くらし☆解説「本当はどうなの?食肉のリスク」 2015.12.09


生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは。
「くらしきらり解説」です。
きょうはこちら本当はどうなの食肉のリスクというテーマです。
担当は合瀬宏毅解説委員です。
まず食肉のリスクというのはどういうことなんでしょうか。
合瀬⇒先日WHO・世界保健機関の中の国際がん研究機関がハムやソーセージなど肉の加工品ですとか、肉そのものを過剰に食べるとがんのリスクが高まるということを発表しました。
肉は私たちにとって重要なたんぱく源で食生活にも欠かせないものですから消費者や業界団体からは不安ですとか反発が相次いでいまして、政府も誤解を招く発表だとして対応に追われています。
発表されたのはどういう内容ですか。
国際がん研究機関はさまざまな食品や化学物質を対象に人に対する発がん性を調べその根拠の確かさに応じて5段階に分けて発表しています。
今回、肉の摂取量とがんとの発症に関するおよそ800の論文を10か国22名の専門家が分析した結果ハムやソーセージなど肉の加工品については発がん性があるとする最も高いグループ1に牛や豚など哺乳類の肉については恐らく発がん性があるとする2番目のグループに分類されました。
鶏肉は入っていないんですね。
哺乳類です。
国際機関は、これまでに1のグループに、たばこですとかアスベストアルコール飲料などを分類していますし2Aには、紫外線やディーゼルエンジンの排気ガスなどを分類しています。
今回はリスクの大小ではなくてがんとの関連性の強さを発表したものではありますけれどこうしたものと同程度ということで衝撃的な内容でした。
肉好きにはショックですね。
そのうえで、Q&Aで加工肉についてはいくつかの研究機関からは毎日継続して50g食べることで大腸がんのリスクは18%増加すると推定されるとしていますし肉の場合にはより弱い根拠ながら100g摂取するごとに、大腸がんリスクは17%増加するという可能性が示唆されるというデータがあると紹介しています。
加工肉50gは少しですよね。
ウインナーソーセージにしたら大体3本ぐらいです。
ですから発表があった途端にイギリスとかドイツなどの食肉専門店では売り上げが激減したという報告がありましたし日本の食品安全委員会にも消費者の相談が相次いでいます。
国民健康・栄養調査がありますが一日当たりの摂取量を発表しています。
食肉の摂取量の比較ということで、日本人の男性ですが年代別に並べたものです。
一日当たりに摂取した加工肉の量最も多い年代で15歳から19歳です。
25g摂取しています。
全年齢の男性だけだと平均は15gです。
女性を含めると13gです。
国際機関が例として挙げた50gからすると摂取量の多い男性でも大きく下回っています。
毎日の平均はそれほど高くないんですね。
一方で牛や豚などの食肉の摂取量なんですが15歳から19歳、この年代がいちばん多くなっています。
国際機関が例として挙げたのは100gの摂取ですのでその水準までは達していません。
こうしたことから日本の食品安全委員会では平均的な摂取の範囲内であれば食肉や加工肉がリスクに与える影響はないか、あっても少ないという考えを発表しました。
毎日過剰に食べ続けなければそんなに心配することはないんですね。
それについて、気をつけなくてはいけないのは今回の発表というのはあくまでも一定のグループの聞き取りとか追跡調査で記録、データをもとにした疫学データを発表したものだということなんです。
評価の解釈には注意が必要だということなんです。
今回の発表がリスクの原因となった成分を特定したものではありません。
それにがんとの関連性については各国の食生活や人種差なども考慮しなくてはいけないとされています。
ただ日本での調査も、肉をたくさん食べるとリスクは高まるという傾向は同じです。
日本の国立がん研究センターが45歳から74歳の全国8万人の男女について肉類の摂取量と大腸がんの発生率について調べています。
これによりますと、ハムなどの加工肉の摂取量による大腸がんの上昇は見いだせませんでした。
一方で牛や豚などの肉を一日80g以上食べている女性のグループは鶏も含めた肉全体の摂取量の多い100g以上食べる男性は大腸がんのリスクは高くなっています。
日本では加工肉にはリスクは見られなかったんですね。
さらに細かくグループ分けをして調べてみますと男性で上位10%のグループで大腸がんのリスク上昇になると言われています。
日本人が一般的に食べるレベルでは、はっきりとしたリスクにはならないんだけれど通常よりはるかに大量に食べる男性については大腸がんの発生リスクを上げる可能性は否定できないとしています。
いずれにせよ毎日肉を大量に食べすぎるということはよくないということはいえそうですね。
欧米の人に比べると、日本人の平均的な肉の摂取量は半分ぐらいです。
ただ最近は食生活の変化がありまして肉の消費量は年々増えています。
大腸がんが最も多いがんになったことを考えますと食生活の見直し、対応を進めたほうがいいですね。
例えばどういう対策が必要ですか。
まずは食生活とがんとの関連性を知ることです。
国立がん研究センターが食べ物や運動とがんのリスクの関係などをホームページで詳しく紹介しています。
それによりますとアルコールとか塩ですねさらに熱いものこれについてはリスクを上げる可能性があると書いてあります。
一方で、野菜とか果物これは食道がんのリスクを減少させる可能性が大でさらにニンニクとか牛乳は大腸がんのリスクを減少する可能性が大きいとされています。
食事でがんのリスクを減らすことができるんですね。
そのうえで日本人のためのがん予防法として食生活で気をつけることなどを検索していただくと国立がん予防センターのホームページに行きますので見ていただきたいと思います。
今回の発表は混乱しますけれどどのように受け止めたらいいですか。
さまざまなデータを見てみると肉の過剰摂取が大腸がんのリスクを高めることは確実のようなんです。
ただ、肉は、重要なたんぱく源でもありますしハム、ソーセージは便利なものです。
最近は高齢者の低栄養もありましてもっと肉を食べたほうがいい人もいます。
国はどれだけ食べたほうがいいという基準は示していません。
果物や野菜の場合ですと基準が示されています。
肉の場合にはたんぱく質の一日当たりの摂取量は書いてありますけれど一般的な人たちは分かりません。
肉の過剰摂取のリスクがあるなら同時にどれだけ肉を食べたら適正なのかという基準を示してくれないと消費者としては不安になってしまうと思います。
合瀬宏毅解説委員でした。
きのう、この時間にお伝えした内戦激化シリア避難民を救おうの中で内戦の字幕に誤りがありました。
大変失礼しました。
2015/12/09(水) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「本当はどうなの?食肉のリスク」[字]

NHK解説委員…合瀬宏毅,【司会】岩渕梢

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【出演】NHK解説委員…合瀬宏毅,【司会】岩渕梢

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ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療

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