そろそろ皆さんのところに「通知カード」が届いていることでしょう。
簡易書留なので受け取りを拒否することもできます。ただ、受け取らなくても個人への付番はされているので、番号は決められています。住民票コードから1対1に自動生成されて、住民票の記載事項に含まれます。自分の番号を知る必要が生じたら、マイナンバー記載の住民票の交付申請をすればよいのです。電話では本人確認ができないので教えてくれません。番号法ではみだりに他人のマイナンバーを収集することは、従来の個人情報保護以上に厳しく罰せられます。マイナンバーを含む「特定個人情報」は、たとえ当該の本人が同意していようとも番号法が規定する目的以外の事務に使うことはできません。
通知カードを受け取って自分の番号を知っていないと、各種手続きに支障をきたすのではないかと懸念される人も多いかもしれませんが、マイナンバーの提示は個人については法的義務はありません。公的機関の窓口では、マイナンバーを記入しなくとも手続き上の要件は満たすので受付を拒まれることはありません。もしも受付を拒んだら、市民の正当な権利を不当に制限することになってしまいます。行政上の手続きは一般的に申請者本人の特定ができればいいのであって、名前と住所、場合によっては生年月日と、通常の生活をおくっていれば必ず本人が知っているはずの個人特定情報を記載すればいいはずです。それ以外は個別の手続きが要する情報(健康保険証の記号番号、基礎年金番号など)を求められますが、絶対的な要件となるかどうかは別問題です。
自分に勝手に貼り付けられた「番号」を書かなければサービスは受けられませんよ、という要求は理不尽なもので、個人の権利を不当に侵すものだという感覚を持ってください。マイナンバーに対する批判では国家の一元管理という視点が主要なものですが、私自身はこちらのほうにより問題性を感じています。自分の生涯変わらない名前の一部として、勝手に数字が与えられてしまうこと自体がです。生来の名前はまだ自分の意思で(婚姻や養子縁組、家庭裁判所での氏、名の変更申請など)で変えることができるのに、マイナンバーは問答無用で一生涯死ぬまでの利用が求められます。これは個人の尊厳を冒すレベルのことではありませんか?
便利になればそれでいい、で済ませていいのですか?
しかし役所などでの個人の手続きとは違って、事業所は給与支払報告に記載する法的義務があるので、会社への提示を拒否するのは、雇用主との事実上の力関係で困難だと思われます。また雇用関係になくとも報酬を受けている場合は、報酬を支払う側が支払調書に支払った相手のマイナンバーを記載して税務当局に提出せねばなりませんので、これも報酬の支払い側との関係性によって番号告知を拒否するのは難しいかもしれません。
つまり公権力との間ではまだ強制することはできないけれども、私人間では事実上の権力関係で強要することは可能なのです。住民票コードのときは限られた行政目的と原則非公開の番号でしたので、実質的には公的年金を受給するさいに年金事務所に届け出るだけで高齢者以外は意識しないですむものでした。しかし今回は給与生活者の現役世代が広範に巻き込まれます。会社内権力に抗することは、個人の権利意識が希薄な日本人の場合ほとんど不可能でしょう。
通知カードといっしょに個人番号カード(写真付きの身分証明)交付のための申請書が同封されますが、これは完全に任意ですので積極的に拒否しましょう。ただし、これも将来的には健康保険証の機能を兼ねることが画策されているので、これ以上の制度構築に抵抗していかないと現実の生活上持たざるをえないことになりかねません。消費税を10%にあげたさいに低所得者層の個人番号カードを店に持参させて、税還付のしくみを作ってはどうかという提案がなされました。外出のさいに全員にカードを所持させて、どんな零細な個人店舗であろうとカードリーダーを買わせてネット接続環境につながらなければできない制度です。こんな誰が考えても非現実的なバカバカしい構想が国の官庁から大真面目に提示されて、あっというまに不評を買って消えていったのは記憶に新しいところです。
国家公務員では職員の身分証として使う動きが先行しています。しかし券面には住所が記載されているので、その部分を目隠ししたケースに入れてぶらさげるという苦肉の策も弄しています。カードの設計当初から、そんなことまで考えられていないので当然です。性的マイノリティーの人にとっても、性別が記載されたカードの提示を求められることは耐え難い苦痛になります。そんなことも、もちろん最初から斟酌されてはいないのです。誰が何に苦しむのか、そんなことはおかまいなく全員が使え!ただそれだけです。
マイナンバーの弊害は一元的管理への危険性もさることながら誰でも「見える」番号なので、個人データベースを不正に構築する犯罪が必ずおこります。カード裏面に記載された番号のコピーを禁止しても、いかに罰則を規定しようとも、個人情報が売買されているる現状では、どんなに「禁止」しても実効はありません。本人の意思で変えられる名前と違って、勝手に貼り付けられた生涯かわらない番号なので、これほど完全に追跡可能な個人データはないのです。
また、自分のマイナンバーがどの機関から照会を受けたのかがわかる「マイナポータル」というインターネットサービスが提供されて、あたかも自分の情報管理ができるかのようなしくみが宣伝されてますが、警察の捜査や裁判上の情報提供などのアクセスは範囲外となります。個人情報のデータ連携は29年度から徐々に始まっていきますが、機能するのはそれ以降とということになります。その間にあれよあれよとマイナンバーの利用事務が拡大していくでしょう。可能性としては兵役適齢の青年情報を利用事務に含め、自治体の個別同意なしに情報ネットワークの中間サーバー(全国に2箇所)から収集することもありあえないことではありません。「経済的徴兵制」にむけて世帯構成や収入状況から抽出して、自発的な自衛官応募数見込みなどを算出することもやりかねないのではないでしょうか。特定秘密保護法とからめれば、高度の国防秘密という位置づけで公開しないことも当たり前になります。当然「マイナポータル」では自分へのアクセス記録を参照することはできません。
ああ、まだ書きたいことは沢山あるけれど・・・とりあえずこのへんで。