経済の死角

経済記者60人がホンネで選ぶ
「すごい会社」と「ヤバい会社」

記事には書けない「企業版ミシュラン」

2015年12月16日(水) 週刊現代
週刊現代
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〔PHOTO〕gettyimages

経済記者は社長、幹部から新人までを取材するから、社員より会社の「ホントウ」がよく見える。多くの企業を担当して、「違い」もわかる。これは目の肥えた記者たちによる「企業版ミシュラン」だ。

【*すごい会社70社、ヤバい会社30社の一覧】

日立の潔さはマネできない

組織を大きく変えることをいとわないトップがいる会社は魅力的——。トヨタ日立が多くの支持を集めた理由はそんなところにある。

「豊田章男社長が方針やビジョンを掲げると、社員が一枚岩になって具体化し、実現していく。その組織力には異様なほどの一体感がある。トップ就任当初に章男社長が『もっといい車を』と言い出した時、最初は幹部もポカンとしていた。が、章男社長が念仏のように唱え続けたことで、組織の隅々にまで『イズム』が浸透していった。

保守的と言われ続けたトヨタマンたちが、いまでは自動運転技術や車のIT化などの超最先端開発に我先にと取り組んでいる。トヨタほどの巨大企業でもここまで変われるのかと、隔世の感すらある」(経済誌、30代)

「一度は出世レースに敗れて子会社に出されていた川村隆氏は、日立本体に呼び戻されて社長に就くや、果敢に構造改革を進めて業績を一気にV字回復させた。8000億円近い大赤字に落ちた瀕死企業を、強靭な超優良企業に作り替えたその手腕だけでもすごいのに、川村氏は社長退任後、会長から相談役へとあっさり退き、後任に経営を託す潔さも見せた。

不正会計問題発生後も旧幹部が会社に出入りして口を出すなど、『老外支配』が続く東芝とは大違い。川村氏は経団連会長候補にも浮上したが、丁重に断った」(全国紙、40代)

ソフトバンクグループは、孫正義社長の大胆不敵なまでの決断力に注目が集まることが多いが、「実は役員や社員の層の厚さが真の強み」なのだという。

「様々な企業の合併によって拡大してきた会社のため、社員の出自がバラバラ。『プロパー絶対主義』が当たり前の他企業から見れば異常な人員構成だろうが、実はその多様性が新しいアイデアを生む力の源泉になっている。

ソフトバンクが業界初で始めた携帯電話の割賦販売というアイデアは、実は自動車メーカー出身者が考案したというのは業界では有名な話。様々な業界出身の幹部たちも、孫社長の夢を一緒に実現したいとの思いが強く、政治的な派閥抗争をしない。こういう会社は他に類がない」(経済誌、30代)

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