2015年12月16日08時46分
自民、公明両党は15日、週2回以上発行する新聞を定期購読する場合は軽減税率の対象とすることを了承した。書籍や雑誌に適用するかどうかは「引き続き検討する」としている。活字文化に携わる関係者からは「文化に対するビジョンなき線引きだ」と反発する声が上がった。
駅売りなどが多いスポーツ紙。定期購読で宅配されている分には8%、駅やコンビニで即売される分には10%が適用されることになった。宅配と即売の比率は、日刊スポーツ(宅配67・1%、即売32・9%)、スポーツニッポン(宅配65・3%、即売33・9%)、スポーツ報知(宅配82%、即売18%)と、スポーツ紙によっても異なる。
あるスポーツ紙の経営幹部は「駅やコンビニの売り上げへの影響は必至。販売費がかからない分、即売の方が利益率が高く、経営への影響は避けられない」と語る。
一方、駅売りが中心の夕刊紙「日刊ゲンダイ」を発行する日刊現代の寺田俊治編集局長は「知的インフラを守るのにどうして、新聞を宅配と駅売りで線引きするのか理由がわからない。決め方が不透明だ」と反発する。
引き続き検討することとなった出版業界には戸惑いが広がる。
「線引きがあいまいで納得できない。もっと議論を深めて決めてほしい。説明不足だ」。ある女性誌編集長は突然の“決定”に困惑を隠せない。消費増税に伴い暮らしは厳しさを増す。「娯楽や生活情報も増税されるとなれば、ますます息苦しくなる。特集記事を組んで読者と一緒に考えていきたい」と話す。
サンデー毎日編集長も務めたジャーナリストの鳥越俊太郎さんも「知識課税をどう考えるのか、ビジョンがみえない」と指摘。「人間は体と心の両面でできており、食べ物が必要なように、本も心の維持に必要。今の政府・与党にはそうした認識が感じられない」と話す。
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