警視庁・女性捜査班 2015.12.10



(猫の鳴き声)
(直井葉子)あっごめん。
あなたまだだったねごはん。
(猫の鳴き声)ニャア?ニャア?
(猫の鳴き声)どうしたのニャア?よいしょ。
よしよし…。
誰…?
(パトカーのサイレン)強盗ですって。
恐いわねぇ。
でも良かったじゃない。
変なことされたり殺されなかっただけでも。
(都築典子)チーフ。
(坂本絵里子)周囲には強盗ということで通してるのね。
それは徹底して。
わかってます。
でどうなの?訊いたの例のこと?間違いありません。
広域24号です。
今登茂さんと中里が病院に。
そう。
わかった。
(松原登茂美)ごめんなさいね。
思い出すとつらいようなことも訊くけど…犯人捕まえるためなの。
できる限りでいいから正確に思い出しながら答えて。
(中里仁美)で犯人は何て言ったんです?あなたを暴行したあとで。
中里…。
すみません…。
いいのよゆっくりで。
あの男は…私を…犯したあとで…。
犯したあとで…。
(男)めそめそするなよ。
大丈夫だよ。
お前1人をつらい目に遭わせたりしない。
誰かいるか?お前がこいつを犯してほしいと思う女。
だったら俺その願いを聞き入れて犯してやってもいいんだぜ。
そいつを。
レイプにストーカー。
世の中は女性を苦しめる犯罪が増加している
そうした中で創設されたのが私たち女性捜査班だ
デスクワークを入れてメンバーは総勢8人
私たちは守る。
女の心と体を
それが私たち女性捜査班の使命なのだ
じゃこれまでのところを整理します。
登茂さんお願い。
はい。
まずこれまで広域24号と呼ばれるレイプ強盗犯が起こした犯行は今回のインテリアデザイナー直井葉子さんを含めて4件。
そのいずれも女性を陵辱したあとで訊いてます。
「次に犯してほしい人間を指名しろよ」って。
(西沢加奈子)最低。
人間のクズ。
女を何だと思ってるのよ!チェーンレイプ…。
チェーンレイプ?不幸の手紙のみたいなチェーンメールってありますよね。
それのレイプ版です。
恐らく犯人は…困る被害者を見るのが楽しくてわざとそういうことを訊いてるんです。
でも直井葉子さんを含めて誰も犯人のその質問には答えてないの。
そんな状況で「じゃあ次はあの人を犯して」なんてとても…。
もし言った人間がいたらどうします?「わかった。
じゃあ次はあの人を犯して」って。
西沢あんた女を馬鹿にしてるの!?違います!私は言った人間は被害届なんか出さないんじゃないかと思うんです。
「あの人を犯して」って言っといて被害届なんてちょっと…。
私も西沢の言うとおりだと思います。
そう考えると被害者はこの4件よりももっと多い…。
確かに。
考えたくないことだけどその可能性は否定できないわね。
ただでさえレイプ被害者の警察に通報してくる率は少ないんだから。
そしてこのいずれの4件とも犯行後被害者にクロロフォルムを嗅がせています。
(都築)そして犯行時の証拠を一切残さず逃げ去る…。
巧妙な奴ですよね。
侵入時にピッキングの手口を使ってるからそっちのほうは井沢さんたちが調べてくれたわよね?
(井沢節子)はい。
でも過去のピッキング強盗犯の中にそれと臭う人物は今のところ…。
参ったなぁ。
いつか尻尾を出すのを待つってことですか…。
バカ!あんた何言ってるのよ!これ以上被害者の数を増やすつもり?いえ私はそういう意味で…。
(電話)あっいいわ。
(電話)はい。
警視庁女性捜査班。
何ですって!?直井葉子を襲った犯人を知っている!?
(ボイスチェンジャーの声)「ああそうだ。
男の名前は牧村庸介」「駒込のロスコというサウナの常連だ」もしもし?もしもしあなたは…!?
(内藤文恵)ありました!牧村庸介!
(登茂美)牧村庸介32歳。
前科4犯。
監禁と婦女暴行の前歴あり…。
えっ!?こいつ刑務所出たの2か月前だ!2か月前っていえば広域24号が犯行を始めたころ…。
臭うわね…行くわよ。
登茂さんこの男のデータ集めといて。
わかりました。
(ボイスチェンジャーの声)「男の名前は牧村庸介」「駒込のロスコというサウナの常連だ」ここですね。
よし行くわよ!中里と西沢はここで待機。
いいわね?
(中里・西沢)はい。
じゃあ私はそのへんを見回ってくるから。
何言ってるんですか!?今チーフがここで待機しろって…。
バーカ。
あんたみたいな少年課補導係出身はそれでいいかもしれないけど私はここの所轄の刑事課にいたの。
地元なのよここは。
あのすみません。
(君塚須美子)はい。
警察なんですけどちょっとお話をお伺いしてもよろしいでしょうか?
(須美子)はい…。
君塚さん…?警部さん…!いつ…?1か月ほど前です。
その節は大変お世話になりました。
チーフ?あっ…いえ以前ね別の事件のときに捜査に協力してもらったの。
この男このサウナによく来るらしいんだけど知らない?
(黒川)いらっしゃいませ。
どうしたの?警察です。
手配犯の訊き込みでちょっと…。
そうですか…。
チーフ…。
うん?待ちなさい!西沢!牧村よ!はっ…はい。

(西沢)どうしたんですか?何か…!?何かじゃないわよ!どこ行ってたのよ!?
