ついにというか、やっとというか、待ち望んだ瞬間がやって来た。
今まで何度も小島秀夫監督の事については、自分もブログの中で案じてきた。だが、ようやく小島監督は、コナミの支配から解き放たれるようだ。
たしかに、コナミからしてみれば、多くの資金を使うわりにはコンスタントに作品をリリースする訳ではない小島監督は、要らない存在だったのかもしれない。だが、それはあくまでコナミの中での話だ。
小島監督は、日本ゲーム界のみならず、世界でその名を知られる存在だ。今回の一件は、コナミという「ゲーム会社」にとっては計り知れないダメージというか、むしろ嫌悪感を産んだといえるだろう。コナミはそれを承知で小島監督にああいう仕打ちをしていたはずだ。つまり、ゲーム業界での評判などもうどうでもいいと思っているのだろう。
世界は、コナミという企業よりも、小島監督という一人の才能の方を案じていた。でなければ、The Game Awardでのあんな騒動は起きていないはずだ。
「メタルギアソリッドV・ザ・ファントムペイン」の制作に時間がかかったのも、元はといえばゲームエンジンであるFOXエンジンの開発が難航したせいでもあった。だが、出来上がってきたFOXエンジンの出来栄えはどうだ。素晴らしい物に仕上がっていたではないか。コナミもウイニングイレブンシリーズにFOXエンジンを流用した時に、その素晴らしさに気が付かなかったのだろうか。
コナミはどんどん脱ゲーム化していっている。モバイルに主軸をうつそうとしているようだが、むしろスポーツジムやカジノ事業の方が儲かると判断したので、ゲーム自体にそれほど入れ込んではいない。
だが、もう別に構わない。
自分は、もうコナミとの関り合いはアーケードアーカイブスで配信されたグラディウスや沙羅曼蛇、そして12月25日に配信されるツインビーなどを楽しむ程度にとどめておこうと思う。あれも、配信元はコナミじゃなくてハムスターだし。
コナミの以前の発表によれば、今後もメタルギアシリーズは継続して制作していくという。
あの、キャラクターが発するセリフがほぼすべて小島監督の主観で出来ていてるような作品を他人が作れるとでも思っているのだろうか? メタルギアライジング リベンジェンスの物語がどんなだったか忘れたわけではあるまい。
そんなものはメタルギアの皮を被った別の何かだ。自分はその作品を買うことは恐らく無いだろう。まあ、誰が作るか見てから判断しても遅くはないが、小島監督の作るメタルギアを超える物を作れる人物は、そうそう見つかるものではない。
小島監督は、日経新聞の報道によれば、自分の元部下とともに新会社を設立するという。恐らくスタジオを作ってゲーム制作を続けるということだろう。日経の言い回しだとソニーがなにか絡んでいるのかもしれない。
小島監督がいままで作ってきた作品の権利はコナミに残るため、今後彼の手による続編が出る可能性はほぼゼロだろう。むしろこれでコナミが共同制作を打診してきたらビビる。
ということは、ゲームファンは小島監督が新たに作る何かを目にすることになる。
それはそれで楽しみではないか。
フォーチュン誌にて「20世紀最高のシナリオ」とさえ言われたメタルギアソリッドを超える物語を作ることが出来るのは、小島秀夫本人でしかないと思う。
一時期は、このままコナミが小島監督をずっと幽閉し続けるつもりなのではないかと心配した。現代日本でそんなことはいくらなんでもないだろうとは思いつつも、「いや、今のコナミならやりかねないかも…」などと思っていしまっていた。結局は、契約の関係で余計なことは言えず、単に有給を消化していただけなのかもしれない。過去には小島監督の送別会の様子も報じられていたが、あれもやはり真実だったのだ。
Here is a photograph of Kojima's farewell party on October 9th at Konami, which Konami claims no knowledge of: pic.twitter.com/xgRUoYs5qt
— Simon Parkin (@SimonParkin) 2015, 10月 20
いまはただ、この朗報に胸をなでおろしている。
本当に良かった。
そして今度こそ本当にさようなら、コナミ。
沢山の思い出をありがとう。
これからは小島監督について行きます。