小型無人飛行機(ドローン)の飛行ルールを定めた改正航空法が、きのう施行された。

 高さ150メートル以上の空域や人口密集地の上空は、国土交通省の許可がなければ飛ばすことができなくなる。これまで規制がなかった無線操縦機なども対象になる。違反すれば50万円以下の罰金が科される。

 法改正は4月に首相官邸の屋上にドローンが落下した事件などをきっかけに検討された。マルチコプターと呼ばれる新しいタイプだけでも、国内ですでに1万機以上が普及していると見られ、飛行ルールの策定は喫緊の課題だった。

 ビジネス面を中心に、ドローンへの期待は大きい。

 宅配便や橋、トンネル、高層ビルの壁面といった人の目が届きにくい部分の点検や、災害時の避難誘導や支援など多様な分野での活用が想定される。

 一方で、落下などのトラブルも少なくない。安全を最優先するのは当然のことだ。

 産業界にとっても、守るべきルールが明確になれば、新規事業や投資の計画を立てやすくなるだろう。

 ただ、トラブル防止を意識するあまり、ルールを厳しくしすぎた面はないだろうか。

 たとえば重さ規制だ。200グラム以上の機種はすべて対象となったが、これでは玩具のようなドローンも含まれかねない。

 人口密集地の指定も、現時点では、1平方キロメートル単位の区分全体で判断される。このため、東京23区や大阪市など都市部の多くは、河川敷や空き地があったとしても、原則として飛行できなくなった。

 ドローンの利点は、操縦が比較的簡単で、練習すれば誰もが使えるところにある。ビジネスだけでなく、趣味としての利用や、新しい映像表現などに使いたいとのニーズは強い。

 遊び感覚の延長線上で、新しい仕事の仕方や社会課題の解決方法が生まれることも少なくない。規制をあまりに強めすぎると、そうした創意工夫の余地を狭めてしまうことになりはしないか。

 政府は、今後も必要なルールの整備を急ぐという。飛行上の規制だけでなく、機体としての安全を高める規制も必要だろう。あわせて、操縦技術を身につけたい人が練習場所や教育機会を確保しやすくする仕組みなども検討すべきだ。

 ドローンは新しい技術だけに未知の部分も多い。実態を十分に把握しつつ、規制と活用のバランスを考えたこまめな見直しにつなげてもらいたい。