白い巨塔 #12【悲しみと怒りが止まらない…遺族たちが取った行動とは!?】 2015.12.09


≫社会化をさせたわけですね。
(アナウンス)「財前教授の総回診です」
(エマーソンの会話)
(よし江)先生どうなってんですか?だんだんひどくなってるじゃないですか。
(柳原)新しい抗生物質を投与します!
(佐枝子)医療裁判を手がけていらっしゃるんですか?
(関口)医者ってのは最低だよな。
(ケイ子)別れましょう。
(財前)要するにゲームは終わったということだな。
(君子)金井先生!心停止です!
(よし江)お父ちゃんわたしらを置いて先に死なないで。
(金井)生食!
(君子)はい!
(安西)ヤナ!やめろ!
(佃)ヤナ!ヤナ!
(佃・安西・金井の柳原を呼ぶ声)
(鵜飼)起こってしまったことはしかたがない。
臨床診断はあくまでも肺炎だ。
(庸一)医療ミス。
(葬儀屋)解剖をお願いしたほうがいいかもしれませんよ。
ご遺体を焼いてしまってからではどうにもなりませんから。
(庸一)父は死にました。
あなたに殺されました。
(財前)言いがかりは困るよ。
(又一)おい何事や?患者の1人が死んだんです。
はあ?不幸なことですが病院ではしかたのないことですよ。
(又一)へえ。
(里見)おい財前。
ちょっと待ってくれないか。
(財前)どうしたんだこんな所まで?亡くなった佐々木さんのことで話があるんだ。
病院じゃ駄目なのか?帰国したばかりで疲れてるんだ。
今話したい。
だからここに来た。
しかたがないな。
お義父さん申し訳ありませんが先に行っててもらえますか?大丈夫かいな?ご心配はいりません。
じゃ頼んだよ。
(運転手)かしこまりました。
(財前)手短に頼むよ。
(里見)君の患者が死んだんだぞ。
(財前)そのことについては残念だと思っている。
(里見)残念では済まないよ財前。
佐々木さんの遺体は大河内先生によって病理解剖され…。
解剖?
(回想)
(大河内)病理解剖の肉眼的所見を述べる。
食道ガンの手術そのものは完全に成功している。
見事なくらいだ。
しかし左肺にガンと思われる病巣がありそれが特異な広がり方をして死に至らしめたと考えられる。
すなわち死因はガン性リンパ管症による呼吸不全だ。
「ガン性リンパ管症」?肺への転移があったんですか?術前から肺にガンがあったことはほぼ間違いがなくそのガンは転移によるものと推測される。
(財前)だからどうだというんだ?
(里見)君の判断は誤りだった。
(財前)心外だな。
なぜ僕の誤りなんだ?佐々木庸平の死は不可抗力だ。
(里見)君はワルシャワに出発する前に術後肺炎と断定して抗生物質の投与を命じた。
しかし実際は術後肺炎ではなくガン性リンパ管症だった。
治療方法がまったく違う。
手術の後に発熱とせき白血球数の上昇があれば術後肺炎と判断するのが妥当だよ。
君の過ちは術後の管理だけではない。
最大の過ちはオペを行ったことだ。
オペ前に佐々木さんの肺に陰影が見えたとき君は絶対に転移ではないと言い切ってオペを行った。
だが転移はあった。
待てよ。
あの影は転移ではない。
単なる炎症だ。
僕はその診断には自信を持っている。
まだそんなことを言ってるのか?解剖をした大河内先生も「術前に転移はあったと推測される」と言っていたんだぞ。
だからそれは推測だろう?僕はあくまでオペの前に転移の所見はなかったと考える。
いくら大河内先生でも何月何日の段階でガンの肺転移が出現したかを立証することはできないはずだ。
生きている間に解剖でもしないかぎりな。
なあ財前。
俺は君の責任を追及しにここに来たんじゃない。
俺の口から事実を伝えなければならないと思ったんだ。
君には外科医として今回のことを厳粛に受け止めてもらいたい。
俺も内科医として佐々木さんの死をしっかりと受け止めるつもりだ。
話はそれだけか?じゃあ失礼するよ。
留守中にたまった仕事が山のようにあるからな。
(竹内)うううまそう。
(君子)ほら。
食べないの?柳原先生。
ううん食欲なくて…。
財前先生帰国したんだろ?体力つけとかないとまたこき使われるぞ。
俺財前先生に会いたくないな。
会わないわけいかねえだろ。
第一外科にいるかぎり。
まさか医者辞めようとか思ってないでしょうね?アホ。
辞めてどうすんだよ。
お前は財前先生の指示どおりやったんだろ?
