(2015年12月16日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
2015年も暮れようとする中、石油トレーダーたちは楽観的になる理由をほとんど見つけられずにいる。石油の供給が増えているうえに、石油輸出国機構(OPEC)は減産しない方針を堅持しているからだ。
原油価格は今週、世界金融危機のときの安値に肉薄した。
主要指標のブレント原油とウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は、ともに1バレル40ドルの水準をしっかり下回っている。
どこまで安くなり得るのか、相場反発の準備はできているのか、多くの人が知りたがっている。
そこで、来年に向けて注意すべきポイントをまとめてみた。
増産を促すOPEC
産油国のカルテルであるOPECは先日の総会で、原油の生産量を減らして価格を下支えするという行動を一切取らなかった。また、日量3000万バレルという公式の生産枠も取り払った。完全に遠慮がなくなった格好だ。
2015年の生産量が記録的な高水準に達したイラクとサウジアラビアが来年どんな動きを見せるかが注目を集めることになるだろう。諸外国の経済制裁がこれから解除される見込みのイランの原油も今後市場に出回ることを考えれば、特にそうだ。
サウジアラビアに単独減産を求める声も上がっているが、同国政府はこれに従うつもりはなく、イラン政府も生産量を制限されることを拒んでいる。そのため、OPEC内で対立が激化してもおかしくない状況になっており、これが来年の原油価格をさらに下押しする恐れがある。
「OPECの主要産油国はまだひるみそうにない」。シティグループでコモディティー調査部門のグローバル代表を務めるエドワード・モース氏はこう語る。