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【スポーツ】

<首都スポ>甲子園ボウルで早大旋風を 西の壁ぶち破る

2015年12月13日 紙面から

グラウンドのWの文字をバックに、揃ってポーズをとるコグラン・ケビン(前列左から3人目)ら早大アメフット部ビッグベアーズの守備陣=東京都西東京市の早大東伏見グラウンドで(斉藤直己撮影)

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 関東大学アメリカンフットボールに風穴を空けた早大が、13日に兵庫・甲子園球場で開催される全日本大学アメリカンフットボール選手権大会「第70回甲子園ボウル」で日本一に挑む。今年の関東大学リーグ戦で、過去14年で4回優勝の日大と、8回優勝の法大を連破し5年ぶり3度目の優勝を達成。強力守備を原動力に2強時代に待ったをかけた早大が、関西勢の甲子園ボウル9連覇阻止に挑む。 (藤本敏和)

 「甲子園のフィールドに初めて立って、今までのフィールドと違って大きく感じて、ここに立てたんだなとあらためて思いました。勝てばやっと日本一になれます」

 関東大学リーグ最優秀選手、日英ハーフのLBコグラン・ケビン(4年・早大学院)が12日、甲子園での初練習を終え目を輝かせていた。関東の2強、日大と法大を連破しての大舞台。立命大戦を前に、早大の選手は誰もが胸躍らせていた。

 今秋の関東は早大旋風だった。10月25日、関東2連覇中で4年間リーグ戦で無敗だった日大との全勝対決に21−9で勝利。コグランがパントブロックリターンとインターセプトリターンで2TDする、守備の力での劇的な勝利だった。

 そして次節の11月8日、法大と真っ向勝負の末に27−24で勝利。最終節の慶大戦を前にあざやかに関東の頂点を決めた。

 「日本一を目標に掲げていましたが、自分たちは入学してから日大にも法大にも一度も勝ったことがなくて、やはりそこを目標にしてきました。不安もあったんですが、用意してきた作戦をやり抜いて優勝できました」と、主将のDE村橋洋祐(4年・豊中)は頬を紅潮させた。

 早大には、過去2年間にわたってスポーツ推薦による入部者がいなかった。部全体でも主将の村橋と、T島崎貴弘(3年・横浜立野)の2人しかいない。多くの推薦入部者を擁する日大、法大、そして関西の立命大、関学大などとは大きなギャップがある。

 その差を埋めたのが早大学院からの内部進学組だ。同校は2013年まで同点優勝を含め全国高校選手権クリスマスボウルを4連覇。その立役者たちが大学でも部員の約3分の1を占め、優勝の原動力となった。

 早大学院も、高校アメフット界の常勝校だったわけではない。2010年の優勝は実に24年ぶりだった。そして、この高校を育てたのは、2年前から早大も率いる浜部昇監督だ。

 特徴は徹底したフィジカルの強化。20年前、早大学院を引き受けた時から約10年間、試行錯誤した末にたどり着いた結論だった。冬場や春先はもちろん、シーズン中であっても週6回の練習のうち3回はウエートトレーニングや走り込みなどにあてる。

 「高校でやりはじめたときも、大学に導入したときも、当時の選手たちから反発がありました。不安だ、というんです。でも、やってみるといいことずくめで。練習回数が減るからスキル練習に集中しますし、ケガも減る」と監督。昨年は試合の終盤でバテて足が止まる試合も多かったため、今年の冬はさらにフィジカル強化を徹底。それが関東制覇につながった。

 フィジカルの強さが如実に出るのが当たり強さが問われる守備だ。村橋、コグラン、そしてLB加藤樹(3年・早大学院)らが並ぶ守備陣はパワー、スピードに加えてビッグプレーを生み出す爆発力がある。特に日大戦は、エンドゾーン前まで迫られてもTDを許さない粘り強さを見せた。

 ただ、甲子園の相手、立命大は日大や法大をも上回る国内最強のフィジカル集団だ。特にRB西村七斗(2年・大産大付)を中心としたラン攻撃は破壊力抜群。アメフット界では伝統的にスキルのある高校生は関学大、パワーのある高校生は立命大に進学すると言われてきたが、今年の立命はさらに迫力を増している。

 だが、そんな状況も望むところだ。コグランは「高校時代からやっていて推薦入学で入ってきた選手が多いような、そういうチームを倒すのがいいんです。立命オフェンスは関東勢をはるかに超えると思うので何をやれば止められるというのはないと思うんですが、全員が集まれば必ず止まると思います」と、自信をのぞかせた。浜部監督が高校時代からフィジカルを鍛え上げた早大の選手たちが立命を止めれば、甲子園というアウェーでも関西勢の連覇を止めることができるはずだ。 

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