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【開発ヒストリー】
三菱鉛筆油性ボールペン「ジェットストリーム」が年間1億本の爆売れ 開発者の「不満」が生んだなめらかな書き味
新開発のインクは乾きやすく書きやすい一方、ペン先を上に向けると逆流しやすかった。逆流すればインクは出なくなってしまう。そこで、インクが入ったチューブの手前にステンレス製の小さな球と板を置いてみた。インクが逆流しそうになると、球と板が動いて通り道をふさぐ仕組みで、ちょうどラムネのビー玉に似ている。こうした工夫により、開発に着手してから3年後には海外での発売にこぎつけた。
それでも、全ての課題が解決されたわけではなかった。海外で発売したのはキャップ式だが、日本は後端部分を押すとペン先が出るノック式が主流だ。ノック式はペン先が常に空気と触れているためインクが乾きやすい。結局、キャップ式とは別に専用インクを開発しなければならなかった。
◇
ヒット商品の仲間入りを果たした現在、新商品の開発は後輩たちに引き継がれている。2年前には高級版「ジェットストリーム プライム」を追加。なめらかな書き味を維持しながら、金属素材を使って質感を高め、ノック操作にも高級感を持たせた。黒、赤、青のボールペンとシャープペンシルを1本に収めた「回転繰り出し式」の商品で5000円もする強気の価格設定にもかかわらず、発売直後から品薄状態が続く。開発に参加した中村祐介氏が「自分だけの一品がほしいというニーズを満たそうと開発した」と話す通り、品質にこだわるビジネスパーソンらが買い求めるという。
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