人生デザイン U−29「インターンコーディネーター」 2015.12.09


今回の「U−29」は仏像大好き春田千尋さん27歳。
春田さんは奈良市内のNPOで働いています。
奈良の中小企業を学生の力を使って盛り上げようという団体です。
彼女は自称…誰かの挑戦を後押しする二番手のポジションにやりがいを見いだしています。
一歩下がって団体を支える春田さん。
そんな立場ならではのモヤモヤも…。
人のために生きていきたい二番手女子。
自分のための生き方を見つけられるんでしょうか。
春田さんたちの活動は魅力的な企業探しから始まります。
この日向かったのは奈良で150年近く続く林業の会社です。
この会社では若い世代向けに林業のノウハウを教える学校を開きたいと考えていました。
春田さんはその学校の立ち上げのために学生をインターンとして募集し事業を手伝うプログラムを提案しました。
週に2日か3日こちらに来て講師候補の人にちょっとメールを打ってよとか電話かけてとか…。
奈良県は県外で働く人の割合が全国で一番高い県です。
県内企業の多くは人材の確保が課題です。
そこで春田さんたちは大学生向けに奈良の企業でのインターンシッププログラムを準備。
就活に役立つ仕事経験を学生たちにしてもらうと同時に企業にも役立つよう学生の感性を生かした新商品開発などにトライします。
このマッチングでうまく正社員が生まれればラッキー。
こうして奈良の活性化を目指そうというものです。
NPOの事務所は奈良市内にある一軒家を借りています。
団体専属の職員は2人だけ。
4年前に出来た小さなNPOです。
春田さんは去年の秋から働いています。
メインの事業は2年前から始めた学生インターンシップ事業です。
インターンの受け入れ先は観光業や農業など分野もさまざま。
これまで30人以上の学生と企業を結び付けてきました。
インターンの派遣が決まると企業からNPOにコーディネート料が支払われます。
これがNPOの運営費です。
このNPOを立ち上げたのは西尾陽平さんです。
学生時代の友人だった春田さんを西尾さんがNPOに誘いました。
今だから2726です。
(取材者)あ〜なるほど。
う〜ん仲よし同級生コンビなんですね。
インターンの期間は半年間。
その間学生と企業がうまくいっているか見守るのも春田さんの役目です。
今日は受け入れ先で働く学生を抜き打ち訪問。
こんにちは!お世話になります!ご無沙汰しております。
奈良県内の大学で経済学を専攻する2年生です。
今日は調子いいっすね割と。
日曜なんで。
農業ベンチャーの販売店で奈良の野菜のブランディングに取り組んでいます。
中高年の方がほとんどですよねやっぱり。
女性。
はい。
女性。
やっぱ説明したら普通の大根持ってきはってもこれ説明したら買ってくれはる方もいらっしゃいますし。
かわいいですもんね。
インターンを始めて2か月半。
もともとは公務員志望でしたが販売を経験して流通業への就職も考え始めたそうです。
うんいい経験になってますね。
(一同)お疲れさまで〜す。
この日は月に一度行われるNPOの食事会。
ボランティアで運営を手伝うスタッフが集まりました。
春田さんが手料理でもてなします。
何かこの辺でこういうカフェ知らないですかとか。
ダメやん!ダメやん!春田さんは大阪生まれ。
子どもの頃から実家の洋品店を継ぐつもりでした。
服飾専門学校にも通いましたがその途中で実家は経営が悪化し店を畳みました。
目標を失った春田さんは悩んだ末2年遅れて大学進学を決意しました。
もともと仏像好きだった春田さんは奈良の大学で民俗学の研究に没頭。
しかし就活の時期を迎えると再び壁にぶつかります。
そこで非常に…やりたい事が見つからない。
その事に負い目を感じながら大学を卒業しアルバイトなどをして日々を過ごしていました。
そんな時学生時代からの知り合いだった西尾さんに「NPOで働かないか」と誘われました。
二番手として後押しする役割を見つけた春田さん。
この日は奈良県産の薬草を生産加工する農業ファームに向かいました。
ここでインターンとして働く学生の様子を見るためです。
こんにちは。
あっめっちゃいい匂いする。
すご〜い。
九州の大学に通う五関さん。
インターンのために大学を休学し地元の奈良に戻ってきました。
特産品の薬草の粉末をハーブ感覚で使う新商品開発に取り組んでいます。
インターンとして働き始めて1か月。
春田さんを前に五関さんの思いがあふれ出しました。
(五関)捉え方なのかな…。