(柳原のため息)俺がもっとちゃんとしてたら。
怖がらずに財前先生に正確な状況を伝えてたら。
でも柳原先生のせいで患者さん亡くなったわけじゃないわ。
でも死んだんだ。
イテ…。
しっかりしろよ。
患者が死んでいちいち辞めてたら医者なんか1人もいなくなるだろ。
でも佐々木さんは死んじゃったんだよ。
(竹内)おいヤナ!〜
(葬儀屋)お香典のお返しですとこちらの2,000円2,500円あたりのお品をお選び…。
(親戚)庸ちゃんあんたどこ行ってたん?すいません。
(信平)ちょっと庸一君!あんたな後継ぎやろ。
しっかりせなあかんやないか。
お母ちゃんあんなやねんから。
(親戚)着替えるように言うて。
もうお客さん来はるから。
(庸一)俺言ってきたから。
あいつに。
あの財前って医者に許さないって言ってきたから。
何だよ。
しゃんとしろよ。
うっとうしいなあ。
泣いてたって親父生き返んねえだろ。
なあ!なあ!
(信平)どなってどないすんのや。
(親戚)きついこと言いなや。
(信平)いいわはよ着替えてき。
(親戚)そうやな。
(拍手)
(又一)ありがとうございます。
ありがとうございます。
皆さまのご支援のおかげで成果をあげることができました。
(又一)先生方社長はん方ちょっとちょっとちょっとこれ見てやってくださいなこれ。
これが国際外科医学会の盾やそうですわええ。
ほらここに「プロフェッサーゴロウザイゼン」て書いてまんねん。
エヘヘヘんっんっ。
(岩田)これこれこれ汚れる汚れる。
お義父さんお義父さんまた親ばかと言われますよ。
(又一)かまへんかまへん。
ええ思いはできるうちにしとかなあかんねんええ?なああのときもっとええ気になってはめ外しとくんやったてほぞかむんは凡人のやるこっちゃハハハ。
自分を戒めてばかりいたら人生終わってしまいますからね。
(鵜飼)頼もしいね。
(又一)いやあこれは鵜飼先生よう来てくれはりました。
(鵜飼)いやいやいやそのままそのまま。
ああご苦労だったね財前君。
特別講演も公開オペも大成功で何よりだよ。
それもこれも鵜飼先生のおかげでございます。
確かに留守はいろいろ大変だった。
(三味線の演奏)
(男)よっ!待ってました。
(又一)「舟は帆まかせ帆は風まかせ」
(財前)ご面倒をおかけ致しました。
(鵜飼)君の執刀した患者が亡くなったことは既に医学部内で噂になっている。
何か対策は考えているんだろうね?いいえ。
何?対策など何ら必要ありません。
鵜飼先生。
わたしには落ち度はございません。
じゃ間違っても浪速大の名に傷がつくような事態にはならないと考えていいんだね?もちろんです。
ご安心ください。
(テーマソング)〜みんな僕の出張中はご苦労だった。
君たちのような優秀な医局員が留守を守ってくれているおかげで安心して国際医学会に臨むことができた。
ありがとう。
(佃)名誉会員への推薦おめでとうございます。
(金井)おめでとうございます。
(安西)僕たちも記事を見て感動しました。
(財前)うん。
しかしいつまでも海外での名誉に酔っているわけにはいかないな。
何か報告することは?725号室に入院中だった佐々木庸平さんが亡くなられました。
(安西)先生がご出発前に食道ガンの切除をされた患者です。
(佃)申し訳ありません。
お留守の間にこのようなことが起こってしまって。
(一同)すみません。
なぜ謝る?君たちは全力を尽くしてくれたんだろう?はい。
やれるだけのことはやりました。
なら謝ることはない。
大学病院が高度な医療施設であるかぎり患者の死は避けて通ることはできない。
謝ってはかえって亡くなった患者に失礼だよ。
じゃ今日も精一杯力を尽くそう。
(一同)はい。
うん。
(女)しかしはかないなあ。
(男)工場建て替えてこれからというときに。
(女)奥さん気の毒だわ。
(女)いやあ大将がいちばん無念でしょ。
(女)うん。
(女)うん。
お引き取りください。
(里見)えっ?浪速大学病院の方にはいらしてほしくありません。
(信平)ちょっとちょっと義姉さん。
お願いです。
どうぞお帰りください。
分かりました。
(よし江)里見先生。
里見先生だけですか?財前先生来られないんですか?
