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中国のチベット人虐殺こそ世界記憶遺産に登録せよ!

2015年12月11日 公開

ケント・ギルバート( 米カリフォルニア州弁護士、タレント)

習近平に呆れたオバマがついに軍艦派遣

 

 去る9月22日、習近平はアメリカを訪問しましたが、同時期に訪米していたカトリック教会の最高指導者であるローマ法王への歓迎ムードに溢れたアメリカ国内では、驚くほど注目されませんでした。

 さらに米国防総省は、習近平一行がシアトルに到着したその日に、「9月15日に中国軍機がアメリカの偵察機に異常接近した」という、1週間以上前に黄海上空で発生した事件の発表を行ないました。わざわざ習近平訪問のタイミングにこの種の発表を行なったことからも、アメリカがいかにPRCを警戒しているかがわかります。

 かつてあれほどの親中ぶりをアピールしていたオバマ政権も、いまやPRCに信頼を置いていません。その大きな理由は、PRCによるサイバー攻撃と、南シナ海における覇権拡大の動きです。

 今回の米中両政府は、互いにサイバー攻撃を容認せず、閣僚クラスの対話メカニズムを構築することで合意しましたが、自らも「被害者だ」と開き直る習近平に対して、オバマ大統領は珍しく、「問題は実行するかどうかだ。場合によっては経済制裁も辞さない」と強く迫っています。じつは、現在米中間で繰り広げられているサイバー戦争の実態は凄まじいものがあり、PRCもまた、アメリカから仕掛けられる情報戦争を極度に恐れています。なぜなら、アメリカとの情報戦争に敗北すれば、共産党政府が必死に隠しているあらゆる「秘部」が公になってしまい、人民の猛烈な怒りに火がついて、共産党による一党独裁体制の崩壊すら招きかねないからです。

 また、人工島の埋め立てと戦闘機用滑走路を急ピッチで建設している南シナ海の問題では、米中はまったく合意に至ることができず、アメリカの深刻な懸念表明に対し、習近平は「南シナ海島嶼は中国古来の領土であり、中国は合法、正当な海洋権益をもっている」と強気の姿勢を崩しませんでした。さすがにオバマ大統領も呆れ返ったらしく、ついに軍艦派遣を決断しました。

 ロイター通信は10月27日、米国防当局者の話として、横須賀基地に配備しているイージス駆逐艦「ラッセン」を南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島で中国が建設している人工島の12カイリ(約22キロ)内に派遣したと報じています。

 ちなみに、今回の訪米で面白かったのは、シアトルで財界人らが参加した習近平歓迎のための歓迎晩餐会のメニューです。まず、前菜のサラダには大根が使われたのですが、その英語表記は「ラディッシュ」ではなくて「DAIKON」、続く主菜で出された「ワサビ入り」のマッシュドポテトには「WASABI」と記載されていました。また、ベジタリアン用のメニューには「EDAMAME(枝豆)」の記載もあり、極めつきは、習近平に出されたワインが1本1500円程度の「超お手頃価格」の品であった、ということです。

 到着早々シアトルのボーイング社で旅客機300機を爆買いした「国賓」に出すべきメニューにしては質素に感じられますが、あるいはこんな「辛口メニュー」も、PRCに対する日米初の「集団的自衛権行使」であったとしたら、ワサビとウィットが効いた、なかなかのメッセージであったといえるでしょう。

 

全世界的には「大成功」だった反日軍事パレード

 

 もちろん、習近平もコワモテばかりではいけないことは百も承知です。訪米後の9月27日、軍事パレードで手なずけておいた潘基文国連事務総長と共同主催した「ジェンダーの平等と女性の地位向上」のためのサミットにおいて、「中国指導部は女性の権利を尊重している」と強調しました。アメリカ国内の女性に向けたイメージ戦略のつもりだったのでしょうが、これを聞いてひっくり返った人も多かったに違いありません。

 なぜならPRCでは、今年3月8日の国際女性デーを前に、公共交通機関でのセクハラ抗議イベントを計画していた5人の女性活動家を当局が拘束するという事件が起こっており、また、2010年のノーベル平和賞受賞者で、現在投獄中の民主活動家・劉暁波氏の妻も、今日まで5年間、自宅軟禁状態にあるからです。

 習近平の国連での発言に対して噛みついたのは、自らもフェミニストであるヒラリー・クリントンでした。次期大統領選を控え、共和党候補の不動産王ドナルド・トランプ氏に対する牽制もあるのでしょうが、彼女は自身のツイッターで、「女性の権利を主張する人たちを迫害しながら、国連で女性の権利のための会議を主催する?この恥知らず!」と、習近平を強烈に批判したのです。

 今年4月の米議会演説において、安倍総理は、「女性の人権が侵されない世の中を実現しなくてはいけません」と女性の権利向上に言及し、スタンディング・オベーションを受けました。安倍総理を意識した習近平の試みは失敗しましたが、そもそも訪米自体が大失敗だったというべきでしょう。アメリカはもはや、自らの言行不一致を恥とも感じない「二重人格」と、軍事面での「好戦性」、法律の運用や経済における「不透明さ」を解決できないPRCを信用できないのです。約束の履行さえ期待できない国家と、TPPのような国際協定を結べるはずがなく、「人民元」の国際通貨化もありえません。

 今後のさらなる市場開放を求めていく上で、アメリカはPRCの社会を民主化したいと願っていますが、それは中国共産党による一党独裁体制の崩壊に直結しますから、彼らには受け容れられないでしょう。

 PRCのように、公にできない「袖の下の怪しい関係」で物事を推進する国は、透明性を最も嫌います。しかし、透明性を確保しないかぎり、PRCが本当の意味での先進国の仲間入りを果たし、また日米をはじめとする諸外国から本物の信頼を得ることはありません。

 反日軍事パレードと習近平の訪米は、PRCの「二重人格」と「好戦性」、および「不透明さ」を世界にアピールし、善良な日本人に国際機関の胡散くささを気付かせたのみならず、親中一辺倒だったあのオバマ大統領に、人工島への軍艦派遣を決断させたという点で、全世界的に見れば「大成功」だったといえるでしょう。

著者紹介

ケント・ギルバート(Kent Sidney Gilbert)

米カリフォルニア州弁護士、タレント

1952年、米アイダホ生まれ。1971年に初来日。1980年、国際法律事務所に就職して東京に赴任。TV番組『世界まるごとHOWマッチ』に出演し、一躍人気タレントへ。最新刊は『不死鳥の国・日本』(日新報道)。公式ブログ「ケント・ギルバートの知ってるつもり?」で論陣を張る。

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