『すべてのニュースは賞味期限切れである 大忘年会』開催!
cakesの会議室を飛び出し、一年を振り返る公開放談。ゲストに、「ワダアキ考」の武田砂鉄さんを迎え、一年のニュースを振り返ります!
『すべてのニュースは賞味期限切れである 大忘年会』
【日時】12/30(水) 開場12:00 / 開演 13:00 / 終演16:00
【場所】阿佐ヶ谷ロフトA
【料金】前売¥1,800 / 当日¥2,100(共に飲食代別) ※前売はweb予約で受付。
12月第2週の主なできごと
5年ぶりM-1 トレンディエンジェル優勝(12月6日)
AKB48シングル総売り上げ日本一に(12月9日)
「バカ田大学」東大で開校(12月10日)
羽生結弦SP世界最高、演技力で驚異の10点満点(12月10日)
軽減税率、苦肉のたばこ増税案(12月12日)
何を選んでも怒られる紅白、流行語
おぐらりゅうじ(以下、おぐら) 紅白出場歌手と新語・流行語大賞が発表されて、年末感が出てきました。
速水健朗(以下、速水) 発表結果と身の回りの流行の実態が合ってないって騒ぐのは、もう年末の風物詩だねえ。
おぐら 紅白出場歌手に対しても、「こんな歌手知らない」「なぜあの人が出ないんだ」っていう反応は多いです。
速水 今年の初出場はμ's、星野源、BUMP OF CHICKEN、ゲスの極み乙女。と、だいぶサブカル化してる印象があるけど、おぐら君的にはどうなの?
おぐら いや、それぞれもうメジャーでかなり売れてる人たちですよ。本当にサブカル化するなら、ベッド・イン※を出場させて、Sexy Zoneとお色気セクシー対決とかしてほしいですね。
※ベッドイン:90年代バブル期のオイニーを撒き散らす、益子寺かおり(妖精達)と中尊寺まい(例のK)による地下セクシーアイドルユニット。「ヤリたいと思われる存在でいたい」と言い、現在のロリアイドル文化に全面対抗中。
速水 そこ同じ枠!? 「いま抱けるアイドル」ことR指定の地下アイドルと、ジャニーさんのラストプロダクツとも言われるまだ未成年メンバーもいるグループが同格かよ!
おぐら まぁ僕としては、西野カナが出場してくれるだけで、楽しみで仕方がないです。
速水 でも今年はきゃりーぱみゅぱみゅとかももクロとか、当然出そうな人たちが落選した。これまでこのクラスをつなぎ止めておくことで保っていた何かを放棄しだしたのかなって印象を受けた。その一方で、石川さゆり、藤あや子ら演歌勢と、落選が毎年ネットで待ち望まれている和田アキ子らを残しているんだけど。
おぐら かつての紅白って、とくに若い世代には、ダサいと思われていた時代がありましたよね。オファーがきたとしても、あえて紅白には出ないことがかっこいいみたいな。それが最近は、売れてるからには紅白に出たい、出ることがうれしい、ファンも紅白に出てほしいと思う風潮になっています。
速水 確かに近年は、一旦ダメになった紅白の価値の揺り戻しモードだったね。震災は、紅白をもう一度見ようという契機でもあったし、『あまちゃん』とかに紅白が乗っかる流れもあった。
おぐら SNSの実況とも生放送は相性がいいですし、最近は全国民で共有できるような楽しい話題がだいぶ減ってきたせいもあって、どこかみんなで盛り上がりたいという気持ちがあるんでしょうね。これはハロウィンが盛り上がっているのと同じ感覚だと思います。
速水 まあ、そのモードでの紅白は、今年で終了だろうね。一昨年、北島三郎を卒業させて、AKB的な有象無象を大量に出した辺りで、相当な高齢層からの反発があったみたい。今年のラインナップはそこへの反省なんじゃないかな。
おぐら 80年代に活躍したレベッカが、このタイミングで初出場というのも、団塊ジュニア世代への配慮でしょう。
速水 ちなみにゲスの極み乙女。は、甘利経済再生相が、マイナンバーの会見で「私以外私じゃないの~」と歌ってみせた効果での当選かな。
おぐら あの若者への配慮は、それこそゲスいなぁと思いましたけどね。
速水 じゃあ、マイナンバー推進枠ってことで。
おぐら マイナンバーも国民的関心事ではありますが、それに限らず、今って国民の総意を得るのが相当に困難な時代ですよね。何かを選ぶにも意見を言うにも、全員を納得させるのが超難しい。
過去最大級!『スターウォーズ』新記録なるか
