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中国のチベット人虐殺こそ世界記憶遺産に登録せよ!

2015年12月11日 公開

ケント・ギルバート( 米カリフォルニア州弁護士、タレント)

「公平不偏」の国連事務総長

 

 国連では、潘氏の事務総長就任後に、韓国人の登用が急増しましたが、そのほとんどが「コネ登用」だといわれています。一方で、激変した職場の雰囲気に嫌気が差して、退職する他国の国連職員が続出したそうです。

 また、今回の軍事パレードには、「ダルフールの虐殺」を行なった戦争犯罪人として国際刑事裁判所(ICC)から国際指名手配されているスーダンのオマル・バシル大統領も出席していました。習近平はバシル大統領をして、「中国人民の古くからの友人だ」として熱烈歓迎、潘事務総長もこのバシル大統領と一緒になり、核弾頭を搭載して日本の大都市に狙いを定めている長距離ミサイル部隊の行進観覧を大いに楽しみました。しかし、以前国連加盟国に対して、このバシル氏の逮捕状執行に向けた手続きを取るように要請したのは、何を隠そう潘事務総長自身なのです。さすがは、「公平不偏」の国連事務総長というべきでしょうか。

 ただ私は、潘基文国連事務総長や、前述したユネスコのイリナ・ボコバ事務局長らには、心から「感謝」したいとさえ思っています。なぜなら、今回の一連の問題で、日本人の多くが、ようやく馬鹿馬鹿しい国連信仰から目覚め、国際機関の看板がいかに胡散くさいものであるかに気付き始めたのですから。

 日本政府も、片山さつき参院議員がまず抗議の声を上げ、その後に菅官房長官が厳しい口調でユネスコや潘事務総長を非難しましたが、それを見て、「あ、日本もちゃんと反論するようになったのか」と意外に思いました。これまではつねにやられっ放しだったのに、それにやっと気付いたのだなと思い、嬉しくなりました。

 

中国とアメリカの「踏み絵」を踏んだ韓国

 

 今回の軍事パレードに参加した各国首脳のなかで、ロシアのプーチン大統領を除いてとくに目立ったのが、韓国の朴槿惠大統領でした。しかし韓国は朝鮮戦争の際、突如、北朝鮮軍側に付いて参戦した100万人ものPRCの義勇軍によって、甚大な被害を受けたはずです。

 朴大統領本人の言葉を借りれば、「加害者と被害者の関係は一千年経っても変わらない」はずですが、PRCから受けた被害は、珍しく水に流したのでしょうか。

 韓国は「日本に勝利した仲間」というPRCの虚言に目が眩み、もはや冷静な判断がつかなくなっています。大日本帝国の一員として共に戦った民族によって戦後に建国された韓国が、日本と真正面から戦ったことすらないPRCと一緒になって「日本に勝った」と連呼しているという、じつに滑稽な姿を世界に晒したのです。

 朴大統領に対して憐みすら感じるもう一つの問題は、自身の行為がPRCに利用されているだけという現実に気付いていない点です。PRCは日本を攻撃する仲間を増やしたいのと同時に、自分たちの手先となって動く国がほしい。韓国を完璧な「操り人形」にしたいのです。ですから、PRCは朴大統領の軍事パレード参加にそうとうこだわり、また、参加に向けた早期の返事がなかったことに対してかなり焦っていたらしい形跡があります。

 今回の軍事パレード参加について、アメリカ政府は朴大統領に自制を求めたのですが、朴氏はそれに耳を貸さないまま飛び出し、自らPRCに忠誠を誓うという「踏み絵」を踏んでしまいました。朴大統領は、慰安婦問題と南京事件を世界に広めるという点で、いまやPRCと共闘しているつもりなのでしょう。しかしPRCは韓国をたんなる「手駒」だとしか見ていません。

 ユネスコはPRCが登録を求めた2件のうち、慰安婦問題の登録を見送り、南京事件の文書だけを登録しました。次回は中韓で共同申請するという「エサ」に食いつけば、あと2年は韓国をアゴで使えます。朴大統領は習近平の思惑に嵌まってしまったのかもしれませんね。

