寺潜伏の労働団体委員長逮捕を見送り 一時緊張=韓国警察

【ソウル聯合ニュース】韓国の警察当局は9日、違法集会を主導したなどとして指名手配され、韓国仏教最大宗派の曹渓宗の総本山・曹渓寺に潜伏している労働組合の全国組織・全国民主労働組合総連盟(民主労総)委員長、ハン・サンギュン氏(52)について、曹渓宗側の要請を受け入れ、同氏の逮捕を見送ることにした。

 ハン氏は先月、ソウル都心で行われた朴槿恵(パク・クネ)政権の労働改革政策や歴史教科書の国定化などに抗議する大規模な集会を主導したとされる。集会には主催側推計で約13万人、警察推計で約6万8000人が集まり、2008年の米国産牛肉の輸入再開に反対する集会以降、最大規模となった。警察と一部の参加者らが衝突し、警察が使った放水銃を受けた60代の男性が重体になるなど、警官隊を含む140人以上が負傷した。朴大統領は閣議で集会について、「違法な暴力事態」とした上で、「違法な暴力行為は韓国の法治を否定し、政府を無力化する意図がある」と強く批判していた。 

 ハン氏は今年5月の旅客船セウォル号犠牲者を追悼する集会で道路を占拠し、青瓦台(大統領府)への行進を試みた容疑で指名手配中だったが、先月の集会後に警察当局の手が及びにくい曹渓寺へ保護を要請し、同寺に居座り続けている。曹渓寺側は一部の信徒らの反発を受け、今月6日までに退去するよう要請したがハン氏は拒否。警察当局はハン氏に対し、9日午後4時までに出頭しなければ逮捕状を強制執行すると通告していた。

 警察当局は曹渓寺周辺に機動隊など約1000人の警察官を配置し、ハン氏の逮捕に踏み切る構えを示した。警察の突入に反対する同寺関係者らをハン氏の潜伏先から連れ出す過程で双方がもみ合う場面もあり、一時は緊張が走った。

 曹渓宗側は同日5時ごろ、記者会見を開き、「あすの正午までにハン氏の去就問題を解決する」として、逮捕状の執行を延期するよう求めた。警察当局は曹渓宗側の要請を受け入れ、警察官らを曹渓寺の敷地内から撤収させた。

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