(登茂美)バカ!ドジ!マヌケ!!あんたたちは一体どういうつもりなの!?チーフはあなたたちに「待機」と命じたんでしょう。
そうよ。
待機っていうのはねあんたみたいにボサッと突っ立って見ていることじゃないのよ。
何言ってるのよ!自分だって持ち場離れたくせに…。
私はだから…。
私ばっかり責めて…。
いい加減にしなさいよあなたたち。
自分たちの犯したミスがどれほどのミスかわかってるの?すみません…。
謝って済む問題じゃないの!牧村庸介がホンボシだったらどうするのよ?このあとまた同じような被害者が出るかもしれないのよ。
捜査は遊びじゃないの。
そのことをよく肝に銘じておくのね。
君塚須美子さん…?わかった。
今すぐ行くわ。
(菱沼孝信)おっ絵里子。
ちょうどよかった。
どうせうちの連中のミス聞いてからかいに来たんでしょう。
ピンポン!冗談冗談…。
いやたまにはさ元夫婦膝を交えて一杯どうかなと思って。
行けるわけないでしょ。
こっちは広域24号の捜査でクタクタなの!いいわね捜査一課は人手が多くて暇そうで。
そんな言い方ないだろう。
だからさお互い疲れた心と体を癒し合っていたわり合ってこう…。
何その手つき?えっ?何考えてるの!?いや…何考えてるのって慰めようと思ったんだけど…。
君塚さん…。
訪ねてきてくれたの?うれしいわ。
久しぶり。
さっきはどうも…。
本当びっくりした。
あんなところで会うとは思わなかったから。
でも元気そうで良かった。
どうしたの…?バカなんです私。
サウナのマネージャーに事件のこと言ってなかったし隠しておきたいと思ってたから…。
まさか私が行ったから服役してたことが知られて…!?私がいけないんです。
履歴書にちゃんと書かなかったから。
書いていれば警部さんとのこと訊かれても正々堂々としてられたんですけど…。
ごめんなさいね。
私が気軽に声かけたばっかりに…。
いいんです。
声かけてもらってうれしかった。
もう少ししたら警部さんにご挨拶に伺おうと思ってたんです。
でもそれできなくなっちゃって…。
また仕事先決まったら連絡します。
じゃあ…。
ちょっと待って。
今どこに住んでるの?寮住まいでしたからこれから旅館でも見つけようかなと…。
じゃあうちに来ない?とりあえず仕事見つかるまで。
えっ?ねっそれがいいわ。
うん。
そうしよう。
ほら私にも責任があるわけだし。
(坂本公子)夫殺し!?声が大きいもう…。
ねえ覚えてない?私が女性捜査班に移る前に東杉並署で抱えた事件。
あぁクリーニング屋の奥さんが浮気した亭主を殺した…。
彼女なの。
そのときの犯人。
そう…。
それから刑期を終えて?うん。
6年だったわ刑期は。
でもね模範囚だったから早く出所できたみたい。
でもどうするの?うちに泊めてあげるのは構わないけど麻美には…?本当のことを言うわよ。
人は必ず立ち直る。
やり直せるっていうのが私の信念だもん。
そうね。
そのほうがいいわね。
我が家に隠しごとなんて似合わないものね。
そう。
どうぞ。
どうぞ。
あなたの事情聞いたわ。
大丈夫。
絶対いいお仕事見つかるわ。
私も協力するから。
母はね昔教師だったの。
だから教え子の中には会社を経営している人もいるみたいだから頼ってあげて。
ありがとうございます。
あなたお子さんは?います1人田舎に。
実家の父が預かってくれているんです。
お名前は?男の子?女の子?女の子です。
「みゆき」っていうんです。
今6歳で小学校1年生なんですけど電話すると早く帰ってきてって泣かれちゃって…。
でも今は田舎のほう仕事ないですから…。
そうね。
でもみゆきちゃんのためにも頑張らなくっちゃ。
早く仕事を見つけて一緒に暮らせるようになるといいわね。
それが夢なんです。
だから頑張らないと。
ファイト。
(公子)ファイト。
じゃあ本当に自分の家だと思って気兼ねしないで使っていいから。
遠慮しなくていいからね。
ありがとうございます。
本当に警部さんには何てお礼を言ったらいいのか…。
その「警部さん」って言うのやめない?絵里子でいいわ。
私も須美子さんって呼ぶから。
はい。
警部さん…じゃなくて絵里子さん。
おやすみなさい須美子さん。
おやすみなさい。
おやすみなさい。
おやすみなさい。
「須美子さん」だって…。
見たでしょみゆき。
ここのうちの人たちみんないい人たちね。
だからお母さん頑張るからね。
頑張るから…。

(パトカーのサイレン)絵里子…いや坂本君遅かったね。
本当なの!?牧村庸介の死体が発見されたって?解剖してみないとわからないんだけどさ死亡推定時刻は昨夜の6時から8時の間。
それで第一発見者なんだけどそこにいる今朝散歩の途中だった老人だよ。
それであの人なんだけど昨夜も犬の散歩の途中逃げて行く女を見たそうだ。
女って…犯人は女なの!?ああ…。
このスカーフそこに落ちてた。
ということでここから先は俺たち捜査一課が引き受けるよ。
ちょっと待ってよ。
牧村庸介は私たちが追ってたのよ。
安心しろよ。
奴の自宅からピッキング用の道具とクロロフォルムが発見された。
奴は広域24号のホンボシだよ。
まさか…じゃあなおさら…。
君たちは奴を取り逃がしたんだよ。
ミスをしたんだ。
忘れたのか?それにこれは殺人事件なんだよ。
捜査一課の仕事だ。
君たちの出番はない。
じゃあ…レイプの被害者たちも容疑者の中に入れようっていうんじゃないでしょうね!?そうなんですか菱沼警部!?嘘でしょ!?彼女たちには動機がある。
最初からレイプ被害者というだけで同情して彼女たちを捜査の対象から外すわけにはいかないんだよ。
レイプの被害にあった人間にまた事件のことをあれこれ訊きアリバイを訊き容疑者扱いする。
それがどういうことかわかってるの?どんなに彼女たちが傷ついてるか…。
これは殺人なんだよ。
これは俺たち一課の仕事なんだよ!君たちは自分たちのミスを棚に上げてわめき立てるなよ!君たちがミスしなかったらこいつ死ななくて済んだかもしれないじゃないか…。
じゃあこれ…。
それとこれがフロッピーです。
これまでの広域24号の。
(東)大丈夫ですよ。
任せてください。
一課のほうでホシは必ず挙げてみせますから。
(南田)そう。
任せてください私たちに。
よし行くぞ。
何が「任せてください」よ…。
あんなデリカシーもエチケットもない連中にレイプ関連の捜査なんて任せられるわけないじゃない。
チーフやらせてください。
私のミスでこうなったんですから…。
個人的な名誉挽回なんてどうでもいいのよ。
チーフこのままじゃ本当に女性捜査班の存在意義が失われます。
(西沢)やらせてください捜査を!続けさせてください。
(井沢)お願いしますチーフ!チーフ…私はもうちゃんとこれ用意してますから。
(西沢)辞表!?私とチーフはね何度もこれを胸に男たちが大闊歩する警察という組織の中を渡り歩いてきたの。
「いざとなったら辞めてやらぁ」ぐらいの気迫がないと務まらないのよこの仕事は!その気迫で女性捜査班を立ち上げたんだから。
わかった。
責任は私がとるわ。
私もですよ私も。
私と登茂さんでとります。
だから捜査を続けて。
(一同)はい。
被害者たちのフォロー。
そして現場周辺の目撃者捜し。
牧村の交友関係を徹底的に洗って。
頼んだわよ。
(一同)はい。
そうですか…。
昨日の夜7時から8時?そう。
確かに電気はついてましたけど直井さんがいたかどうかまでは…。
(南田)わかりませんか…。
でもどうして直井さんのこと調べてるんですか?あの人強盗の被害者なんですよね?まさかさっきニュースでやってた殺されたレイプ強盗っていうのが?