速水 一方、映画の興行収入ランキングも出たけど、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』が、相当大ヒットしている感覚だったのに、興行収入では30位以下で予想外だったというのがTwitterで話題になった。
おぐら そうなんですよ。あんなに自分たちのまわりでは絶賛されていたのに、実際には『映画「ビリギャル」』のほうがずっと上でした。
速水 ちなみに酷評が話題になった2作、『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』『ギャラクシー街道』は、それぞれ35位、48位。いつの間にやってたの?っていう『HERO』は8位。
おぐら 個人的にもまわりからも評価の高かった『バクマン。』も、興行収入で見ると34位です。
速水 今年は、これから最大の話題作『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が世界同時公開される。少なくともアメリカでは「オープニング週末3日間における興行成績は全米新記録」間違いなしと言われている。日本での反応は、始まってみないとわからないけど。
おぐら 商品から媒体からパッケージまで、どこもかしこもスターウォーズとのコラボだらけで、さすがにここまでやられると、引くっていうか、こわいです。
速水 1年前から準備が始まった広告キャンペーンは、かつてないほどの規模らしいんだけど、プレス向け試写をやらなかったり、事前情報は極端に抑えてるね。吹き替えのキャストすらまだ発表されてない。もしかしたら子門真人が主題歌※を歌っているかもしれない。
※SW人気にあやかり、日本のレコード会社によって制作された「スターウォーズのテーマ〜カンテナバンド〜」を歌っていたのが、「アニメソング御三家」と称されていた子門真人。発表後ジョージ・ルーカスからクレームがつき、レコードは回収された。
おぐら 子門真人、スターウォーズのテーマの日本語歌詞ヴァージョンを歌ってるんですよね。僕は『トリビアの泉』で知ったので、世代的にはまったく響いてないですけど。
速水 俺だってスター・ウォーズのリアルタイム世代じゃないよ。第一世代は、50歳代。
おぐら サブカルの話をしていても、気づけば40〜50代の話になるんですよ、もう。
「元彼からの手紙」を売る若者
速水 実際にネットで語られた流行語ってことになると、グーグル検索のランキングになるんだけど、1位「マイナンバー」、2位「ラッスンゴレライ」で、5位が「北陸新幹線」と、ユーキャン以上につまらない結果になってしまう。
おぐら いや、だから公平性を保ったものや、マジョリティを獲得するものが、おもしろくなるわけがないんですよ。逆説的すぎて意味が分からないですが、多くの人を楽しませるためには、ニッチを攻めるしか道はない。
速水 価値観や情報の乖離を話題にするのも、もうとっくに2週目感だね。ネットにおいて、行き過ぎたポリティカル・コレクトネスと不寛容は、世界的な流行でもあるって記事を読んだよ※。
※米国で「不寛容」な空気まん延
おぐら つい先日、美濃加茂市の観光協会が作った、顔と同じくらい胸が大きいアニメキャラのポスターがセクハラだと訴えられて撤去されましたよね。あのとき、訴えてる側と擁護側の意見、両方に耳を傾けてみたら、解釈のベクトルも幅も全く違うところを向いていて、こりゃあ分かり合えないぜ……って思いました。
速水 お利口さんたちの声が大きくなっている一方で、めちゃめちゃ倫理感の低い層の動向も目につくわけで。2歳の子どもにタバコを吸わせている動画をフェイスブックにアップした24歳無職の男と、その交際相手で16歳無職の少女が逮捕された事件とかあった。
おぐら 23歳の夫と17歳の妻が、生後16日の赤ちゃんをゴミ箱に入れて窒息死させてしまった事件もありました。僕は10代の子のツイッターをよく見ているんですが、顔出しで下着姿を晒してる女子高生とかいますからね。あと最近、メルカリというオークションアプリで「元彼からの手紙」というのが出品されていて、即行で落札したんですけど、後日「探したけど見つからないのでキャンセルで(^ω^)」って、可愛い絵文字が送られてきましたよ。
速水 それ普通に詐欺じゃん(笑)。返金とかされないの?