(よし江)出張から帰って来られたのに何のあいさつもなしですか?このまま知らん顔ですか?来るなら財前先生連れてきてほしかったわ。
今日はご主人のお言葉をお伝えしたくて参りました。
ご主人はオペの後奥さんに…。
(庸平)《まあ退院したらありがとうのひと言ぐらい言うたらなあかんかなと思うてますけどね》そんなことでごまかされるもんですか。
「ありがとう」ですって?ウチの人は「悔しい」って言いたかったはずよ。
ウチの人は死んだの。
財前先生に殺されたの。
(親戚)ちょっとよし江さん。
(よし江)ウチの人はね…。
(信平)義姉さんやめときって。
あんたはよ帰ってください。
わたし訴えます。
財前先生訴えます。
謝罪?
(柳原)はい。
せめて佐々木さんのご家族に謝りたいんです。
(財前)さっきも言ったろう。
我々は医師として精一杯の努力をした。
謝罪などするのはおかしいよ。
でも肺への転移を見落としたために佐々木さんは…。
君は僕の診断を批判しているのか?あっいいえ違います。
なら聞くがなぜこんなへまな死なせ方をしたんだ?効きもしないフェルキナーゼをバカの一つ覚えみたいに投与し続けるなど理解に苦しむよ。
僕は先生のご指示どおりに。
《先生。
佐々木さんを診ていただけないでしょうか?やはり術前の小さな影は肺への転移だったという可能性が…》《何度言えば分かる?あれは炎症性変化だと言ったろう?CTで肺全体に陰影が広がっているのは肺炎の典型像だ。
抗生剤で押せばいい》
(財前)僕が指示したのは出発前だろう?その後容態が変わればそれに応じた処置を取るのが担当医の役目じゃないか。
はいですから…。
ですから何だ?いえ…。
すいません。
君はそうやって頭を下げればいいが僕はすべての責任を取らねばならないんだぞ。
すいません。
(財前)よくよく頭を下げるのが好きなようだが患者の家族にもその調子で死因を説明したんじゃないだろうな?ご家族には事実をお話しました。
術後肺炎ではなくガン性リンパ管症による呼吸不全だと。
なぜそんな誤解を招くような言い方をしたんだ?僕がお伝えしたのではありません。
里見先生が…。
何里見が?なぜほかの科の助教授などに口を挟ませたんだ!君は何のための担当医なんだ!まあいい。
君のような未熟な医師に患者を任せた僕も軽率だった。
君にできることは今回のことを糧としていい医師になることだ。
(財前)僕にもあったからな。
新人のころ患者が死んで落ち込んだことが。
先生。
謝罪して楽になるより苦しみなさい。
そしてその苦しみをこれからの患者のために役立てるんだな。
僕は君には人一倍期待してるんだから。
失礼します。
〜〜お父ちゃんどうしたらいい?どうしてほしい?
(よし江のすすり泣き)あっ…油替えなきゃね。
お父ちゃん最後までうるさく言ってたもんね。
俺がやる!
(庸一)裁判やろう。
えっ?あいつを訴えよう。
勝ち負けじゃないよ。
親父の無念を晴らそう。
(鵜飼)新年のおおまかなスケジュールは以上のとおりですが何かございますか?