(南田)いやそうじゃなくて…。
(都築)何やってるんですか!?直井さんはただの強盗事件の被害者なんですよ。
あなたたちの追っている事件とは関係ないじゃないですか!
(インターフォン)直井さん?直井さん!何やってるの!?死なせてお願い。
中里…。
はい。
何で…何でこんなまねを!?じゃあ…ヘラヘラ笑って過ごせっていうの?犯人扱いされて…アリバイまで訊かれて…。
あいつら…。
誰も私の気持なんてわかりはしない。
女性被害者を容疑者の対象として差し出すなんてさ…。
女性を守るために私たち頑張ってきたのに…。
そうね…被害者が一転して容疑者になる。
つらいわよね。
こんな愚痴さお母さんにこぼしたくなかったんだけどたまらなくて…。
で孝信さんには掛け合ったの?捜査に戻してほしいって。
ダメ。
何度言ってもなしのつぶて。
上からの命令も出てるし従わなくっちゃいけないんだろうけどでもね…。
誰…誰?須美子さん…。
すみません。
私ケーキを買ってきたものですから召し上がっていただこうと思ったんですけど仕事の話してらっしゃるので…。
いや…いいのよそれは。
でも今聞いた話は口外しないでね。
捜査や警察の内部の話だから。
もちろん絶対しゃべりません私。
大丈夫よこの人は。
うちの中のことなんかも本当によくやってくれるいい人なんだから。
でも須美子さんケーキなんて気を使っちゃダメよ。
でも私奥様に紹介していただいたお仕事さっき道に迷ってしまって先方に行きそびれてしまって…。
大丈夫よ。
先方にはちゃんとお詫びの電話入れておいたから。
今度は私が付いて行くからね。
(坂本麻美)うわっケーキ!?ちょうどよかった。
私すごく食べたかったんだよね。
麻美!じゃあお茶にしましょうか。
せっかく須美子さんが買ってきてくれたケーキなんだからよし!おばあちゃんの特別のティーカップでいただきましょう。
おばあちゃんのお宝のティーカップ!紅茶でよろしいですか?私がお入れます。
そう悪いわね。
(須美子)キャッ!すみません!申し訳ありません…!触らないほうがいいわ危ないから。
掃除機持ってきて。
はっはい。
すみません。
本当にすみません。
お母さん…。
いいのよ。
形のある物はいつか壊れるんだから…。
わざと…。
えっ?あのティーカップすごい高い物だったらしいわ。
それ…割っちゃった。
ダメなお母さんね。
いけないことしちゃった…。
とにかくこのスカーフが売られているお店を集中して調べて。
(電話)はい女性捜査班。
もしもし?
(ボイスチェンジャーの声)「牧村庸介を殺したのは渋谷のピュアスタイルという輸入家具の会社の女社長谷口怜子だ。
奴のことを調べろ」もしもし?あなた一体…?あなたこの間牧村庸介のことを教えてくれたわよね?一体あなたは…。
あっ!何どうしたの?ほら今度の一連の事件はチェーンレイプの可能性があるから一応被害者の人に自分を恨んでいる人間がいるかどうか訊いてますよね?まさかあんた「谷口怜子」って名前に聞き覚えがあるとか言うんじゃ…。
それがあるのよ。
4番目の被害者の直井葉子さんに訊いたの。
そしたら今のフィアンセというのが以前谷口怜子って女社長と付き合っていてそのことで少しトラブルになったって…。
でも少しって言うからメモだけしといて調べなかったんだけど…。
バカ!あんた何でそんな大事なことを!?ごめん…ごめんなさいチーフ!臭いますねチーフ。
調べてみる必要があるわね。
その谷口怜子っていう女性のことを…。
(ボイスチェンジャーの声)「輸入家具の会社の女社長谷口怜子だ」あっ!あの店のオーナーの谷口怜子です。
直井葉子さんのフィアンセというのが輸入業者であの美貌で強引に言い寄ったらしいですよ。
でも捨てられた…。
伊東怜子…。
知ってるんですかチーフ?
(無線)「犯人と思われる妻は返り血を浴びたまま大杉通りを三鷹方面に向かっているようです」「引き続き捜索お願いします」あれじゃない?包丁を持った女が中に…!あんた…。
やめてよ…。
何やってるの!?離せ…離せ!
