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 1911年創業のセーラー万年筆が、社長人事をめぐり揺れている。同社は12日、旧大蔵省(現財務省)出身の中島義雄社長(73)が代表権のない取締役に同日付で退き、比佐泰取締役(63)が社長に昇格する人事を発表。一方、中島氏は決議の無効を訴える事態となっている。

 同社によると11日、取締役4人が中島氏に辞任を要求。拒否され、12日の取締役会で社長解任を決めた。中島氏が会社の不振にもかかわらず私的な講演などに時間を割き、知人が仲介する新事業を手がけるなどしたと説明する。昨年末の取締役会で指摘したが、改善されなかったという。

 中島氏は14日、この決議は無効だとして、自身が社長である確認を求めて東京地裁に仮処分を申請した。取締役会の招集権限は社長の自分にあり、延期を事前に要請したとしている。会社側は「定足数、賛成数ともに足りており、決議は有効」としている。

 中島氏は大蔵省主計局次長を務めたが、過剰接待問題などで95年に退官。船井電機副社長などを経て2009年12月からセーラー万年筆社長を務めていた。

 同社は国産万年筆で業界2位。14年12月期決算は2億円の純損失で、業績が低迷している。中島氏は、会社が解任理由に挙げた行為について「いずれも会社の長期的成長に有用。今年12月期は約10年ぶりの経常黒字の見込みだ」とコメントで反論している。