Updated: Tokyo  2015/12/17 08:29  |  New York  2015/12/16 18:29  |  London  2015/12/16 23:29
 

FOMC:ゼロ金利政策を解除、来年はなお4回の利上げを想定 (2)

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    (ブルームバーグ):米連邦公開市場委員会(FOMC)は15、16両日に開催した定例会合後の声明で、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標のレンジを0.25-0.5%に引き上げたと発表した。従来は0-0.25%だった。利上げはほぼ10年ぶり。今後の利上げについては「緩やかな」ペースになるとし、これまでの予測を維持した。

同時に公表された経済予測の基になる2016年末の適切なFF金利(当局者17人の中央値)は1.375%と、9月時点の予測と同水準となり、来年に0.25ポイントの利上げが4回実施されると想定している。

イエレン連邦準備制度理事会(FRB)議長は会合後の記者会見で、「景気回復はまだ完全ではないものの、大きな成長を遂げたことは明らかだ」と発言。「委員会は現在、金融政策スタンスの漸進的な調整とともに、経済活動が引き続き緩やかなペースで拡大し、労働市場の指標が強さを増し続けると予想している」と述べた。

FOMCはリーマン・ブラザーズ・ホールディングが破たんした3カ月後の2008年12月に事実上のゼロ金利政策を打ち出した。その10カ月後には失業率が10%まで上昇した。

ジャニー・モンゴメリー・スコットのチーフ債券ストラテジスト、ガイ・リーバス氏は「注目すべき文言はインフレ率が上昇すると委員会が確信している箇所で、それが主な変化点だ」と述べた。

今回の決定は全会一致だったものの、金利予測では政策決定当局者の2人が年内の利上げを想定していなかったことが明らかになった。

FOMC声明は「経済情勢はもっぱらFF金利の緩やかな引き上げに限って正当化する形で改善される」指摘、「FF金利の実際の道筋は入手するデータに基づく経済の見通しに左右される」との方針を示した。

バランスシートの規模については、「FF金利の水準の正常化がしっかりと軌道に乗るまで」維持するとの表明した。

ブルームバーグ・ニュースがまとめた調査によると、105人のうち102人がFF金利誘導目標の0.25ポイント引き上げを予想していた。

FOMCは経済について、拡大は「緩やかなペース」で続いているとした上で、最近の一連の指標が「労働力の活用不足の度合いが今年の早い段階以降に目に見えて小さくなってきたことを裏付けている」と指摘、おおむね前向きな判断を示した。

経済活動と労働市場の見通しに対するリスクについては、「均衡している」とし、前回声明の「ほぼ均衡している」から見解をわずかに変えた。

イエレン議長は「FOMCのこの日の決定は米経済へのわれわれの自信を反映していることを米国民は認識すべきだ」と語った。

FOMCは「この引き上げ後も金融政策のスタンスは引き続き緩和的であり、それにより労働市場の状況の一層の改善とインフレ率の2%への回復を支えていく」と説明した。

さらに「インフレ目標に向けた進展を現実と予測の面から注視していく」とし、低インフレの状況を認めた。

利上げ決定の一環として、米金融当局は政策金利レンジの下限である翌日物リバースレポ金利を従来の0.05%から0.25%に、上限である超過準備の付利(IOER)を0.25%から0.5%に引き上げた。

これに関連し、米連邦準備制度理事会(FRB)は公定歩合を0.25ポイント引き上げ、1%に設定することを全会一致で決定した。

金融危機のさなか、米金融当局はゼロ金利政策に加え、長期金利を引き下げるために3弾にわたる債券購入プログラムを導入。低金利の継続を約束する明確なガイダンスも打ち出した。

1954年まで遡れるセントルイス連銀のデータによると、2008年より前は実効FF金利が0.63%を下回ることはなかった。

原題:Fed Ends Zero-Rate Era as Yellen Signals Gradual Tightening (2)(抜粋)

記事に関する記者への問い合わせ先: Washington D.C. Christopher Condon ccondon4@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先: Carlos Torres ctorres2@bloomberg.net

更新日時: 2015/12/17 07:48 JST

 
 
 
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