(谷口怜子)何でしょう?私が谷口ですけど。
覚えてらっしゃいますか?私のこと。
5年前の君塚須美子の事件のときの…。
あぁ…あのときの…。
でもあれはもうとっくに終わった事件でしょ?今日伺ったのはそのことじゃないんです。
都築さん。
はい。
この男をご存知ですか?テレビでやってましたから。
レイプ強盗の犯人だったんでしょ。
確か殺されたとか…。
ええ。
それでその事件のあった一昨日の夜7時から8時の間あなたはどちらに?なぜ私にそんなことを訊くんですか?あなた恨んでましたよね?直井葉子さんを。
直井さんのフィアンセは以前あなたと交際していた…。
まぁ…こんなことを訊くのも何ですがあなたひょっとして…。
何の話です!?冗談じゃないわ!一体あなたたちが何を言ってるか全然わからない。
じゃあ一昨日の夜はどちらに?うちにいたわよ1人で。
会社も終わっていて誰にも会わなかった。
これじゃアリバイが成り立たないんでしょ。
そう興奮なさらないで。
興奮させたのはあなたでしょ!いきなり5年前の事件なんて持ち出して。
私はあのときだって被害者だったのよ!なのに堅気の商売人の家をメチャクチャにしたとか白い目で見られて…。
私はねこの会社を経営していた谷口と結婚してやっとつらい思いから抜け出せたの。
その谷口も去年亡くなって…。
警察は一体私に何の恨みがあるっていうの!?人をどこまで苦しめれば気が済むのよ!わかりました。
じゃあこの写真を見ていただけませんか?このスカーフに見覚えは?知ってるんですね?見たことあるんですね?ないわよ。
知りませんこんなスカーフ。
帰ってください。
忙しいので…。
知ってますねあの様子だとスカーフのこと。
一課の連中から訊き出してスカーフの販売経路を突き止めます。
頼むわね。
私は…。
君塚須美子さんって人のことが?少し気になるの。
でも良くないわね人を疑うのは。
ごめんなさいね。
こんなところに呼び出して。
うちじゃちょっと話しづらかったから。
何でしょう?何でも言ってください。
いけないところがあったら私直しますから。
そうじゃないの。
あなた…出所してから会った?あのときの伊東怜子さんに?伊東…?ごめんなさい。
嫌なこと思い出させちゃったわね。
でもどうなの会った?今は結婚して谷口怜子って名前になってるんだけど。
会ってません。
でも私会ったら謝ろうと思っているんです。
謝る?あのときスナックに勤めていた伊東怜子さんに夫は夢中になった…。
あんた…ダメそれお店のお金。
何やってるのよ!うるせえな!あんた!
(須美子)あの女誰なのよ!?説明しなさいよ!うるせえな!
(須美子)夫が私に暴力を振るうのも伊東怜子さんに夫がたぶらかされてるからだと思ってました。
何だよ!?そして…その足で伊東怜子さんに襲い掛かった。
でもそうじゃなかったんです。
悪いのは私のほうだったんです。
彼女の若さとか美しさとかそういうものに嫉妬した私の醜い心が夫を私から引き離したんです。
須美子さん…。
ごめんなさいね変なこと訊いて。
須美子さん成長した。
変わった…偉い!でも何でそんなことを…?いやあの…仕事場に変な匿名電話があってひょっとして…本当に私どうかしてたわ。
本当ごめんなさいね。
申し訳ない。
飲もう!はい…。
須美子さん!須美子さん!!須美子さん!?ねえおばあちゃん須美子さん見なかった?お母さんと外で食事。
ねえあの人私の部屋に入ったんじゃないの?見てよ!私の大事にしてたCDが割られてる。
人を疑うもんじゃないのよ。
証拠もないのに。
だってCDが自然に1人で割れるわけないもん!絶対おかしい…。
チーフ!谷口怜子とスカーフが結びつきました!本当!?私が調べてきました。
この色気を持って。
いや販売先を突き止めていた一課の連中に訊いたら一発でした。
でその店に谷口怜子の顔写真を持って行き見せたら…。
(店員)買って行かれました。
ビンゴ!ビンゴでした。
こっちも思わぬことがわかったわ。
今月の初め谷口怜子は家の階段から落ちたと言ってあっちこっちにあざを作っていた。
つまり…!?谷口怜子はレイプされていたのよ。
そして次のターゲットに直井葉子を指名した。
何て女なの!直井葉子さんのフィアンセが谷口怜子を捨てたとき相当荒れたらしいわよ。
元々インテリアデザイナーとして直井葉子に仕事を回していたらしいから。
飼い犬に手を噛まれたような気がしたんでしょうね。
ちょっと待ってください。
でもそのことと牧村庸介殺しとどこでどう結びつく…?鈍いわね。
あんたまだわからないの?谷口怜子はレイプされても直井葉子さんを次のターゲットに指名していたから警察に届け出なかった。
そして牧村庸介は私たちに追跡されて焦っていた。
逃走資金を確保するためにもう一度谷口怜子を呼び出す可能性っていうのは十分あるじゃない。
そして…もみ合いになり谷口怜子は牧村庸介を刺した。
決まったわね。
谷口怜子を任意で同行するわよ。
警察に来い?冗談じゃないわ。
お断りします。
じゃあスカーフのことはどう説明するんですか?現場に落ちていたのはあなたのスカーフだってわかってるんですよ。
そんなの誰かが私に罪を着せようとしただけよ。
関係ないわ。
だいいち私にはアリバイがあるんですから。
山浦さん。
(山浦誠)お呼びでしょうか谷口社長?この人たちに私のアリバイを証明してあげて。
3日前の夜7時から8時の間私が誰とどこにいたか…。
私と一緒でしたよ社長は。
社長のご自宅で。
ご主人が亡くなってからまだ1年ですからね。
いろいろ噂になると困るんでお話ししなかったんですよ。
山浦さんって言いましたよね?あなたは5年前の君塚須美子さんの事件のときも一緒だった。
確か君塚さんの旦那さんと当時伊東怜子と名乗っていた女性の仲を取り持ったのはバーテンだったあなたのはずよね?それがどうかしたんですか?ええ。
確かに私と社長は5年以上前からの付き合いです。
だからアリバイが信用できないって言うんですか?話にも何もならないわね。
これ以上難癖をつけるなら弁護士を通してからにしてちょうだい。
山浦さんこの人たちに帰ってもらって。
さてとどうしましょうか?令状を待ってないんですよね?確か任意っていうのは拒めばそれまでだったんじゃないのかな…?チーフ…。
・キャーッ!やめなさい!直井さん!やめなさい!この女なのよ私を指名したのは!直井さん…やめなさい!電話があったのよ。
わけのわからない変な声の電話が!その電話をかけてきた人間が言ってたわ。
この女があの牧村にレイプされてそして次に私を指名したって!そうでしょ!?しょうがなかったのよ…。
(怜子)言わなきゃ殺すって言われた…。
そのために…そのために私は…。
さっき賢一さんから言われたわ。
「婚約を破棄しよう白紙に戻そう」って…。
死んで…。
一生…一生を棒に振ってもいいの!?もういい!
