【フィギュア】V3凱旋の羽生「成った!」全日本&世界選手権で“羽生名人”に
フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナルで、世界歴代最高得点330・43をマークし、男子初の3連覇を達成した羽生結弦(21)=ANA=が15日、開催地のバルセロナから帰国。羽田空港で今年を振り返る漢字一文字に、趣味の将棋にかけ「成」を挙げ「成長した1年。やっと『歩』から『と金』に成れた」と語った。4連覇がかかる全日本選手権(25日開幕・札幌市)、2大会ぶり金奪回の世界選手権(来年3月・米ボストン)へ“羽生名人”が突き進む。
羽田空港の到着口で約300人のファンから拍手と歓声で出迎えられた。2戦連続の世界歴代最高点で史上初のGPファイナル3連覇。注目の高さに羽生は「正直ビックリが本音。前回の大会(NHK杯)で300点超えして達成感を得ているので、今回は安堵(あんど)感の方が強いです」と笑顔を見せた。
会見でこの1年を「すごく成長した」と振り返った。思いを漢字一文字で求められ、熟考の末、趣味の将棋にかけて「『成る』の『成』」と答えた。
「成長という言葉から『成』を使いたい。将棋に成るというのがある。歩兵のように一歩、一歩、進んで、やっとここまで来られたなと。また、ここから動き始めるところなので、さらに強くなっていかないといけない」。まとめると「いいこと言った! よっしゃ!」と自賛した。
将棋の「成る」では自分の駒が敵陣に入るなどした場合、その駒を裏返し、新たな動きが得られる。駒自体の能力も上がるわけだ。自らを駒に例えると「(王より格下の)『玉』にもなれてません。(『歩』がひっくり返った後の)『と金』ぐらいですよ」と語った。
昨年の一文字は「生」だった。「生きる。生きているからこそすべてを生かしていかなくては」と語ったが、生から転じ「成」―。さらなる進化へのプランは「点数より自分自身のスケートを磨いていけるかが大切。みなさんは(もう来年3月の)世界選手権で優勝したぞ、みたいにワーッとなってるけど」と冷静に分析した。
ファンの中では神がかっている演技ゆえに「神」の漢字一文字もつけられたが「全然、神じゃない。応援してくれる方々が神様」と“神対応”した羽生。まずは今月末の全日本選手権で4連覇王者に“成”る。(小河原 俊哉)