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探査機「あかつき」 金星に向け あす再挑戦12月6日 18時42分
5年前、メインエンジンのトラブルで金星を回る軌道に入ることに失敗した日本の探査機「あかつき」が、7日午前、残された小型のエンジンを使って再挑戦します。「あかつき」はすでに設計寿命を超え、部品の劣化が進んでいるおそれもあり、極めて難易度の高い挑戦になります。
5年前の平成22年5月に打ち上げられた日本の金星探査機「あかつき」は、当初、その年の12月に金星を回る軌道に入る予定でしたが、メインエンジンが噴射中に壊れ、当時の計画は失敗しました。「あかつき」はその後、本来の目的から外れて太陽の周りを回っていましたが、7日午前、残された姿勢制御用の小型のエンジンを使って金星を回る軌道に入ることに再挑戦することになりました。
「あかつき」は現在、徐々に金星に近づいていて、7日朝には金星の上空およそ500キロに到達します。そして、午前8時51分から20分余り小型のエンジンを進行方向に向かって噴射させ、スピードを落として金星を回る軌道に入れる計画です。
神奈川県相模原市にあるJAXA=宇宙航空研究開発機構の管制室では、6日は探査機の姿勢を変える最後の調整が行われ、再挑戦に向けた準備が整いました。
しかし、「あかつき」はすでに設計寿命の4年を1年余り超えているほか、当初の想定にはなかった太陽に近い軌道を飛行したため、熱にさらされて部品の劣化が進んでいるおそれもあり、JAXAは極めて難易度の高い挑戦になるとしています。
「あかつき」の責任者を務めるJAXAの中村正人プロジェクトマネージャは「やるべきことはすべて行い、準備は整った。必ず成功させたい」と話しています。
「あかつき」は現在、徐々に金星に近づいていて、7日朝には金星の上空およそ500キロに到達します。そして、午前8時51分から20分余り小型のエンジンを進行方向に向かって噴射させ、スピードを落として金星を回る軌道に入れる計画です。
神奈川県相模原市にあるJAXA=宇宙航空研究開発機構の管制室では、6日は探査機の姿勢を変える最後の調整が行われ、再挑戦に向けた準備が整いました。
しかし、「あかつき」はすでに設計寿命の4年を1年余り超えているほか、当初の想定にはなかった太陽に近い軌道を飛行したため、熱にさらされて部品の劣化が進んでいるおそれもあり、JAXAは極めて難易度の高い挑戦になるとしています。
「あかつき」の責任者を務めるJAXAの中村正人プロジェクトマネージャは「やるべきことはすべて行い、準備は整った。必ず成功させたい」と話しています。
かつてないほど難易度の高い挑戦
「あかつき」は、メインエンジンが壊れて使えないほか、部品の劣化が進んでいるおそれがあり、日本の宇宙探査の中でもかつてないほど難易度の高い挑戦になります。
「あかつき」が今回の再挑戦で使用する姿勢制御用の小型のエンジンは、4基を同時に噴射してもメインエンジンの推進力の5分の1以下しかないため、20分間余りにわたって噴射し続けなければなりません。しかし、小型のエンジンは、そうした長時間の使用を想定したものではないため、JAXAは「長時間作動するかどうかはやってみなければ分からない」としています。
また、「あかつき」は、設計寿命の4年を超えて、飛行開始からすでに5年半が経過しているうえ、5年前の失敗に伴って、当初の予定にはなかったより太陽に近いコースを飛行したため、最も高いところでは140度の高温にさらされています。これは、当初、想定されていた最高温度の100度を40度上回るもので、設計上は180度まで耐えられることになっていますが、JAXAは「事前の想定にはない高温の状態にさらされたことで部品の劣化が進み、トラブルが起きるおそれもある」としています。
「あかつき」が今回の再挑戦で使用する姿勢制御用の小型のエンジンは、4基を同時に噴射してもメインエンジンの推進力の5分の1以下しかないため、20分間余りにわたって噴射し続けなければなりません。しかし、小型のエンジンは、そうした長時間の使用を想定したものではないため、JAXAは「長時間作動するかどうかはやってみなければ分からない」としています。
また、「あかつき」は、設計寿命の4年を超えて、飛行開始からすでに5年半が経過しているうえ、5年前の失敗に伴って、当初の予定にはなかったより太陽に近いコースを飛行したため、最も高いところでは140度の高温にさらされています。これは、当初、想定されていた最高温度の100度を40度上回るもので、設計上は180度まで耐えられることになっていますが、JAXAは「事前の想定にはない高温の状態にさらされたことで部品の劣化が進み、トラブルが起きるおそれもある」としています。
金星の気象の謎に迫る
太陽系の惑星の中で地球のすぐ隣にある金星は、誕生した時期や大きさが地球とほぼ同じで地球の「双子星」とも呼ばれていますが、二酸化炭素の影響で地表の温度がおよそ470度と高温になっているほか、硫酸の厚い雲に覆われるなど地球とは異なる点が多く、探査機「あかつき」は、そうした金星の気象の謎に迫ろうとしています。
金星は、直径が地球の0.95倍、質量が地球の0.82倍とよく似ているほか、誕生したのも地球とほぼ同じおよそ46億年前とされています。一方で、「金星の気象」は、二酸化炭素の影響で地表の温度がおよそ470度と高温になっているほか、硫酸の厚い雲に覆われ、その中では「スーパーローテーション」と呼ばれる秒速100メートルの猛烈な風が吹き荒れるなど、地球とは大きく異なっています。
JAXAは、「あかつき」による観測で、「双子星」と呼ばれる金星が、なぜ、地球とは全く異なる気象環境になったのか、本格的な解明を目指すことにしています。
さらに、JAXAは、金星の気象の解明を通じて、金星で起きている“究極の温暖化”の仕組みも明らかにできれば、将来的に地球の温暖化の研究にも役立てられる可能性があるとしています。
金星は、直径が地球の0.95倍、質量が地球の0.82倍とよく似ているほか、誕生したのも地球とほぼ同じおよそ46億年前とされています。一方で、「金星の気象」は、二酸化炭素の影響で地表の温度がおよそ470度と高温になっているほか、硫酸の厚い雲に覆われ、その中では「スーパーローテーション」と呼ばれる秒速100メートルの猛烈な風が吹き荒れるなど、地球とは大きく異なっています。
JAXAは、「あかつき」による観測で、「双子星」と呼ばれる金星が、なぜ、地球とは全く異なる気象環境になったのか、本格的な解明を目指すことにしています。
さらに、JAXAは、金星の気象の解明を通じて、金星で起きている“究極の温暖化”の仕組みも明らかにできれば、将来的に地球の温暖化の研究にも役立てられる可能性があるとしています。