野坂昭如が死の4ヵ月前に綴った、安保法制と戦争への危機感「安倍政権は戦前にそっくり」「国民よ、騙されるな」
戦後70年の節目にして、戦前のような状況に戻ろうとしている日本。無論、このことは国民の我々にとって絵空事ではない。彼は次のように警鐘を鳴らす。
〈日本が戦争出来る国になる以上、戦争を想定した上での都市のあり方、疎開や備蓄、あらゆることを考えておかなければならない。積極的平和主義など姑息な言い方はやめて、安倍首相は国民にとって戦争というものが、どういうものかを、論理的に説明すべきだろう。本質を語らずうわべばかり〉
死のわずか4ヵ月前、安倍政権による“戦争のできる国”づくりに対する危機感を訴えていた野坂。先の戦争を知っているからこその危機感だろう。11月30日に亡くなった水木しげるもそうだが、先の戦争を体験し、その悲しみを伝え続けた世代が次々と鬼籍に入っている。それにつれて、この国は戦争の恐ろしさ・悲しさを忘れつつある。
戦争の犠牲となった人々、また、その悲しみを戦後70年間抱え続けた人々、そんな先人たちのためにも、いま一度「平和」への誓いを新たにしなければならない、と野坂は綴る。そんな野坂昭如の最期のメッセージをあらためて噛み締めたい。
〈戦争で多くの命を失った。飢えに泣いた。大きな犠牲の上に、今の日本がある。二度と日本が戦争をしないよう、そのためにどう生きていくかを問題とする。これこそが死者に対しての礼儀だろう。そして、戦後に生まれ、今を生きる者にも責任はある。繁栄の世を築いたのは戦後がむしゃらに働いた先人たちである。その恩恵を享受した自分たちは後世に何をのこすのか〉
〈どんな戦争も自衛のため、といって始まる。そして苦しむのは、世間一般の人々なのだ。騙されるな。このままでは70年間の犠牲者たちへ、顔向け出来ない〉
(新田 樹)
今、あなたにオススメ
新着 | 芸能・エンタメ | スキャンダル | マンガ・アニメ | ビジネス | 社会 | カルチャー | くらし | 教養 |
関連リンク
埋もれた作品よ、再び──野坂昭如の単行本未収録作を集めた『20世紀断層IV』
2010.08.23AKB48大島優子の気になる卒業後 女優としてコミカルな資質を活かせるか
2014.01.06独自路線をひた走るものから貴重な公開選考まで──おらが町の文学賞はこれが見どころだ!
2015.03.31人気記事ランキング
カテゴリ別ランキング
社会
ビジネス
カルチャー
人気連載
話題のキーワード
売れ筋ランキング
サイゾーメディアの人気記事