(今津)あの財前先生の教室で患者が手術後早期に亡くなったという噂を耳にしたのですが。
(野坂)こっちにも伝わってますよ。
就任早々お騒がせして申し訳ありませんでした。
わたしの執刀した患者が亡くなったのは事実ですがオペ自体は何の問題もありませんでした。
出張中に不運が重なっただけのことです。
あとあと面倒なことになる可能性はないんでしょうな?はい。
どこから何を言われようとこちらが非を認める必要性は全くありません。
新年早々暗い話題はこの辺にしてひとつ景気のいい話を提供しましょう。
僕の教室のことで恐縮ですがウチの助教授の里見君の論文が橘賞に内定したという連絡がありまして。
(葉山)橘賞と言えば日本ガン医療学会で最も栄誉ある賞じゃないですか。
(教授)快挙ですな。
加えて文科省に申請していた特別研究推進費が採択されまして。
どうでしょう?お受けしてもよろしいでしょうかな。
(則内)もちろんですよ。
いやあ。
彼は実直で研究熱心です。
彼のような研究者に光が当たるのはいいことですよ。
(談笑)そうですか。
はいありがとうございます。
やりましたね先生。
ああ。
(竹内)橘賞だけでもすごいのに助成金も下りるんでしょう?先生の欲しがってた遺伝子解析装置も導入できるじゃないですか。
君たちが手伝ってくれたおかげだよ。
やだなあもう。
僕はいつか先生が脚光を浴びる日がくると思って恩を売っておいただけです。
ハハハ。
いろいろあったけど報われたじゃないですか。
うん。
(ノック)
(竹内)財前先生。
おめでとう里見君。
さっき教授会で君の賞のことを聞いたよ。
3年間に渡って億単位の助成金も下りるそうじゃないか。
何の運動もせずにこういう評価を得るのは珍しい。
立派だよ。
ありがとう。
コーヒー入れてきます。
(財前)これを機によその患者に首を突っ込むのはやめて研究に没頭したほうがいいぞ。
例の佐々木庸平の件ではわざわざ遺族に解剖を勧めたり死因を説明したり大活躍だったそうじゃないか。
ウチの医局員は君の扱いに困ったらしい。
教授になった僕を窮地に陥れようとしてるんじゃないかとささやく者もいたよ。
もちろん僕が打ち消しておいたけどね。
そんなことしか言えないのか?そんなくだらんことを俺に言うならほかにもっとできることがあるだろう。
また患者の死を受け止めろと言うのか?フッそれならとっくにちゃんと受け止めたよ。
医局員にも経緯を聞いた。
教授会でも事情を説明しておいた。
なあ財前。
教授になるということはそういうことなのか?なってみなきゃ分からんよ。
フッ。
(刑事)弱ったな。
警察は事故や事件で亡くなった人を調べるところで病気で亡くなった人は刑事事件じゃないから。
事件ですよ。
主人は医者に殺されたんです。
(刑事)どうしてもと言うなら民事で裁判だろうけど。
(庸一)じゃあその民事で裁判を起こす方法を教えてください。
どこの裁判所へ行けばいいんですか?
(刑事)いきなり裁判所に行っても駄目ですよ。
医療裁判ができる弁護士を探さなきゃならないし。
まずは医師会に行って話を聞いてもらうのがいいですかねえ。
医師会ですね?場所はどこですか?教えてください。
(関口)どうして来る気になったの?
(佐枝子)はい。
(関口)ほら。
短期のアルバイトするつもりないって言っていたから。
(佐枝子)自分でもよく分かりませんが…。
「が」?分かりません。
僕が当ててみせようか?彼氏が医大に通ってる。
図星でしょう?ほら君妙に医療裁判に興味持ってたから。
違います。
わたしはおつきあいしている方はいません。
(関口)冗談だよ。
お仕事には笑いが必要だからさ。
こういうお仕事にも笑いが必要なんですか?
(関口)うんもちろんだよ。
医療裁判ってのは過酷だからどこかで息抜かないとこっちが参っちまう。
かく言う僕はまじめにやりすぎてここをつぶしちまったんだけどね。
もう弁護士はお辞めになるんですか?いや。
これしか能がないから田舎の知り合いの事務所の世話になるよ。
離婚調停でも遺産相続でも何でもやってとにかくここの借金返さないとな。
あっ。
もったいないですね。
医療裁判手がけてていちばんつらいのはね負けることじゃないんだ。
いちばんきついのは自分が傷つかなくなることだな。
自分が?裁判に負けると遺族は家族を亡くした以上につらい状況に追い込まれる。
お金もなくして世間からは家族の死を金に替えようとしたって白い目で見られてそりゃひどいもんだ。
最初のうちは僕も遺族の方と一緒に泣いてたけどねそのうちだんだんおんなじ映画見てるみたいに何にも感じなくなって涙も出なくなって。
だからここ閉めるんだ。
ああここだ。
行くよ。
うん。
(運転手)お疲れさまでした。
(財前)ご苦労さん。
(女たちの笑い声)
(杏子)どうぞ。
(昭子)あらら。
まあどうも。
(典江)もう十分だから。
(杏子)いいえ。
(典江)ありがとう。
(昭子)おいしそう。
(杏子)あなたおかえりなさい。
早かったのね。
(一同)おかえりなさいませ。
これは皆さまおそろいで。
(典江)あら。
もうそんなお時間?皆さまそろそろおいとましなくては。
(杏子)いいじゃありませんの会長。
ごゆっくりなさってください。
(信子)でもご主人がお帰りなのに悪いわ。
(財前)どうぞそのまま。
僕は忙しいばかりで構ってやれないものですから家内もさみしい思いをしているんです。
(典江)あら。
それはいけませんわ財前先生。
一流の男性たるもの妻を幸せにできなくては。
ねえ杏子さん。
(杏子)私はもう主人が教授になれただけで十分幸せです。
(喜久子)その若さで満足しては駄目よ。
妻として夫をもっと鍛えなければ。
そうなんですか?