(怜子)言っておきますけど私はあの直井葉子って女に襲われた被害者としてここに来てるんですから。
それでも女なの!?同じ女としてよく指名できたわね。
「次はあの人をレイプしてくれ」だなんて…。
聞いてるの話を!?恐かったでしょそのとき…。
屈辱だもんね。
恐くてつらくて悔しくて…。
その気持よくわかる。
わからないわよ…。
わかるわけないじゃない…。
別に弱い女じゃないしこれまでも腹をくくって生きてきた。
あんなふうに殴られたのは初めてだった。
そして殺されると思い抵抗をやめ…。

(牧村庸介)大丈夫だよ。
お前1人をつらい目に遭わせたりなんかしない。
誰か言えよ。
お前が同じ目に遭わせてほしいと思う女。
1人ぐらいいるだろ?
(怜子)言わなければ殺されると思った。
だから仕方なく…。
直井…葉子…。
仕方なかったのよ!言うしかなかったの私は!たまらないわよね。
その気持ちわかる。
だから言ったあなたを責める気にはなれないの。
でもね…でもなぜそのあとで警察に連絡してくれなかったの?そうしたら直井葉子さんの家に張り込んで犯人を逮捕することだってできたのよ。
それとも本当は直井葉子さんも同じ目に遭わせてやりたいと…?そう思ったって言ったらレイプの共犯にされちゃうんでしょ。
だから言わない…。
もういいでしょ?話すこと何もないんだから。
帰るわよ私。
ええ帰っていいわ。
ただしあなたが山浦と作ったアリバイは必ず崩す…。
それだけは覚悟しとくのね。
よう!あぁ…絵里子…。
絵里子?いや坂本君…。
君塚須美子をうちに住まわせてるって本当?麻美に聞いたんだけどあの子心配してたよ。
あなたに関係ないでしょ。
私の家に私が誰を入れようと。
そんな言い方ないだろう。
俺は君の元亭主なんだよ。
それに君は警察官なんだよ。
前歴のある人間をうちに住ませて何かあったらどうするんだよ?そういうのを差別とか偏見と言うの。
私は「人は人生を必ずやり直せる」って信じてるから。
まだ話は終わってないんだよ。
何よ?教えて。
何を?何をコソコソ捜査してるの?別に。
あなたに報告する義務はないでしょ。
教えてよ…絵里子。
絵里子!?いや…坂本君…。
ねぇ頼むよ!はっきり言わせてもらうけど…あれ?何隠れん坊してるんだよ!?はっきり言わせてもらいますけど君たちにウロチョロされると捜査の邪魔なの。
迷惑なんだよ…。
何が邪魔なのよ?何が迷惑なのよ!?じゃあそういうあなたたちの捜査は一体何なの?レイプ被害者の心を踏みにじるような捜査をして。
いつになったらそういうやり方直すの?俺たちだって気配りはしてますよ。
だけど俺たちは男だから…。
だから私たちが出張るしかないの。
あなたたちが頼りない…。
チーフ…。
わかりました。
3日あげる。
仏の顔も3日まで。
絵里子わかってよ…。
突き上げ食ってるんだいろんなところから。
「何で女性捜査班にいつまでも捜査させてるんだ」って。
俺の気持にもなって…。
黙って手を引いてくれよ絵里子。
わかった!3日だけあげるよ3日…。
その代わり3日でけりが付かなかったら黙って捜査から手を引いてよ。
俺たちに捜査返して。
じゃないと女性捜査班の存続にも関わる問題にもなってくる。
存続って…なくなるってことですか女性捜査班?まあそういう話も上からチラホラと出ている…本当だよ。
だって考えてみろよ。
女性被害者に対するフォローと言ったってそんなもの一課とか二課に女刑事を増員すれば済むわけだろ?何で女性捜査班をわざわざ置く必要があるのかっていう話が…。
絵里子わかってる?わかった。
ねっ?わかったから…3日くれるのね?ああわかった。
3日だけあげる。
それが君たちに与えらた最後の猶予。
3日って…たったの3日ですか!?泣きごとを言わない!いいみんな?3日以内でホシを挙げるわよ。
まずは山浦と谷口怜子のアリバイの切り崩し。
それから登茂さん。
あなたは直井葉子さんのほうお願いね。
傷害で送検しなくちゃいけないけどあまりことを荒立てたくないの。
わかりました。
任せてください。
さあ時間がないわよ。
みんな急いで。
(一同)はい。
はい頑張って。
あらまだいたの?それはないだろうよ。
まだ話終わってないんだよ。
君塚須美子の話どうなったの?プライベートな話はお断り。
何だか急に景気が良くなったみたいね。
今まで開店休業の状態が続いてたのにいきなり店を改装するなんて。
山浦さんですよ。
お金?ええ。
アリバイを作ったことで谷口怜子から山浦にかなりのお金が流れているふしがあります。
そう…やっぱりね。
さっき工務店の人たちを連れてきてかなり羽振りがいいって感じですね。
はい。
わかりました。
ありがとうございます。
すごい…ちょっと代わってください。
ニュースニュース!ちょっと待ってください。
チーフ大ニュースです。
(西沢)「山浦と牧村の線がくっ付くきました」どういうこと?
(西沢)山浦誠は3年前覚せい剤の所持で現行犯で服役していたんですけどもその刑務所が牧村が服役してた小菅刑務所なんです!何ですって!?ひょっとしたら山浦が牧村に頼んで谷口怜子を襲わせた可能性もあるんです。
わかった。
2人の接点はこっちで調べる。
あなたたちは引き続き山浦をマークして。
了解!ねっ驚いたでしょ。
私だってやるときはやるんですよ。
あっ!来たよ。
えっ?あの約束ちゃんと守ってくれてるよね?
(西沢)アリバイのない谷口怜子の弱みにつけ込んで山浦終始ご機嫌って感じよね。
どうしたんですか?さっきから黙りこくって…。
本当になくなるのかな?女性捜査班…。
でも3日以内にこの事件解決できればきっと…。
解決できなかったらどうなるの?そうしたら私どこ行くんだろう…?うれしかったんだよね。
女性捜査班に抜擢されたとき。
私さ高校のとき仲良かった友達がレイプされて自殺したんだ。
えっ?そのとき一生懸命励まそうと思った私に彼女が残した言葉はひとつ…。
「あなたになんかわからない」。
それから私同じ目に遭った被害者の気持ち必死でわかろうと思ったの。
中里さん…。
中途半端で終わるのかなそれも…。
たまんない。
死んだ友達に顔向けできないよ。
大丈夫ですよ。
女性捜査班は絶対残る。
私たちが頑張ればいいんですから。
ねっ?頑張りましょう中里さん!西沢…。
あっ!出てきた。
(村木弘子)行くわよ。
はい。
ごめんなさい。
申し遅れました。
私週刊アーバンの村木と申します。
谷口怜子さんですよね?少しお話を…。
お店の取材でしたら担当の者にお願いします。
そうじゃないんです。
実は…。
この人でしたら身内みたいな者ですから大丈夫ですよ。
そうですか…。
あの…失礼ですけど例のチェーンレイプの一件であなたが別の女性を指名したとの匿名電話が入ったんです。
何ですって…!?もちろんお名前やお顔は伏せますからそのときの心境を聞かせてもらえませんか?どうして同じ女性をそういうふうに指名することができたのか…。
何ですって…!?冗談じゃないわよ!あんた失礼じゃないか!
