しかし、米国の雇用環境は堅調に推移しており、個人消費は来年も堅調地合いを維持する見込みだ。米国株の急落といったイベントリスクが発生しないのであれば、米国の国内総生産(GDP)成長率は2%台半ば程度を確保する可能性が高く、低成長に甘んじる日欧や減速感が強まる英国との景況感格差は広がると予想される。
先進国グループにおける米国景気の底堅さが意識されれば、為替市場ではドル買いの動きが続くだろう。一方で、円は上述したように過去3年ほどの勢いで売りの動きが強まることは期待しにくいものの、対ドルで上昇するほど買い需要が強まるとは考えにくい。
この結果、ドル円は緩やかながらも上昇基調が続き、米利上げ継続期待が高まりやすい年央にはドル円が「黒田ライン」と呼ばれる125円を大きく上抜け、130円を目指す展開が期待される。
*村田雅志氏は、ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの通貨ストラテジスト。三和総合研究所、GCIキャピタルを経て2010年より現職。著書に「名門外資系アナリストが実践している為替のルール」(東洋経済新報社)
*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(here)
*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
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