「韓国人容疑者、自ら日本に入国して逮捕 日本警察もびっくり」などのタイトルで報じたのは、東亜日報(電子版、10日)。潔白を証明するため入国した可能性や、政治的な主張を行うためすすんで日本へ戻ったとの説のほか、「一部で、韓国政府が外交的な影響を考慮して、全氏に日本への入国を促したのではとの推測も出ている」との見方を載せた。
聯合ニュース(電子版)は9日、「外交的な影響を勘案した韓国政府当局が、全氏に日本で調べを受けるよう促した可能性も提起されているようだが、現在のところ確認はされていない」などと報じた。
全容疑者の母親のコメントを掲載したのは10日付の朝鮮日報(電子版)で、同紙の電話取材に母親は「誰かが日本に行かせたように思える」「韓国警察に聞いても事情が分からず、ニュースを見ろとだけ言う。日本へ自国民を引き渡したんじゃないか」と語った。
現地メディアなどによると、全容疑者は全羅北道南原出身。検定試験で高卒課程を終え、2009年、下士官として空軍に入隊した。5年以上軍隊生活を送り、今年3月に除隊。軍では独身者宿泊施設で生活し、除隊後は韓国中西部、群山市のワンルームマンションに一人で暮らしていた。過去に犯歴はなく、反日団体などに所属していなかったという。
各紙が報じる通り、全容疑者の再入国には謎の部分が多い。
韓国籍の人物が日本国内で事件を起こし、容疑者として特定され、韓国に帰国した場合、日本の警察当局は、日韓犯罪人引き渡し条約に基づく身柄の引き渡しの要請を行うことになる。