FX Forum
|
[東京 10日] - 今年も残りわずかとなり、識者による来年(2016年)のドル円見通しを目にする機会が増えてきた。昨年と今年の見通しでは、水準の差こそあれ、ドル円は上昇基調で推移するとの見方が大多数だった。
しかし、来年の見通しでは、興味深いことに、ドル円が上昇を続けるとの見方だけでなく、下落に転じるとの見方も示されている。中には、ドル円が来年末までに110円程度まで下落する可能性があるとの大胆な予想もある。
円は2012年から3年間、主要通貨に対し下落を続け、名目実効レートは今年6月には73.8と12年1月の111.35から約34%も下落。ここまで下げたのだから、そろそろ(来年には)円高に転じても不思議ではない、との直感が強まっているのかもしれない。円の名目実効レートが7月以降、緩やかながら上昇に転じ、10月には78.2と6月から約6%も上昇したことで、こうした直感に対する自信が増している可能性もある。
ただ、筆者の目には、来年にはドル円が下落に転じるとする根拠の多くが説得力に欠けると映る。
<国際収支は本当に円高シグナルを発しているのか>
まず、ドル円の下落を予想する方の多くが指摘する日本の経常黒字の拡大について考えてみよう。経常黒字は10月までの累計で14.6兆円と、昨年の2.6兆円を大きく上回っている。経常黒字の拡大は、時間差を伴って円買いの動きにつながるとの指摘もある。
しかし、経常黒字の拡大が第1次所得収支黒字によるところが大きい点に注意を払うべきだ。今年10月までの経常収支(累計)の内訳をみると、貿易・サービス収支は2.0兆円の赤字であるのに対し、第1次所得収支は18.2兆円と、すでに昨年の黒字額(18.1兆円)を上回っている。
ソーシャルトレンド