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 自分の名前を検索すると反社会的集団との関係が表示されるため、男性がヤフーに検索結果の削除を求めた仮処分申請で、東京地裁(関述之裁判官)が、一度はグーグルに消すように命じた検索結果についての判断を一転させ、「削除不要」とする仮処分決定を出した。判断を分けたのは、新たに証拠提出されたある雑誌記事だった。

 決定によると、男性は、反社会的集団との関係が表示されるのはプライバシー権侵害などにあたると主張した。未成年のときにその集団の幹部だったが、のちに脱退。検索結果の影響で、銀行の融資を断られるなどしているという。

 東京地裁は1日付の決定で、過去に集団に所属していたとわかる内容の25件も含め、47件中36件は削除すべき理由がないとして男性の請求を退けた。ヤフーが提出した証拠資料から、男性が約10年前に複数の雑誌のインタビューで、集団幹部だった過去を自ら公表していたことがわかった。そこで地裁は「プライバシー権で保護される法的利益を放棄した」と判断した。

 ただ、地裁は検索結果の記述に人格権侵害があれば「削除義務が発生するのは当然」として、11件の検索結果の削除をヤフーに命じた。それらは、男性が今も集団に所属しているとの印象を与えるものだった。

 ヤフーは「検索事業者が短期間で証拠を見つけるのは難しい。男性は社会的地位も高く、削除を命じられた部分も今後争う」とコメント。男性の代理人の神田知宏弁護士は「自ら明かした過去でも、永遠にネット上から消せないわけではない」と語った。