(五関)らしいですか?インターンを志望してくる学生たち。
その多くはやるべき事を見つけようと必死です。
春田さんも過去の自分が重なります。
私も結構何か遠回りして生きてきたような感じがしていて何か…そうですね専門学校をやめてしまったりとか何か…そうですねフリーターをしていて同世代の子はみんな学校行ったり働いたりしてるのにみたいなそういう時もあったんですけどそれに比べると全然五関さんはね今学んで生きるという期間の中で休学をしてインターンシップをして学んで生きているなあという形でむしろすごく学生という立場を活用しててすばらしいなあと思ってるので本当に心から今という時間を大切にしてほしいなと思って言いました。
春田さんの1週間スケジュールです。
仕事は土日が休みですが相手企業に合わせて休日に働く事もあります。
こちらは春田さんの月収です。
手取りで12万5,000円。
NPOの収入はまだまだ不安定で節約生活です。
そんな春田さんお昼はいつも事務所で自炊しています。
このNPOで自分の役割を見つけたものの今年コーディネートできたインターンの数は目標の半分。
NPOの運営がどうなるのか自分の将来の不安が重なります。
誰?誰?誰?
(西尾)謎。
番頭系二番手女子春田さん。
不安に駆られついつい西尾さんに詰め寄ってしまいました。
この日はつかの間の休日。
向かったのは滋賀県にある美術館です。
その目的は…。
仏像コスプレ体験。
実は春田さん奈良ではちょっと名の知れた仏像女子。
空いた時間には奈良のお寺を巡り仏像鑑賞を楽しんでいます。
自分の趣味を地域おこしにうまく生かせないかと考えたのがこのコスプレ体験です。
今日は休日のはずだったんですが結局いつものNPOの活動みたいになっちゃいましたね。
奈良への愛とは裏腹に先行きの見えないNPOと自分の将来。
この日春田さんは市内のカフェを訪れました。
学生時代から通うなじみの店。
そこで待っていたのは…。
お待たせしました。
奈良で地域おこしに取り組む…頼れる姉貴分に春田さんから思わず出た相談は…。
お墓の話ですか?
(松田)でも実家でもいいやん。
実家にお墓あるやろ?これからもNPOで頑張る決意表明のために仏像好きの春田さんが思いついたのがお墓を買う事だったようです。
カフェのオーナーも悩む春田さんを見かねて思わずアドバイス。
何かでもいろいろうまくいってるように私は見える。
外から見てるとね春ちゃんすごい今頑張って私なんか学生の時就活してた時にいろいろ話聞いてて絶対東京1回行ってどっか就職した方がいいよってすごい私は言ってたんだけど何か別にそういうふうにならなかったけど何か今いい感じになってるしと思って…。
春田さんまあ抱え込み過ぎずに行きましょうよ。
翌日春田さんはインターン生の五関さんのもとに向かいました。
五関さんの新商品開発どうやらうまくいっているようです。
迷いながら見つけた二番手としての生き方。
やりたい事が見つからなくてもやるべき事が見つかればうまくいくのかもしれませんね。
そんな春田さんに最後に質問です。
どんどん…学校の方の説明会とかだと自分が何かをしないといけないとか自分で何か行動しないといけないって事すごい言われるんですけど春田さんみたいな誰かを支えるために仕事をするって生き方もあるんだなって思ってそういう生き方も自分の選択肢の中に入れていけたらなって思いました。
(一同)ありがとうございました。
2015/12/09(水) 23:25〜23:50
NHKEテレ1大阪
人生デザイン U−29「インターンコーディネーター」[字][再]

奈良のNPO職員・春田千尋さん(27)の仕事は地元企業とインターン希望の学生とのマッチング。自分でなく、誰かの夢やアイデアを応援したい。そんな彼女の日々に密着。

詳細情報
番組内容
奈良市のNPO職員・春田千尋さん(27)の仕事は地元企業とインターン希望の大学生とをマッチングすること。将来を模索する学生に親身になって相談に乗っている春田さんだが、自分自身には特にやりたいことや夢があるわけではない。現在の仕事も大学時代の友人に誘われたのがきっかけだ。「私はゼロから何かを作り出すことはできないけれど誰かの夢やアイデアを応援することはできる」サポートに徹する彼女の人生デザインとは。
出演者
【語り】松坂桃李

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

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