(山浦)一体何の権限があってこんなことやってるんだよ!?私たちは次の号で「女性の敵は女性だ」という特集を打つんです。
だからどうしても欲しいんですコメントが…お願いします谷口さん!うるせえな!撮るなって言ってるだろ!ぶっ殺すぞ!そう…週刊誌の記者にも匿名電話が…。
はい。
これで匿名電話の主が谷口怜子をおとしめようとしていることは明らかになりましたね。
やっぱり山浦でしょうか?より一層恩に着せるために…。
考えられない線じゃないわね。
でも問題なのはなぜそこまで匿名電話の主が知ってたかよ。
谷口怜子がレイプされ次のターゲットを指名しその犯人が牧村庸介だと…。
山浦ですよ。
山浦なら刑務所仲間の牧村との関係からそこまで仕組むことができます。
(電話)はい女性捜査班。
あっ都築さん。
ちょっと待ってください。
チーフ。
はい…。
あっチーフ都築です。
ダメです。
山浦と牧村は同じ時期に小菅刑務所に服役していましたが房が違い2人が接触していたという事実はつかめてません。
誰か介在する第三者でもいるんでしょうか?山浦と牧村の間に?そう…わかった。
じゃあ戻ってきて。
こっちでもう一度山浦の周辺を当たったほうがいいのかもしれないわね。
じゃあ。
ダメだったんですか。
小菅刑務所?行き詰まったわね。
でもどこかにいるのよ。
この事件のすべての筋書きを書いた人間が…。
そしてその人間が牧村庸介を殺した可能性もある…。
キャーッ!おばあちゃん!!おばあちゃん!どうしたの!?ゴキブリ…。
えっ?どうしてこんなところに!?きっとこのドアがちょっと開いている隙間に入り込んだんでしょうね。
そして凍死した。
あぁ!あなたじゃないの!?あなたがわざとゴキブリの死骸を入れたんじゃ…!?麻美!?だってそうじゃない!この人来てから変なことばかり起こるじゃない。
CDが割られたり…。
そうよ!あのティーカップだってあなたわざと落としたんでしょ!?そんな…ひどい…。
麻美およしなさい!何よ!おばあちゃんまでこの人の味方して。
本当はおばあちゃんだってそう思ってるんでしょう!?よしなさい!わからない…。
こんな人守るおばあちゃんの気持ちわからない!麻美!?ただいま。

(公子)麻美!どうしたの?どうしたのよ麻美!?何かあったの?それがね私が大きな声で怒鳴ったもんだから…。
私が悪いんです。
みなさんのやさしさに甘えてつい長居をしてしまって…。
本当にごめんなさい。
それは大丈夫だけど…。
本当に…ごめんなさい!お母さんどうしたの一体…?捜査に行き詰まったときはさ南さん…。
ええ。
現場百遍って言うけれど何も出ないねこりゃ。
ええ…。
警部本当に3日経ったら女性捜査班は捜査から降りるんでしょうね?降りる降りる。
だって約束したもん。
(携帯電話)はい菱沼…。
おっ麻美どうした?
(須美子)「しょせん私のような者がみなさんの好意に甘えてはいけなかったんです」「でも楽しかった…」「そして本当に親身になって仕事を探してくれた奥様」「みなさんのご恩は一生忘れません」「申し分けありませんでした。
ティーカップ代置いていきます」「わずかなので足りないかもしれませんが麻美さんにCDを買ってあげてください」「娘のところへ帰ります」「本当にありがとうございました。
須美子」麻美。
お母さん…。
しょうがないなこいつ。
聞いたよ。
すぐに人を疑って。
だって…。
だってもヘッタクレもないの。
あのね…人を信じるってことは力仕事なのよ。
本当は信じるほうの人間性が問われてるの。
お母さん職業柄最初から人を疑ってかかるところがあるでしょ。
それが嫌になってある日決めたの。
人を信じようって。
どんなひどいことしても人は絶対に罪を償えばやり直せるんだ。
そう信じようってね。
お母さん…。
それはねあなたを産んだときの誓いなの。
生まれてきたばかりのあなたを見てお母さん思った。
これからこの子が生きていく世の中が信じられない人ばかりだなんて悲し過ぎる。
この子のために人を信じようって。
私から率先して人を信じていこうって思ったの。
お母さん…でもダメだよ私。
未熟だから人疑って。
ダメじゃないの。
だから須美子さんに謝ろう。
須美子さんきっと許してくれる麻美のこと。
よし!寒いから帰ろう。
あっお母さん麻美いたよ!絵里子…。
ほら寒いから着なさい。
須美子さんがこれを置いていなくなっちゃったのよ。
えっ?そこにも書いてあるけど私のティーカップ代麻美にCD買ってあげてくれってこれを…。
お母さん…。
しょうがないわね。
何とか連絡とって返さないとね。
ねぇ…よっぽど急いで書いたのね。
ほら字を間違えてる。
こんなお金があるんだったら娘さんに何か買ってあげればいいのにね。
本当に気ばっかり使って…。
・麻美!あら呼んだの?ううん。
うん…ごめん。
麻美どうしたんだよ?何か心配ごとあるんだったら何でも言いな。
お父さん相談のってやるから…。
もう終わったの。
ご心配なく。
それより牧村の周辺調べてるんでしょ?何かわかった?あぁ…あいつね…。
あいつ強盗するでしょ。
それでお金取るとそれを遊興費とかギャンブルに使ってそれがなくなるとまた強盗を繰り返すってすごいひどい奴…。
そうかそうか…目新しいことは何もわかってないんだ。
じゃあ。
いや…俺は麻美に呼ばれたんだ。
だからもう済んだって言ったでしょ。
いや…。
いいのよお父さん。
もう大丈夫だから私。
ごめんなさい。
じゃあおやすみ。
おやすみなさい。
お義母さんまで…。
おやすみお父さん。
何でこうなるの…。
寂しい…。

(パトカーのサイレン)チーフ!本当なの?自殺って!?あそこで首を吊って…。
でもおかしいんです。
鑑識さんの話によると後頭部のこのあたりに鈍器で叩かれた跡があるとか…。
鈍器で?チーフちょっとこちらへ。
これ…。
「申し分けありません。
私が牧村を殺しました」「事件当夜私が山浦さんと一緒にいたというのは嘘です」「山浦さんに必死に頼み込みアリバイを偽装してもらったのです」「ですが山浦さんは私が犯人だとは知りません」「どうか彼は捜査しないであげてください」「お願いします」遺書ね。
ええ。
これによると牧村を殺したのは自分で山浦には必死に頼み込んでアリバイを偽装してもらったと。
でも殺人だとしたらこの遺書は偽造ね?それに山浦さんは自分が犯人だとは知らないとかあっちこっちで山浦をかばってるふしがあります。
山浦は?今西沢と中里が店のほうへ行っています。

(井沢)チーフ!社員の人に確認してもらったんですが金庫の中にあった現金と通帳が全部消えているそうです。
何ですって…!?
