小売流通業の氷河期 名創優品、ユニクロ等新型の生活総合雑貨ストアが台頭!
Source:南方都市報Read:2234Date:2014-08-29
2014年の後半から老舗だった伝統的な百貨店が相次いで閉店の波に飲まれている。杭州中都百貨店、湛江王府井百貨店、広州好又多東山口店等が次々と閉店。4月28日から6月30日にかけて百貨店8店の12店舖が閉店に追い込まれた。
しかし、また一方ではユニクロ、ZARAや名創優品等の代表的な新型ライフスタイル総合ストアが拡張を続けている。
不完全な統計ではあるが、昨年から現在に至るまで、ユニクロは82店舗を新しくオープン、店舗数は257店に増え、ZARAは18店をオープン、総店舗数は137店舗に、MUJI無印良品も42店舗をオープンさせ、総店舗数は100店舗に。そして、昨年9月に日本から新しく上陸した新ブランド名創優品は目下200店舗におよぶ勢いである。
このように時流に逆行するチェーンストアは膨大な商品数、圧倒的な知名度と店舗賃貸料に耐え売る資本力を持って、ショッピングセンターや繁華街の商業圏を中心に展開。弊紙南方都市報の記者の調査では中華広場、天河城、凱徳MALL等の大型ショッピングモールに特に力・資本を注ぎ込む名創優品、無印良品やZARA等のファッショナブルでカジュアルなライフルタイル総合雑貨ストアが軒を連ねている。日本ではこのようなライフスタイル総合雑貨ストアはショッピングモールの50%を占め、レストラン・娯楽施設に次ぐショッピングモール・繁華街商業圏の顧客を呼び込む大きな牽引力となっている。
従来のデパートの業績は下降の一途
最近広州荔湾区に大型のショッピングモールがオープンした。テナント店舗は従来の伝統的な百貨店の面影はなく、H&M、日本のユニクロ、名創優品等が主役に取って変わっている。「5:3:2」これは従来のショッピングモールに出店しているショップ・娯楽施設・レストランの比率である。しかし、現在見るとショップの影響力は大幅な「割引」の様相を呈している。
実のところ、小売流通業の疲弊は早くから露呈していたのである。聯商ネットの統計によると、本年3月中旬に発表された2013年度の業績レポートの中で全国140余に及ぶ主要百貨店及びショッピングモールの内、三割に及ぶ企業が前年同月比でマイナス成長を記録したのである。また統計では、2013年の単体としての百貨店トップ15店舖の内、4店舖が2012年よりも業績が下降し、1店舖は足踏みという結果であった。その中で新華都の業績の下落は著しく前年同月比で244.35%の下落、百盛商業は純利益が前年同月比で58.4%の下落、杭州解百及び東百グループの営業売上も前年同月比よりも下落した。
今年の上半期に至っては小売流通業界全体の勢いも衰えが広がり、聯商ネットが公表した『2014年上半期小売業閉店統計』では、4月28日から6月30日まで百盛百貨、中都百貨、摩登百貨、新光百貨等の百貨店8店の12店舖が閉店に追い込まれた。このように小売流通業界の閉店トレンドが集中するのは中国国内で過去5年間では初めてである。
新しいタイプの『ライフスタイル総合雑貨ストア』ファミリーが怒涛の勢い!
一方は縮小し、一方は拡張を続ける。小売流通業界の収益が低迷する中、日本、欧米等でファッション性を全面に押し出した新しいタイプのライフスタイル総合雑貨ストアが着々と中国市場に進出し、勢いを日増しに強めている。不完全な統計データではあるが、2013年ユニクロは82店舗を新しくオープン、総店舗数は257店に増え、H&Mは62店舖をオープン、総店舗数は176店舗に、GAPは新しく28店舗をオープンさせ、総店舗数は71店舗に、ZARAは18店をオープン、総店舗数は137店舗に、MUJI無印良品も42店舗をオープンさせ、総店舗数は100店舗に。そして、昨年9月に日本から新しく上陸した新ブランド名創優品は目下200店舗におよぶ勢いである。
「これは商業マーケットの細分化、旧時代から新時代への転化、昔のようなデパートごっこではもう時代遅れなんですよ。」2013年9月に中国市場に乗り込んできた日本のファッショナブルカジュアルチェーン雑貨ストア名創優品ブランドの創始者である三宅順也氏は弊紙南方都市報のインタビューにこう答える。いわゆる『新時代』には三つの特徴が見られる。一つは低年齢化、そしてネットワーク化とフラット化である。目下、中国市場に駒を進めつつあるライフスタイル総合雑貨ブランドであるユニクロ、H&M、そして名創優品は確かにこのキモをがっちり掴んでいると言えよう。
三宅順也氏曰く、インターネット時代がこの特色の変化を加速度的に拡充させている、とのこと。デザインから製造、商品陳列、発売に至るまで従来のアパレル業界では6~9ヶ月を要し、世界的にも有名なハイブランドでも120日に圧縮するのがやっと。しかし、新進気鋭のファストファッションライフスタイル総合雑貨ストアブランドファミリーのGAPは90日、H&Mは21日、ZARAはショーウィンドウを20日に一度衣替えする。また、名創優品に至っては7日に一度の神速とも言えるスピードで新商品を棚に並べるのである。
また販売ルートに至っては、従来の伝統的な百貨店のセールスでは「メーカー」から「省級代理店」に行き、それから「市級代理店」そしてようやく「加盟店」に届くのである。しかし、名創優品のようなファストファッションブランドでは真ん中のルートを切ってしまい、「メーカー」から直に「ショップ」に届くルート作りをするのである。親の「ブランド」から直接子の「ショップ」に届くとでも言えるのかもしれない。
商品展開の位置づけ上、新しいタイプのライフスタイル総合雑貨はプチブルのホワイトカラーに照準を合わせている。顧客層が若年層であるためデザイン性を高め、選択の幅を広げているのである。名創優品のようなストアでは店舗に一歩脚を踏み入れると5000種類からの商品が並んでおり、その内のどれかは必ず顧客のニーズに合ったものが見つかるわけである。
『上質かつ低価格』で消費者獲得戦線に進撃!
