幽霊のビジュアル ★★★★
ホラー度 ★★★★
鋼ちゃん 足フェチ大歓喜
結論:こういうホラー大☆好☆物!!
コワイ女
2006年 日本
3人の「コワイ女」を描いたオムニバスホラー。
雨宮監督の本気、鈴木監督の狂気、目黒さんの邪気──三つの怖い話があなたを恐怖へいざなう!
※各ストーリーのラストのオチ含めたネタバレ・あらすじあり。
カタカタ
監督:雨宮慶太
OLさんが突然、恋人の元奥さんから追っかけられる話。
この奥さんが怖すぎィ!!
真っ赤な服を来て包丁を構える姿は特殊メイクがなくても十分怖いのに、追っかけてくるうちに徐々に人間を辞めていき、最終的には腕も首も伸びる姿はもはや怪物。
これを最初見た時は
「こいつあれだ!どっかで見たことあると思ったらあれだ!! 怪談新耳袋の映画の「約束」に出てきたスゲー怖いあの女に似てる!!」
・・・と思っていたが、まさかのデザインも監督も同じ人!!女のモンスターに定評のある雨宮監督は今作でも本気だった。
あらすじ
/主要人物/
■加奈子(演:中超典子)
もうすぐ会社の同僚である恋人と結婚予定のOL。
■晃(演:豊原攻補)
加奈子の恋人。加奈子と付き合ってる頃に奥さんがいたことを隠していたり、別れた奥さんから頻繁に電話が掛かって来るなどフラグを立てまくった挙句、案の定「元女房に刺された!」と電話してくる。
■カタカタ(演:小林裕子)
加奈子に襲い掛かってきた女。
冒頭。
帰り道の途中、近くのマンションから、なぜか数十分前に恋人から貰ったピアスが落ちてくる。それを拾った直後、何かが加奈子の上に落ちてきて気を失ってしまう。
加奈子が目覚めると、目の前に自分を見つめる少女が立っている。真夜中に少女がいることを不思議に思いながらも家路につくが、恋人から「別れた女房から刺された」という電話が掛かって来たあと、部屋に超怖い顔をした元奥さんらしき女が現れる。
加奈子が目覚めた時に会った謎の少女は「カタカタカタ・・・」という効果音におびえて姿を消してしまう。(この謎の音は加奈子を追いかけてくる女が現れる前兆の音)
加奈子が女から追われ部屋から逃げ出した後、何故か交番にお巡りさんがいなかったり、街で見かけた人も飛び降り自殺らしき死体を眺めているだけで一言も口を利いてくれなかったりと、目を覚ました後の世界が既に現実では無いような演出になっている。
女に追われている最中、先ほどの謎の少女がマンション(少女の部屋)に加奈子を導き助けてくれる。が、その部屋にも完全にバケモノへと覚醒した女が現れる。追い詰められ、窓から落ちる加奈子。
マンションの中は幽霊マンションと化しており、至る所にやたらスタイリッシュに立っている黒服の幽霊がいる。が、この幽霊たちは女の怪物が触れると呻きながら消えてしまう。また、謎の少女以外で唯一、首に縄の痕がある幽霊だけは主人公を助けてくれるが・・・。
目覚めると病院にいた加奈子。
実は帰り道、あのマンションから投びおり自殺した身元不明の女が加奈子に直撃し、その体が加奈子にくっついてしまったためずっと手術していたのだ。
さらに恋人から、別れた元女房の電話の理由が「再婚の報告」だったことを明かされ、ここで冒頭の少女に会ってからのシーンが全て夢だったことが判明する。
・少女の正体
加奈子を助けてくれた少女は、何年か前にあのマンションから事故で落ちて亡くなっていた。つまり幽霊。
さらに少女の母親は、あのマンションから娘が死んだ場所をずっと見下ろしており、その姿は近所でも有名だった。
加奈子は自分にくっついていた女は少女の母親で、あの女の怪物はその無念が具現化したものだと思っていたが・・・
カタカタの正体の謎
再びあのマンションへと向かった加奈子は、あの少女の部屋の隣の住民から少女の母親は実家で首吊り自殺して死んでいたことを聞かされる。
その直後再びカタカタが現れ、加奈子を突き落とそうとする。カタカタの正体に見当がつかず、「なんなのよ!!」と絶叫する加奈子に対し
「おまえだよ」
と答えるカタカタ。
そして落とされた加奈子の真下には、冒頭でピアスを拾った自分自身の姿が──!
え?無限ループなん??