 このような朴大統領の外交姿勢に対し、アメリカ国内では、韓国のあまりの親中ぶりを警戒する声が上がっています。このまずい状況にようやく気付いたのか、朴大統領は今年10月に訪米して、16日には米韓首脳会談を行なったものの、オバマ大統領からは「中国が国際規範に反する行動を取ったときは、アメリカと行動を共にしろ」と対中関係での米韓の連携強化を迫られてしまい、こちらでも「踏み絵」を踏まされることになりました。

 ちなみに、希望した米議会演説は設定されず、公式晩餐会も開かれないなど、歓迎ムードはまったくありませんでした。右に左にあたふたする事大主義も、ここまで来ると滑稽さを通り越して、悲哀すら感じます。

 

中韓のユネスコへの申請は「諸刃の剣」

 

 一方、論理的な側面から見てみますと、今回のユネスコによる南京大虐殺文書の採択と慰安婦問題の不採択は、じつは中韓両国にとって「諸刃の剣」になりうるということに気付きます。

 PRCの主張によると、いわゆる「南京大虐殺」というのは、大昔の戦争の最中、1カ所で限られた時間内に行なわれた事件とされていて、一応の被害者も「南京にあった女子供を含む民間人30万人」と限定されています。しかしこういった大虐殺と見なされる事例は、ほかにも似た事件があり、南京大虐殺とPRCがいっているような事件は「ワン・オブ・ゼム」でしかありません。

 そもそも南京大虐殺は、1937年12月に起きたはずですが、国民政府を率いた蒋介石は終戦までこの件で日本を1度も非難したことはなく、またアメリカ政府が日本の戦争犯罪を徹底的に叩くつもりで全力を尽くして調査した「IWGレポート」でさえ、資料がいっさい発見できなかった根拠薄弱なものです。評論家の石平さんはPRCに住んでいた当時、南京大虐殺の話など聞いたことがなく、教科書にも載っていなかったそうです。

 事実認定できる証拠がこれだけ乏しい事件が登録されるのであれば、数千万人単位の死者を出した「大躍進政策」や「文化大革命」、あるいは現在も進行中のウイグル人、チベット人虐殺こそ、はるかに世界記憶遺産に登録される価値があります。いずれ問題提起する人も現れるでしょう。つまり、歴史問題でユネスコを利用した今回のPRCの戦略は、自らにとってはいつか「やぶ蛇」となって返ってくる可能性があるわけです。

 一方で、慰安婦問題はまったく別です。慰安婦のような戦場売春婦は今日までのすべての戦争に存在します。慰安婦を世界記憶遺産登録に採択すると、対象となる被害者は世界人口の半分を占めるすべての女性となるだけでなく、貧富の差や格差の問題にまで飛び火してしまう可能性があります。いくらユネスコといえどもこれを採択することはできなかったのだと思います。PRCの提出した根拠資料がいい加減だったこともあるのでしょうが。

 一方、今回ユネスコが慰安婦問題を不採択とした事実を日本が利用することも考えられます。今後海外のどこかで慰安婦像を建てる動きが出れば、「ユネスコも拒否したではないか」との議論を展開できるからです。

 つまり、南京大虐殺や慰安婦問題のユネスコへの申請は、中韓にとって良いことばかりではなく、自らの首を絞めることにも繋がりかねないわけです。

 10月の朴大統領の訪米中に、在米ベトナム人権団体が、ベトナム戦争時の韓国軍によるベトナム女性への性暴行への謝罪を朴大統領に要求した件はまさに象徴的です。

 これからの日本は、こうしたPRCと韓国にとって不都合な状況を、戦略的にうまく利用して戦っていくべきです。ロビイストも積極的に使いましょう。

 

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著者紹介

ケント・ギルバート(Kent Sidney Gilbert)

米カリフォルニア州弁護士、タレント

1952年、米アイダホ生まれ。1971年に初来日。1980年、国際法律事務所に就職して東京に赴任。TV番組『世界まるごとHOWマッチ』に出演し、一躍人気タレントへ。最新刊は『不死鳥の国・日本』(日新報道)。公式ブログ「ケント・ギルバートの知ってるつもり?」で論陣を張る。

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