火薬所持し再入国か 荷物からタイマーも
靖国神社(東京都千代田区)の公衆トイレで爆発音がして不審物が見つかった事件で、建造物侵入容疑で逮捕された全昶漢(チョン・チャンハン)容疑者(27)=韓国籍=が9日の再入国時に持っていた荷物の中から火薬とみられる粉末状の不審物やタイマーが見つかっていたことが捜査関係者への取材で分かった。警視庁公安部は、再び事件を起こすために時限式発火装置の材料を持ち込もうとした可能性があるとみて調べている。
捜査関係者によると、全容疑者は9日午前8時ごろ、日帰りの予定で韓国の金浦空港を出発し、同10時ごろ羽田空港に到着した。公安部が韓国を出国する際に機内に預けた荷物を調べたところ、中から不審物が見つかった。全容疑者は荷物を受け取る前に、再入国の情報を得て空港に待機していた捜査員に任意同行を求められており、荷物について「自分のものではない」と説明しているという。
爆発音がした靖国神社の公衆トイレでも、床にデジタル式のタイマーが落ちていたほか、天井裏から見つかった金属製のパイプには、火薬のようなものが詰められ、一部は燃焼したような痕跡もあった。全容疑者が国内に滞在中に購入した形跡はなく、公安部はこの時も韓国から持ち込んだ可能性があるとみている。
全容疑者は「靖国神社に爆発物を仕掛けた」と一度は供述したが、その後は否認に転じているという。公安部は11日午前、全容疑者を東京地検に送検した。【堀智行】