航空ジャーナリストの青木謙知氏は「結果として、持ち込みを見逃したのだから困ったものだ。X線で火薬が写ったとしても、それを火薬と判断するには検査官らの豊富な経験と勘が必要だ。テロに敏感な欧米では、優秀な検査官が活躍することがあるが、韓国では、それほど切羽詰まって考えていなかったのか」と苦言を呈す。
《韓国・聯合ニュースは11日、全容疑者が金浦空港を出国する時、保安検査員が袋入りの黒い粉を見つけて爆発物検査装置で調べたが、火薬成分は確認されなかった。詳しい成分は分からず、機内持ち込みをやめさせ、預けさせたと報じた》
韓国はそもそも平穏な国ではない。
1950年に勃発し、355万人以上が死亡した朝鮮戦争は現在も休戦中で、北朝鮮との衝突は時々ある。87年には北朝鮮工作員によって、乗員・乗客115人が全員死亡する大韓航空機爆破事件も発生している。
国際政治学者の藤井厳喜氏は「韓国では今年3月、リッパート駐韓米国大使が『親北』活動家に襲撃されるテロ事件があった。今回の件も含めて、セキュリティーに関する感覚が鈍くなっているのではないか。現状で、五輪などの国際大会を開催するのは不安が多い。韓国政府は、日本メディアが全容疑者の個人情報を公開したことに抗議してきたようだが、ピントが完全にずれている」と語っている。