(昭子)ええ。
私たちの夫は大学教授なんですから。
ご勘弁ください。
まだまだ未熟者ですので。
(典江)財前先生。
(財前)はい。
未熟という言葉は何の言い訳にもなりませんのよ。
男女の仲でもお仕事の場でも。
んっ?はい。
勉強になりました。
(杏子)さあ皆さま。
どうぞお掛けください。
(喜久子)そうですか?じゃあちょっと頂いちゃおうかしら。
(杏子)もう少しお料理ございますから。
どうぞ。
(昭子)もうおなかいっぱい。
(喜久子)これおいしいわよ。
(財前)《人体実験?》
(コバルチクのポーランド語の会話)
(諒子)《人の命を救うはずの医師がです》《あなたに殺されました》
(ケイ子)《今が最高ってことはそれ以上は望めないってことでしょ?こんなに怖いことはないわ》もしもし。
(又一)五郎君か?大変なことになっとるで。
大変な?
(又一)今すぐ来なさい。
(又一)佐々木庸平いう患者の遺族が医師会館に来てあんたを訴えるちゅうていきまいとったそうやで。
(岩田)医師会の息のかかった弁護士を紹介させたさかい今すぐにどうこういうことはないけどやっかいな手合いらしいな。
患者が死んだんは問題ないはずやなかったんかい?ええ五郎君。
はい。
ご心配はいりません。
ええかげんなこと言うたらあかんで。
誤診で訴えられたりしたら何もかもしまいやないかい。
誤診ではありません。
遺族が勝手にそう思っているだけです。
うんそやけど肺への転移を見落として肺炎の処置を行うたんは事実やろ?この患者のケースで術前に転移を見抜くのは今の医学では不可能です。
術後に関しても肺炎と考えて処置したことは臨床的に妥当なものです。
万一裁判になったとしてもわたしが負けることはありません。
ほな五郎君。
遺族が被害妄想になっとるだけでほんまにあんたは大丈夫なんやな?はい。
ほんまにほんまにほんまやな?わたしを信じてください。
(岩田)おいおいおいおい。
ほんならそんなことしたらいかん。
これは大事な資料や。
ええか?医療訴訟を起こす遺族は捨て身の覚悟や。
細心の注意を払うて片づけないかん。
(弁護士)無理ですねえ。
このケースは訴訟にはなりません。
訴訟にならないってどういうことだよ。
庸一。
医師会の人がここを勧めてくれたんですけど。
(弁護士)確かにウチには優秀な弁護士が集まってます。
ですが勝ち目がない以上お引き受けすることはできません。
じゃほかを探すよ。
行こう。
(弁護士)あっお待ちください。
はい。
ええ1時間5分ですからまあ5分は切り捨てということで相談料1万円頂きます。
あらかじめ事務の者からご説明ありましたよね?