(中里)あれ?開かない。
山浦さん!?いないみたいね。
・2階にいないの?隣住まいになってるんだけど。
それがいないんです。
どこへ行ったか…。
えっ?何?あぁそう…。
さっきどこかへ出かけたみたいようちの人が見たって。
出かけた?すみませんどうも。
ありがとうございます。
(携帯電話)はい中里。
私よ。
今東西銀行の新宿西口支店から連絡が入ったわ。
山浦とおぼしき人物が谷口怜子の口座から預金を下ろしてるわ。
大至急直行!
(パトカーのサイレン)山浦さんその鞄の中身について訊きたいんだけど。
冗談じゃないよ!俺が殺した!?バカなこと言うんじゃないよ。
何で俺が怜子のことを殺さなきゃなんないんだよ。
あれは自殺だよ。
(山浦)携帯に電話してもなかなかつかまらねえしこっちには着信履歴が何度も入ってるし…。
だから気になって朝方行ってみたんだよ。
遺書を修正!?そう言っているんです。
遺書には牧村を殺した罪を悔いて自殺すると書いてあってその上山浦を金で雇ってアリバイを頼んだとか…。
預金は福祉の施設に寄付してほしいと書いてあったものだからそれを慌てて削除して書き直したと。
そんなのもちろん嘘に決まってますよ。
あいつが谷口怜子を自殺に見せかけて殺しそして牧村庸介も恐らくあの山浦が…。
ダメですチーフ…山浦にはアリバイがありました。
谷口怜子の死亡推定時刻の昨夜の11時から12時の間山浦誠は自宅の近所のバーで酒を飲んでます。
そんな…そんなバカな!?
(西沢)じゃあ誰が谷口怜子を…!?そうですか…。
谷口怜子…殺されたんですか。
どういう気持ち?それ聞いて。
うれしくない…。
そこで喜べばあの人が私にしたことと同じことになっちゃうもの。
そうよ。
だからあなたは気をしっかり持ってちゃんと罪を償って。
裁判所の人もあなたの気持ちわかってくれると思うから。
でもじゃあ誰なんです?あの女…。
あの匿名電話の女の人は?女?どういうこと女って?でもボイスチェンジャーの声で男とか女の区別は…。
それが咳をした拍子にボイスチェンジャーが落ちたみたいだって言うんです。
そのとき「あっ!」って女の声が聞こえたって。
(ボイスチェンジャーの声)お前をレイプさせたのは谷口…ゴホン!
(女の声)あっ!女…。
でもじゃあ別にいるってことですか?谷口怜子に恨みを抱いていた女が…。
(公子)ほら字を間違えてる。
字を間違えてる…。
登茂さん…。
はい。
今確か女子刑務所でもパソコンを習得する時間があるわよね?ええ確か…3か月前から導入されたって…。
もしそこで習って間もない人間がつたない打ち方で文章を書いたとしたら…。
そしてこの字を「申し訳ありません」の「申し分け」だと思い込んでいる人間がいたとしたら…?
(中里)いるんですかそんな人間?谷口怜子を恨んでいる人間の中に?いる…。
1人だけ…君塚須美子。
えっ!?5年前谷口怜子に夫を奪われ殺人事件を犯した女よ…。
えっ!?
(電話)はいはい。
今出ますよ。
(電話)いないわ。
君塚須美子に関して知ってることを母から聞こうと思ったけどダメね。
じゃあ彼女の勤めていたサウナに行ってくるわ。
登茂さんは彼女の故郷に連絡をとって足取りを追って。
了解。
私は井沢さんと一緒にチーフの家周辺の旅館やホテルを当たります。
そうして。
じゃ行くわよ。
(一同)はい!
(パトカーのサイレン)君塚須美子さんの親しくしていた人間…?さあ…何せ入って半月足らずでしたからね。
どんなことでもいいんです。
わかりませんね。
でもなぜ彼女急に辞めちゃったのかな?君塚須美子は最初からチーフの家に入り込むつもりだったのではないでしょうか?匿名電話をかけここに呼び出したのも計算ずくだったってことでは…。
そんな!?
(携帯電話)はい坂本…。
チーフ。
君塚須美子の娘と父親は2年前交通事故で亡くなってるんですよ!
