年12月16日のブログより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。