(よし江)もしもし。
はい。
それで訴訟を起こしたいんです。
あっ先方ですか?浪速大学病院です。
そうですか。
すいません。
あっもしもし?初めてお電話するんですけど。
(記者)この度はおめでとうございます。
どうも。
(記者)まずは国際外科医学会の名誉会員に推薦されたご感想を伺いたいのですが。
いや。
わたしはただ患者の命を救いたい一心で今日までやってきただけです。
(よし江)主人が大学病院の誤診で亡くなりましてどうしてもあきらめきれないんで訴えたいんですが。
(庸一)医療裁判が大変なのは分かっています。
でも父の無念を晴らしたいんです。
(拍手)
(好彦)すごいねお父さん。
(里見)うん?おい好彦。
そんなとこに飾るな。
(三知代)いいじゃないの。
ホントにすごいことなんだもん。
ほら好彦。
手洗ってらっしゃい。
乾杯しよう。
(好彦)はーい。
(三知代)あんどうしたの?もっとうれしそうな顔してよ。
すまん。
最近患者が亡くなったりして手放しで喜べない気がしてな。
でもこの研究がほかの患者さんを助けることもあるんじゃないの?うん。
分かってる。
財前さんのようになってほしいとは思わないけどせめてわたしの前ではうんとうれしそうな顔してほしいな。
そうだよな。
俺は俺だもんな。
これまで俺は少し財前を意識し過ぎてたのかもしれない。
人のことを言うなんて傲慢だよな。
俺にしかできないことを俺のやり方でやればいいんだよな。
難しいこと分からないけどあなたは間違ってないわ。
うん。
(好彦)ああおなかすいた。
(里見)おっ。
(三知代)はい。
ここ座って。
(好彦)はい。
おめでとう。
ありがとう。
(三知代)はいどうぞ。
(関口)よいしょ。
さて今日はこれぐらいかな。
いや思った以上に早く片づきそうだよ。
バイト代弾むからね。
よろしいんですか?何が?借金があるとおっしゃっていたので。
それとこれとは話が別。
働いた報酬はきちんとお渡しします。
はい。
僕もこれで一区切りかな。
(ノック)
(佐枝子)あっわたしが。
(関口)借金取りかも。
あの…。
ああ関口弁護士さんでいらっしゃいますか?ああ。
ええそうですけど。
(よし江)お願いしたいことがあって参りました。
突然すいません。
これを見て来ました。
ああ…。
(庸一)電話じゃどこも紹介がないと会ってもらえないんでこうして一軒一軒回ってます。
話だけでも聞いてもらえませんか?あの申し訳ないんですけどその…仕事のご依頼でしたらあのウチ事務所閉めることになったんですよ。
(ため息)
(庸一)おいおいどうした!?
(佐枝子)あっ。
(関口)大丈夫ですか?
(佐枝子)大丈夫ですか?
(庸一)大丈夫か?すいません。
(関口)ちょっとしっかりしてください。
よいしょ。
(庸一)大丈夫です。
(よし江)すいません。
(アナウンス)「財前教授の総回診です」
(財前)今日変わったことは?
(佃)ございません。
(看護師長)患者数は80満床です。
(事務職員)財前教授!
(事務職員)今裁判所から証拠保全の連絡が。
2時間後に病院に来るそうです。
証拠保全?
(事務職員)弁護士が亡くなった佐々木庸平さんの医療記録の開示を求めてるそうです。
(ざわめき)静かにしなさい。
でも先生。
(財前)我々に落ち度はないのだから慌てる必要はない。
すべて僕の予測の範囲のことだ。
〜〜〜
(里見)あっすいません。
勝田裁判官。
佐々木庸平さんの診療記録は病院側に準備いただいてるんですよね。
(勝田)もちろんです。
ありがとうございます。
『アメイジング・グレイス』〜〜〜〜2015/12/09(水) 14:55〜15:50
関西テレビ1
白い巨塔 #12[再][字]【悲しみと怒りが止まらない…遺族たちが取った行動とは!?】

「捨て身」

詳細情報
番組内容
 里見(江口洋介)は、庸平(田山涼成)の死が財前(唐沢寿明)の判断ミスによるものだと、財前をなじった。だが、財前は診断に一切誤りはないと突っぱねる。一方、悲しみと悔しさにまみれるよし江(かたせ梨乃)と庸一(中村俊太)は、財前を訴えることを決意した。二人は偶然、佐枝子(矢田亜希子)がバイトする関口弁護士(上川隆也)に依頼することになった。関口は裁判所を通じ、直ちに病院の証拠保全手続きをとった。
出演者
唐沢寿明 
江口洋介 
黒木瞳 
矢田亜希子 
水野真紀 
沢村一樹 
片岡孝太郎 
伊武雅刀 
若村麻由美 
西田尚美 
野川由美子 
池内淳子 
かたせ梨乃 
伊藤英明 
石坂浩二 
西田敏行ほか
原作・脚本
【原作】
山崎豊子

【脚本】
井上由美子
監督・演出
【企画】
和田行

【プロデューサー】
高橋萬彦 
川上一夫

【演出】
村上正典

【音楽】
加古隆

【主題歌】
「アメイジング・グレイス」ヘイリー

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
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