ご存知のように、名創優品は昨年9月に中国国内に進駐して後、少なからず波風が立った。しかし、面白いことにこのことが市場と顧客にブランドの知名度を高める宣伝となり、知名度が上昇したのである。
その中国一号店が10月1日にオープン、業績は堅実に上昇、上々と言えよう。年間の上昇率はおおよそ30%と予想される。弊紙記者がインタビューした当時はこの名創優品というブランドは立ち上げ1年足らずでありながら、すでに中国市場で200店舖近くものショップを展開していた。名創優品の広州中華広場店はちょうどH&Mの真向かいであり、ショップスタッフによるとその人気はH&Mを凌ぐとのこと。北京路店ではもっとも顧客の出入りが激しい日は1日で5000人もの顧客が同店を訪れるそう。8月16日、名創優品は東莞天河城店をオープン、売り場統計データでは週末の二日で一日の売上高が全店舗1位だったそう。
三宅順也氏曰く、直近の2,3年で名創優品は香港・台湾・マカオと中国大陸の第一次・第二次大都市圏の高級ショッピングモールに1000店舖の出店を目指すとのこと。また地方の第三次・第四次都市も含め、5年以内に大小の都市合わせて10000店舗の出店を計画しているそう。
「お客様に商品を喜んでいただければ、少ない商品で利益が薄くても我々はさせていただきます。それが名創優品のモットーであり、店舗展開コンセプトの中核でもありますから。誰かが言っていましたが、我々は唯一ネットショップに太刀打ちできる企業だそうです。なぜって?我々の商品価格はネットで売っているそれよりも安いですからね!」三宅順也氏が例えを出して紹介するところによると、名創優品では日本輸出用の傘が10元で売られています。同じような商品の半分の価格です。「我々の商品はデザインが上がると、世界中のメーカーに入札してもらいます。大量にオーダーを出して、コストを最大限にまで下げます。例えば傘であれば1ロットのオーダー数は100万本です。おそらく1年分の商品取り扱い量になるでしょう。倉庫に眠らせることになりますが、メーカーに対しては徹底して『買取り制』を採用しており、メーカーに迷惑は掛けませんが、我々にとっては資金的にもセールスにとっても大きな挑戦なわけです。」
それでは如何にこのリスクを回避するか?「経営者は経営哲学だけ知っていればいいわけではありません。多いとは何か?少ないとは何か?禅問答のようですが、経営では短期に暴利を貪るようなことはしてはいけません。細くても長い水流を作るのです。これは経営の基本の『き』ですね。表面上は利益が薄くても、何度も何度もリピートしてくれる。その繰り返しで利益が積み重なって出てくるわけです。もし単独の商品として売り出し価格を高く設定し、利益を上げようとした場合、これはお客様を傷つける行為になります。お客様が一度他店でより安い物を見つけた時、もう戻って来てくれることはないでしょう。」三宅順也氏の話では、もっとも売上が出た日では一つの店舗で傘が1000本も売れたそう。「ちょっと特殊な経営手法かも知れませんが、薄利多売、資金力とチーム全体の協力で自らハードルを高くし、他者の追従を許しません。また、小売業界ではスピードがキモです。誰が一番早く、いいものを提供できるか。早い者勝ちですね。これも我々がこの生き馬の目を抜くような流通業界でしのぎを削っていける要素でもあります。」
[業界人から一言]広東流通業商会執行会長である黄文傑氏はこの新しいタイプの総合雑貨ストアを『エンドレスコンサンプション(終わりなき消費)』と評しています。名創優品やユニクロのようなブランドは共に日常使用頻度、消費頻度が最も高い商品に目をつけています。また、ファション性にも着目し、価格も抑え、消費者にお金の計算をさせず、衝動的に購買させる要素が詰まっています。黄氏は新しいタイプのライフスタイル総合雑貨ストアに共通する点として、「トレンドの流れをいち早く読み解き、消費者心理を理解し、商品価格、品揃え、商品の種類の豊富さで顧客を掴み、顧客に一度、また一度と消費行動を繰り返させる効果があり、それがクチコミとして広がり、固定客を形成し、それと同時に商品の回転率も高まる。それが理想的な経営利益として還元させる」と語っています。黄氏またこのようにも締め括っています。「今ではショッピングモールでも繁華街の商業圏でも、もっとも重要なことは顧客の消費行動を繰り返させるということ。新しいタイプのライフスタイル総合雑貨ストアはこの一点の実現により、単発消費行動を越え、エンドレスな消費を促しているのです。」
文:南方都市報記者 伊暁霞
実習生 方圓圓