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 東日本大震災で被災した宮城県南三陸町で14日、町立南三陸病院が開院した。前身の公立志津川病院は津波で壊滅し、3カ月後に約35キロ離れた隣の市で仮復旧した。入院患者22人はこの日、陸上自衛隊などの車両10台で、志津川病院から高台の造成地にできた新しい病院へと移った。

 移送は午前8時半から始まった。入院患者の平均年齢は80歳ほどで、寝たきりの人が多い。点滴をつけるなどして、2階や3階から1人ずつエレベーターで降ろし、慎重にストレッチャーから車両へ移した。片道50分ほどで南三陸病院に着くと、看護職員が付き添って新しい病室へ運んだ。

 作業にあたった三浦恵美子看護師長は「病院が遠くて患者を世話する家族に負担をかけてきた。迷惑をかけた分、今後は看護師一丸となっていい看護を提供していく」と語った。

 津波で壊滅した宮城、岩手両県の六つの公立病院のうち、本格復旧したのは初めて。建物は鉄筋コンクリート造り3階建てで、病床数は90床。外科や小児科、婦人科など10の診療科がある。外来診療は16日から始める。(茂木克信)