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地方創生コンテスト 福島の中学生が大臣賞
12月13日 19時22分

地方創生コンテスト 福島の中学生が大臣賞
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地方創生のアイデアを競うコンテストが東京都内で開かれ、福島市の中学生グループが提案した、地元の中学生が旅行プランを考えて、観光ガイドを務めたり、インターネットで宣伝したりする案などが大臣賞に選ばれました。
政府は、地方創生に向けた具体策を一般から募集し、13日、東京都内でコンテストの最終審査会を開きました。審査会には、907の応募の中から選ばれた10の団体と個人が出席し、審査の結果、地方創生担当大臣賞に、高校生以下の部では、福島市立岳陽中学校のグループが、大学生以上の部では、筑波大学の大学院生のグループが選ばれました。
福島市立岳陽中学校のグループの提案は、特産の果物と温泉を売りにした旅行プランをつくり、地元の中学生が観光ガイド役を務めたり、インターネットで宣伝したりして、観光振興を進めるという内容でした。
筑波大学の大学院生のグループのプランは、北海道津別町に、バイオマス関連の企業を誘致して木材産業を活性化させるほか、町内の空き家を利用して、居酒屋や喫茶店を開き、町ににぎわいを取り戻すというものでした。
表彰式のあと、石破地方創生担当大臣は「共感が広がっていくということが大事であり、『地方創生』は『日本創生』だと思っている」と述べ、各地域の積極的な取り組みに期待を示しました。

RESASとコンテスト

今回のコンテストは、全国的に人口が減少していく将来に向けて地域をどう活性化するのか、若者や企業などが政策を提案し、その独自性や実現可能性などを競い合いました。
コンテストの応募の条件となっているのは、政府がネット上で公開している「地域経済分析システム」、RESASを活用することです。RESASは、全国の自治体ごとのさまざまな統計データがグラフや地図などとともに表示されるネット上のシステムで、現在、30種類余り、およそ8億件分のデータが公開されています。例えば、各市町村の将来の人口推計や労働生産性などのほか、個人が持つ携帯電話の位置情報をもとに人の移動や集まり具合を地図上で見ることもできます。
RESASはもともと地方創生に向けた政策を立案する自治体の職員を支援するため、政府がことしから運用を始めましたが、内閣府によりますと、最近では、公開されたデータを活用する動きが民間や学校などにも広がっています。今回のコンテストでは、高校生以下の部と、大学生以上一般の部の2つの部門に47すべての都道府県から合わせて900件余りの応募があったということです。
コンテストの審査は、データに基づいて地域の現状や課題を十分に捉えているかどうかや、独自のアイデアが盛り込まれているかどうか、それに、▽現実的な提案かどうかなどがポイントとなりました。

福島市の中学生チームの受賞理由

福島市立岳陽中学校の生徒たちは、福島の農産物の販売額や観光客の減少について発表を行いました。

調査では、地域経済の分析システムRESASのデータだけでなく、直接、農家への聞き取りも行い、生徒みずから解決策を考え、発表しました。そして、13日の最終審査で岳陽中学校は、生徒が聞き取り調査を行ってデータを裏付けた点や、大人と協力してすでに、取り組みが動き出している点が評価され、最優秀の地方創生担当大臣賞に選ばれました。
岳陽中学校の本多美久さんは「RESASのデータで地域の様子が分かり、自分たちも福島のイメージを見直せました。これから作る旅行プランで、福島のよいところを多くの人に知ってもらいたいです」と話していました。

RESASで議論が活発に

RESASでさまざまな統計データが公開されたことで、将来のまちづくりに関する議論が活発になった地域もあります。

東京の小平市では、街づくりに関心のある人たちがRESASのデータをいわば「酒のさかな」にして議論する、「BARRESAS」というイベントが先月から開かれています。今月10日のイベントにはイラストレーターや調理師など14人が集まり、壁にRESASのデータを投影しながら地域の観光や農業の課題などについておよそ2時間半にわたって熱い議論を交わしていました。
イベントを主催するNPO法人は今回のコンテストには応募していませんが、議論を通じて、地域の活性化に向けた建設的な提言が生まれることを期待しています。NPO法人の竹内千寿恵代表理事は「RESASを活用すれば街づくりに関わりたい人が行政などに対してデータに基づく説得力のある提案をできるようになると思います。今後もRESASを使う人が増えるような働きかけを続けていきたい」と話していました。

専門家「行政サービスへの不満も」

コンテストの審査委員を務めた東京大学の教授で、政策ビジョン研究センターの坂田一郎センター長は「幅広い年代から数多くの提言が寄せられ、高校生などが公開されたデータだけでなく、自分たちでアンケート調査などを行ったうえで提言していたのには驚いた。RESASを使った提言が広がった背景には、地域のニーズをよく知る人たちが今の行政サービスに満足できていないことがあるのだろう。行政はこうした提言を今以上に政策に反映させていく必要がある」と指摘しました。
そのうえで、坂田教授は「データを分かりやすく公開する『オープンデータ化』の取り組みはアメリカなどに比べて日本は遅れていたが、RESASによって遅れを一気に挽回できる可能性がある。一般の人たちがデータをふかんすることで、政策提言はより質の高いものになる」と話していました。

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