「部から放り出すぞ」脅迫で捜査費私的流用継続
兵庫県警の警察官15人が捜査費の私的流用を繰り返していた問題で、主導した元警部補の男性(52)=懲戒免職=が部下に不正を強要し、自身の報告書も偽造させていたことが分かった。「生活安全部から放り出すぞ」などと高圧的な言葉で脅し、加担するよう迫っていたという。
県警によると、元警部補らは領収書のいらないゲームセンター代として不正請求を続け、約80万円の捜査諸雑費を受け取っていた。県警は全額を返納させ、11日に元警部補ら5人を詐欺などの疑いで書類送検した。
河本博幸・県警監察官室長は「警察官にあるまじき行為で県民におわびする。業務管理を徹底して再発防止に努める」と述べた。
諸雑費は、警察庁が捜査の効率化などを目的に2001年に導入した制度。前払いで上司の事前決裁も不要なため、全国で着服や詐取が相次いでいる。
群馬県警では12年、捜査2課の男性巡査部長が、交際女性を捜査協力者と偽って飲食に流用したとして懲戒免職に。愛知県警でも13年、女性らとの飲食に流用した男性警部補が懲戒免職になった。
元北海道警釧路方面本部長で捜査費を巡る裏金問題を告発した原田宏二さん(77)は「上司を含めて公金への意識が低すぎる。全国で同様の不正があり、発覚しているのは氷山の一角に過ぎない。警察組織全体の問題としてとらえ、チェック体制をさらに強化すべきだ」と指摘する。【茶谷亮】