(2015年12月15日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

極右政党、全地域圏で勝利逃す フランス地方選

12月13日、フランス地方選第2回投票の結果発表を受け、演説する国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首〔AFPBB News

 この週末、フランスでナショナリズム(国家主義)とインターナショナリズム(国際主義)の相対的な強さが試された。そして今回はインターナショナリストたちに軍配が上がった。パリでは、フランスのローラン・ファビウス外相が明るい緑色の小づちを振り下ろし、200カ国近い国々が気候変動対策で合意したと宣言することができた。

 その翌日には、ナショナリストの反移民政党・国民戦線(FN)がフランスの地域圏議会選挙に臨み、いずれの地域でも第1党になれずに終わった。

 FNのマリーヌ・ルペン党首は、政治はますますナショナリストとグローバリスト(世界主義者)との戦いになっていると語った。

次第に縮まる勝敗の差

 この週末の会議と選挙は、グローバリストがまだ政治を何とか支配していることを示している。だが、勝敗の差は縮小している。2002年にジャンマリ・ルペン氏がFNの候補者として大統領選挙の決選投票に進んだときの得票率は17%だった。今回の地方選挙では同氏の娘と孫娘(フランスでは、極右政治は家族の仕事だ)が40%を優に超える票を得た。全国レベルでは、FNは現在、30%弱の票を手にしている。

 気候変動にかかわる協定が採択されたことは、FNが罵るグローバリストにとって重要な成功だった。マリーヌ・ルペン氏が、世界において重要な国であることをやめたフランスという将来像を描き、国境の封鎖や国際条約からの脱退などを求めていたまさにそのときに、フランスは国際的な視野を持ち、グローバルな役割を完全に果たすことができる自信に満ちた国であることを立証してみせたからだ。

 つい数週間前にテロ攻撃を受けたパリでこの会議が開かれたという事実も、フランスの打たれ強さを示す重要なシンボルになった。

 気候変動に取り組む協定の採択が素晴らしい国際協力の1つに数えられることは間違いないが、これを発効させるには数々のハードルを乗り越えなければならない。この協定に批判的な多くの人々が指摘しているように、パリ協定の条文は、たとえ順守されたとしても、気候変動のペースを緩やかにするという目標にとって十分でない恐れがある。