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今年最高の映画?「黄金のアデーレ 名画の帰還」と、2015年の映画私的TOP3

映画の感想文

黄金のアデーレ 名画の帰還 (ムビチケオンライン券)

実話を元にした映画らしい。社会派の感動作なのであろうと思って見に行ったが、想像以上の良作で途中から涙が止まらなかった。家族が描かれた絵をナチスに奪われた女性(マリア)が、老いてから絵を取り戻すべく弁護士の甥に声をかけるところから話が始まる。

なんと作曲家のシェーンベルクの孫だという甥(ランディ)は、一見冴えない普通の男だ。マリアはオーストリアの富豪の娘で、ナチス統制下に家族を置いてオペラ歌手の夫と命からがら逃げてきた。どちらもつましく暮らしているように描かれているが、ルーツがいわゆる知的階級という点で似ている。そこに度々戻り、本人の美意識もそこに根差している。実際、最後までこれは「ルーツを巡る映画」だった。

構成が非常にいい。「ナチスに財産を不当に没収された」という一つの事実が、過去の映像少しずつはさむことで徐々に一般的な理解から深く身に染みるような実感に変わっていく。この巧みさが無ければ、「オーストリアから国民的な名画をアメリカに持ち帰った」ことをここまで正当に感じることができなかったかもしれない。ランディも情報を追っていく過程で次第に熱くのめりこみ、最終的にはマリア当人を超える熱意で絵を勝ち取っていく。

全体的に感じたのは、知的なユーモアと上品さだった。80才という設定ながら勝気でさばけたキャラクターのマリアもそうだが、最高裁の判事やランディの上司(チャールズ・ダンス、役名失念)など良いキャラクターが揃っている。

それに引き替え、作品のつくり上しょうがないかもしれないのだが、オーストリア側の人物が揃ってかたくなで浅はかな印象を与えるのはいかがなものだろう。マリアが訴えを起こした最初の段階で柔軟な対応を取っていれば、マリア側も絵を奪い返すまでしなくて良かったかもしれない。だが、何度にもわたる侮辱的な言葉の数々で、マリアの思いはオーストリアへの恨みに変わってしまった…という風に思えるような作りになっている。現実がどうだったかは定かではない。

いずれにせよ、クリムトやアデーレ本人ではなく、ストーリーの軸を家族の絆と複雑な望郷の念に集中させたのは素晴らしく良かった。

 

2015年の私的TOP3

「黄金のアデーレ」、今年一番好きな映画かもしれない、と思って、そういえば私がみた今年公開映画ってなんだったろうかと辿ってみた。2014年末から公開しているものも混ざってると思う。

  • アメリカン・スナイパー
  • バードマン あるいは無知がもたらす予期せぬ奇跡
  • セッション
  • チャッピー
  • トゥモローランド
  • マッドマックス 怒りのデスロード
  • ターミネーター新起動
  • 神々のたそがれ
  • イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密
  • 博士と彼女のセオリー
  • バケモノの子
  • ミッション:インポッシブル/ローグ・ネーション
  • キングスマン
  • 007スペクター
  • 黄金のアデーレ 名画の帰還

 

うーん。この中だと、

1位:セッション

2位:黄金のアデーレ

3位:アメリカン・スナイパー

か…。やはり「黄金のアデーレ」は良かったけれど、人生でたびたび思い出すのは「セッション」の方だろう。自分の中でどう解釈すべきか悩んだ「アメリカン・スナイパー」も忘れられない。いずれにせよ、この3本は観終わってからしばらく立ち上がれなかった。

 

でも、厳密に言えば「イミテーションゲーム」「マッドマックス」も、「ローグネーション」「バードマン」も素晴らしかったので3位以下は選べない。映画初出演で大活躍していた南アのラッパー、ダイ・アントワードが印象的だった「チャッピー」もあったなあ。「ベイマックス」に引き続き近未来の明るい世界を見せてくれた「トゥモローランド」も印象的だった。臭い・暗い・汚い3K映画「神々のたそがれ」も強烈な印象を残した。

「バケモノの子」「ターミネーター」「キングスマン」などノリで見たものはあまり自分に合わないものが多かったので、来年はもうちょっと吟味したい。でも「見られるタイミング・時間」「と「見たい作品」が必ずしも合致しない。難しい。

 

見逃した作品も多い

そもそも「Mommy」、「ターナー、光に愛を求めて」、「きみはいい子」、「インサイド・ヘッド」、「バクマン。」、「マイ・インターン」、「野火」、「百日紅」、「ルック・オブ・サイレンス」、「ナイト・クローラー」「恋人たち」、「ハッピー・アワー」、「消えた声が、その名を呼ぶ」等々、みたいのに見送ってしまった作品も多数あった。「Mommy」に至ってはなぜ見忘れたのか、あの頃の自分を問い詰めたい。予定帳を見るとしっかり見る予定が書いてあるが、まあ何かあって見られなかったのだろう。

 

2016年必ずみたい作品

今のところ

  • レヴェナント
  • クリムゾン・ピーク
  • ダニッシュ・ガール
  • アバウト・レイ16歳の決断
  • サウルの息子
  • ビハインド・ザ・コーヴ〜捕鯨問題の謎に迫る〜
  • 不屈の男 アンブロークン
  • スティーブ・ジョブズ
  • 火の山のマリア
  • ロブスター
  • アーロと少年
  • ROOM

かなー。ROOMは恐そうなので考える。ビハインドザコーヴはDVDでもいいかもしれない。

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