今年も残す所2週間。あの季節がやってきました。
そう、忘年会です。
若手幹事はただでさえ年末の忙しい時に出欠取って店を予約して、一緒に飲みたくもない会社の上司に酌をしたあげく、仕切りが悪いとか、ビール瓶のラベルの向きが違うとか、あそこのテーブルの酒がないとか、酔った先輩に絡まれ続けるという、若者が3年で会社を辞める最大の原因といっても過言ではない糞イベントが毎夜毎夜、日本全国で行われているのです。
23歳、ビール瓶で上司を殴りかけた
Photo by: june29
かくいうボクも、最初の会社では忘年会の仕切りは新入社員の仕事でした。ラジオの新人ADだったので徹夜も多く、寝てない頭で忘年会のお知らせ作って、出欠取って40人の座敷を予約して、当日を迎えました。銀座コリドーの土風炉だったことは忘れません。
用意した余興はビンゴ大会。今思えば普通にビンゴやって景品を配るという何のひねりもないゴミ仕切りだったのですが、23歳のボクはいっぱいいっぱい。
「つまんねえぞ!」「死ね!」と先輩ディレクターから罵声を浴びつつ、なんとかこなしていたものの、賞品が当たって前に出てきた当時のK課長から「面白いことやれよ!」と腹を蹴られた時にブチッ!っと切れて、そこにあったビール瓶をつかんで「いまからこのビール瓶を頭でおもしろく割ります!お前のな!!」と殴りかかる寸前でこらえたからこそ今のボクがあります。
(ちなみに、2次会までは何とか仕切って、3次会のタイミングで逃げました。100件くらい携帯に着信あったけど、翌朝5時から天気予報の中継なのにやってられっか!とシカトしたのを昨日のことのように思い出します)。
忘年会なんてなくなればいいのに。と、新人の頃はずっと思っていました。てめえらに酌するために会社に入ったんじゃねえぞと。
28歳、忘年会スキルが生きる日がやってきた
5年ほどたったある日のこと。
20代後半になったボクは、制作部長と伝統芸能の打ち上げにお呼ばれしました。そこには日曜日の夕方の座布団を争奪するTV番組でよく見る大御所がずらり。さすがに緊張します。
テーブルにいる20代はボクだけ。とうぜん、偉い人から順にお酌をして回りますよね。この時、初めて心から思ったんです。「ビールの正しい注ぎ方を教わっておいてよかったな」と。
新人の頃「バカ、俺じゃなくて部長のコップが空なのが先だろ!」と叩かれたり、「両手!ラベルが上!」とビール瓶の持ち方を仕込まれました。「うるせえな自分でやれよ!」とその時は思っていましたが、それもこれもこの日のためだったんです。
師匠にはお弟子さんが沢山いて、お酒を作ったり料理の足りないテーブルはないかと見て回ったりと甲斐甲斐しく動いていますが、この日は参加者が多くててんやわんや。ADとしてだいぶ経験値も溜まっていたので、各テーブルの空き瓶を回収したり、どの師匠が次に何を飲むか先回りしたり、お弟子さんと協力して場を回していました。
そんな時、部長もいたのでリップサービスでしょうが、とある大御所さんが「おい!一番動いてるのラジオのAD君じゃねえか、弟子!しっかり見習え!」と言ってくれたんですね。素直に嬉しかったし、ボクを呼んでくれた先生も上機嫌。部長の面子も立ちました。
あんなに嫌で仕方なかった忘年会の幹事をやらされといてよかった、クソ先輩に絡まれておいてよかった、若いうちに失敗しても許される身内の場所で沢山しくじっておいて本当によかった。気がつくのに5年かかったけど。
忘年会スキル、本当に不要ですか?
こんなシーンがいつか訪れます
「いや、打ち上げとか一生行かねえし」というそこのアナタ。これが、しくじれないお得意様との食事会だったらどうでしょう。うっかりお酌の順番を間違えたり、コップが空のままになっていたりしても、気が付かないかもしれません。だって教わっていないのですから。
「俺は営業じゃねえから会食しないし」と思ったそこのエンジニアさん、結婚の挨拶に彼女の家に行ったら流れで食事会になることだってあるんです。初めてお義父さんにお酌するとき、作法を知らないと「ゆとりに娘はやれん!」ってなるかもしれないんですよ。そこを乗り越えて結婚しても最初の正月の親戚回りの酒席で嫁が恥をかくんです。「◯◯ちゃんは常識知らずと結婚したのねえ」って。
世の中にはまだまだ「礼儀」や「常識」という物差しで人を測る大人が沢山います。コレはしかたのない事です。
「忘年会じゃなくても酒席のマナー学べるだろ!」それはそうかもしれません。ただ、「嫌いな人と上手に飲む」「よく知らない人が沢山いるけど盛り上げる」という宴会部長スキルはやはり忘年会で身につけるのが手っ取り早い。
もう一つ大切なことがあります。
忘年会が仕切れない奴にイベントは仕切れない
10人の課単位の忘年会が仕切れない奴に50人の部単位の忘年会は仕切れません。ましてや100人のイベントも横浜アリーナのイベントも仕切れるわけがありません。
忘年会は最小単位のイベントです。人数を決め予算内で会場をおさえ余興で楽しませる。乾杯の挨拶の根回しや喫煙者と禁煙者の調整など、大人力も磨かれます。
ここで山程失敗しておかないと、イベント力は身につきません。取引先とのゴルフコンペや宴会に始まり、全社集会や展示会・発表会で腕を磨き、最終的には自社の株主総会やホールクラスでのイベントなどを仕切れる人材になっていただきたいと願っています。
最後に一言。
飲み会でのビンゴは間延びするからやめておけ。