という意味不明なラストで物語は幕を閉じる。
この「おまえだよ」というセリフの意味がわからない。
このセリフが無ければ、元奥さんの生霊でした☆ってオチでいいと思うんだが。
無理やり解釈するなら、病院のシーンや結婚云々は全て加奈子の都合のいい妄想で、本当は不倫で泥沼だったとか、恋人を刺し殺して自分もあのマンションから投身自殺して死んじゃって、幽霊マンションの中で永遠に自分で自分を殺し続ける無間地獄にハマっちゃったとか??
うーん意味不明!!でもスキ!!
鋼
監督:鈴木卓爾
ズタ袋を被った女の子とデートすることになった男の子の話。
あまりのシュールさとエロティックさで「コワイ女」の中でも随一の人気を誇る作品。最初は異形の女の子とのコミカルなやりとりが中心だが、主人公の青年が暴力を振るい、時に殺そうとしながらも女に魅入られていく過程が怖い。
あらすじ
口ベタでマジメな青年・関口は、ある日職場の上司から「妹とデートしてくれ」と頼まれる。写真が美女だったことや車を貸してもらえるなどの条件に釣られ了承はしたものの、その妹・鋼は、上半身にズタ袋を被った異形の女だった・・・。
/主要人物/
■関口(演:柄本佑)
19才の青年。
口ベタでマジメで童貞。
■上司(演:香川照之)
関口の職場の上司で関口に妹とデートするよう頼んできた。母親は妹の鋼を産んで死んだため、荒れ果てた家で二人きりで暮らしでいる(父親は不明)。鋼の面倒をよく見ているが「化け物」と罵るシーンも・・・。本名は「高橋鉄」。
■鋼(演:菜葉菜)
上半身にズタ袋を被った女。素晴らしいおみ足の持ち主。
ヒロイン鋼ちゃん
「コワイ女」の中で抜群の人気を誇るホラーヒロイン鋼ちゃん!!「オレも蹴られたい」とか何かに目覚めた人は多いのではないだろうか。
そんな素晴らしい下半身を持つ鋼ちゃんには様々な能力がある。
・ミシンが好き(ただし踏むだけ)
・ハイヒールで全力疾走(でも前は見えないのでしょっちゅうぶつかったり転んだりする)
・恐らく泳げない(浮かぶのは可)
・部屋のドアを蹴破って破壊する脚力。
・万能ナイフが飛び出てくる。
・好きな男の子には謎の吹き矢でスナイピング。
・足で文字をかける(作中では「もっと」しか書かない)
・殴られるのが大好きなドM。
・・・・かと思いきや、主人公をズッタズタに切り裂くのでドS。
ズタ袋の中身は意外に高性能(?)のようだ。
衝撃のラスト
主人公が最後、鋼とまぐわっている最中にズタ袋に喰われてしまうというエロティックなラスト・・・。
冒頭に鉄が見ているTVが豚の映像だったり(妹の餌にすることへの暗示?)、妹と偽って女優の写真を渡したり、若い男性を募集して、常に社員が一人しかいない状況にしていることから、妹を養う為に全て鉄が仕組んでいるのだろうと思われる。
鋼ちゃんが何者なのか、ズタ袋の中身がどうなっているのか、唯一全ての真実を知り、それを視聴者に匂わせる役目を持った鉄を演じた香川照之さんの怪演は素晴らしかった。
そして関口が死んですすり泣いても、数秒後には吹っ切れて遺品のメガネを踏み潰しちゃう鋼ちゃんの姿にやはりこう思うのだ。
「女って怖い」と。
うけつぐもの
監督:豊島圭介
離婚して、幼い息子を連れて実家に帰ってきた母親が、徐々におかしくなっていく話。
今までの2本と比べストーリーが格段にわかりやすい作品。それゆえに面白みや恐怖度はイマイチといった印象。だが特殊メイクなど造形に頼らない、役者の表情の差異のみで怖さを表現しているのは◎!
あらすじ
離婚後実家に帰った冴子。だが実家の母親には「家に帰れ」と激しく非難されてしまう。そして息子の道男は、倉で同じ年頃の男の子の幽霊を見てしまい──
/主要人物/
■冴子(演:目黒真希)
道男の母親。倉にしまってあった掛け軸を見てしまってから、徐々におかしくなっていく自分に必死に抗うが・・・
■道男(演:須賀健太)
母親の異変に気付いたが、それでも母親を信じようとした良い子。
家には代々「母親が長男を殺す」という忌まわしい因襲があった・・・という、昔話や怪談に近い怖い話。目黒さん演じる狂っていく母親の無表情が一番怖かった。
【最後に!】
dtvが観れる方なら2016年の1月14日まで配信されてますよー!マニアックなホラーなので、ホラー映画が好きな人でもB級ホラーが好きな人じゃなきゃオススメは出来ませんが、B級が好きな人なら3つの話の中、どれかにキュンと来るはず!
↓雨宮監督渾身のデザインが観れる作品はこちら!