おぐら しようと思えばできますけど、別にいいんです。10代と渡り合っていくには、そんなポリティカル・コレクトネスとか言ってたら何もできませんからね。
速水 達観してるのか何なのかわからないよ!
2016年は目指せ「脱エレキ」
おぐら そんな若い世代も問題ですが、今年は老人世代の事件も多かったです。高齢者の運転する車が歩道や警察署に突っ込むというような事故も立て続けに起こったりして。
※福岡県警本部に車で突っ込んだ容疑、84歳の男逮捕
速水 新書でも『下流老人 一億総老後崩壊の衝撃』(朝日新書)がベストセラーになったし。
おぐら で、僕の個人的な流行語大賞は、今年『人間の分際』(幻冬舎新書)もヒットした曽野綾子氏の名言「私はエレキは使わないから」※です。
※「アパルトヘイトを容認している」発言がネットで炎上したことに関して、曽野綾子はその騒動を知らず、その理由を「私はエレキは使わないから」と言った。
速水 パソコンのことなんだよね、ここでの「エレキ」って(笑)。多分、スマホのことですらない。
おぐら もちろん「エレキ」単発でもインパクトは絶大ですが、11月に71歳の海老名市市議会議員が同性愛者に対する差別発言をしたニュースがありましたよね。これも根本は同じだと思うんです。つまり、若年層は倫理観が低下しつつあり、高齢者は倫理観がまったくアップデートされていない。
速水 2016年アメリカ合衆国大統領選挙候補者で、いつも言いたい放題のドナルド・トランプも、「イスラム教徒のアメリカ入国を拒否すべき」の発言で、各方面から大バッシング中。イギリスでは入国拒否の署名運動が起きるみたいな大騒ぎになっている。でも良識的な人々やメディアが批判すればするほど、反民主党、反マスメディアの票を集めてしまう。トランプの支持率ってすぐに下がると言われ続けて、一向に下がらない。
おぐら 常に正しいことだけが求められる圧力が原因で、最近はSNSも息苦しくなってきて、ゆるやかに減退していますよね。その意味でも、「私はエレキは使わないから」を今年の1位に選びたいです。
速水 「上質な暮らし」「ミニマリスト」※の流れで、ぜひ若者の間でもエレキ離れが進んで欲しいね。
※とにかく無駄を削ぎ落とした最低限のモノで生活する人々。合理主義を貫き、「持たない暮らし」「断捨離」などを好む。
おぐら 2016年は、脱エレキ!
速水 それよりもさ、年末になって飛び込んできた宇多田ヒカルの来春の活動再開という話題はどうなの? 本当だったら2015年の芸能ニュースでは最大限のインパクトを持つ情報なんだけど。
おぐら 現時点では、父の照實さんのツイッターで「全くのガセネタです」と、報道内容は否定されています。
速水 極秘で活動再開の準備してたのが漏れた可能性もあるけどね。でも今回の騒動のせいで、これから公式に活動再開の発表があっても、インパクトは半減だよね。その意味で、スポーツ報知の報道は罪深い。
おぐら 宇多田ヒカルが復帰することになれば、これは国民的注目を集めるイベントになることは間違いないですね。
速水 紅白で復帰とかじゃなくてほんとよかった。復活だったら、もう一度北島三郎に復帰してもらうべきだよ。いや、本当に紅白で復活すべきは、今年、「お嫁においで」が再注目された加山雄三だったはず。
おぐら まさにエレキの若大将!
速水 エレキ再評価! でも宇多田はもっと違う形で復帰して欲しい。しれっと赤ちゃん用おむつのCMとかで復活したらおもしろいのに。横漏れ安心、みたいな。
おぐら 情報の漏洩と横漏れをかけたのは正直分かりにくいですけど、今年の夏に無事出産の報告もあって何よりです。
速水 とにかく、復活を楽しみにしてるんだよ。イタリア人のダンナと一緒にチャーミーグリーンのCMで手をつないで復帰したりしたらずっこけるなあ。
おぐら チャーミーグリーン! それ流行ったの20年以上前ですよ……。