(登茂美)「嘘だったんです。
娘がいるというのは!」わかった…。
チーフ?家に帰るわ。
何か心配になってきた…。
はい。
はい。
ありがとうございました。
麻美!?お母さん!?お母さん!麻美…。
須美子さん…。
あっ絵里子さん。
いや変なんですよね。
こちらにお電話したら奥様が戻って来いとおっしゃるんで戻って来たら洗濯物は出しっぱなし。
一体どこへ行っちゃったんでしょうね?あなたね…あなたがすべて糸を引いていたのね。
どこにいるのよ!?母と麻美は!何とか言いなさいよ!そこの2人邪魔ね。
悪いけど絵里子さんと2人だけで話がしたいの。
出てくれないかな?何ですって!?出てってよ。
須美子さん…。
行こう…。
じゃあチーフ。
早く出て行きなさいよ!捜査一課の菱沼警部に電話して。
えっ?あの余裕から見て麻美ちゃんとチーフお母さんはどこかに人質にされてる。
連絡したほうがいい。
わかった。
言いなさい。
どこにいるの麻美は?麻美とうちの母は!?その前にどうしてこんなことしたか訊かないの?ウフフ…。
何笑ってるのよあなた?いい加減に…。
キャーッ!キャー!アハハッ…!何やってるの…!?興奮すると美人が台無しよ。
あのこと覚えてる?あのこと…?5年前私が捕まったときあなたに何て頼んだか?覚えてるわ。
子供を施設に預けてほしいと言った。
そう…絶対田舎の父には預けないでねって頼んだ!なぜだと思う?父が…酔っ払いのならず者だったからよ。
そんなふうには見えなかった…。
そして孫娘のためにお酒もやめてあなたを待つと言うから…。
上司と相談して私はあなたのお父さんに子供を渡した。
それが間違いだったのよ!2年前父は死んだ。
なぜだったと思う?酔っ払い運転よ…。
私のみゆきを巻き込んで父は酔っ払い運転で事故を起こして死んだのよ!そして出所してお寺にお骨を取りに行った帰りだったわ。

(須美子)そのときあなたたちを見て憎らしいと思った。
絶対…許さないと思った。
あなたが…あなたがみゆきを父に渡さなければみゆきは死なずに済んだんだから!生きる希望を失った私に残っているのは復讐だけだった。
まず初めに伊東怜子に復讐しようと思った。
そうしたらあの女の家を張っているとき思わぬものを見かけた…。
何ごとかと思ったわ。
そして中へ忍び込むと…。
ことが終わったとき…。
直井…葉子…。
あいつが直井葉子っていう女の名前を言ったとき私は今度の計画がひらめいた…。
まず牧村はどこの誰か尾行し突き止めた。
そして昼間はあいつの通うサウナに勤め…。
牧村が直井葉子を襲う機会を待った…。
何のためにそんなこと…。
ただ殺すだけじゃつまらないからよ。
まず伊東怜子を社会的に徹底的に痛めつけてやろうと思ったの。
レイプの被害に遭う人間を指名した女としてね。
そして…直井葉子が襲われた次の日ボイスチェンジャーを使って声を変え牧村庸介のことを私たちに通報した。
あの直井葉子って娘には申し訳ないことをしたと思ってるわ。
でも私は鬼だもの。
そういう感情に捉われちゃいけない。
そして牧村が捕まったとき伊東怜子のことを言ったら面白くなると思った。
だけどあなたたちは逃げられた。
そこから私のシナリオが少し狂ったのよね。
牧村は私があいつの周りを動いているのに気づいてたのね。
だから通報したのを私だと読んで私を襲ってきた…。
それから…もみ合ううちに…。
私が何かのためになると思って盗んでおいた伊東怜子のスカーフをそこに置いて逃げたのよ。
そして…警視庁に行ってあなたの家に潜り込んだ。
それにしても直井葉子週刊誌の記者…。
匿名電話をかけるたびにみんな思いどおりに動いてくれた。
もちろんあなたたち女性捜査班もね。
そしてこの家を出た夜谷口怜子を殺した…。
私は自殺に見せかけるための遺書を打った。
もちろんそんな工作がバレることはわかっていた。
だから山浦に何度も電話をかけ出ると切ってあいつがあの家に来るように仕向けたのよ。
山浦も5年前の事件に一枚噛んでるしね。
許せなかった。
どう?これがすべてよ。
頭いいでしょ私。
見直した?言いなさい。
うちの娘と母はどこなの?あと30分…。
30分もすれば死ぬかな。
何ですって!?言いなさいよ!どこなの?私見たいのよ。
あなたが家族を失ったときの顔。
だから騒いで30分間。
私あなたの苦しむ顔を見て…じっと見て楽しむから。
ふざけないで!言え!!あっあと29分!おばあちゃん…。
(中里)警部!今チーフは須美子さんが…。
謝れよ…土下座して謝れよ!言え!土下座しろ!あと21分。
絵里子!わぁーっ!絵里子…絵里子!大丈夫だ。
麻美たちは俺たちが救出した。
安心しろ。
嘘よ!何でたらめなこと言ってるのよ!嘘じゃないさ。
だったらこれ聞いてみろよ。
(麻美)「私のことなら大丈夫よ。
心配しないで」麻美!?嘘よ…そんなのでたらめよ!あの工場がわかるわけないじゃない!あの冷凍庫はドアがこんなに分厚くて声なんか全然…。
冷凍庫か…絵里子冷凍工場だ。
おい頼むぞ!待て!離して!離せ!!離せ!離せ!待てーっ!!
(南田)「その界隈に冷凍工場は2軒あります」「1軒は倒産した工場で住所は大崎4丁目」「もう1軒は南品川の7丁目です」わかった。
俺たちは大崎のほうへ行くからそっちは南品川へ行ってくれ。
(南田)「了解」ねぇどういうことなの?さっき麻美の声で…。
あぁ…これね。
これ押してみて。
(麻美)「私のことなら大丈夫よ。
心配しないで」麻美から電話もらったとき録音しといた。
あなた…。
褒めてくれるのは2人を助けてからでいいよ。
とにかく助け出そう。
麻美待ってろよ。
お父さん絶対助けてやるからな。
待ってろよ!絵里子あそこだ!麻美!?おい!麻美!!お母さん!ここだよ。
うん!麻美!?お母さん!?お母さん!麻美!!麻美!麻美…!麻美!お母さん!!絵里子…麻美!麻美!お母さん大丈夫!?大丈夫ですか?絵里子…。
ごめんね。
ごめんなさいね…。
立てますか?あっチーフ。
ダメです。
あの女しぶとくて…。
代わるわ。
はい。
チーフ…。
絶対しゃべらないからね。
そりゃあんたの家族を監禁したことは認める。
でもそれ以外は認めない。
否定する。
なぜだと思う?早く刑を終えてあんたの家庭をまたメチャメチャにしてやりたいからよ。
私は必ず戻ってくる。
そして…絶対復讐してやる。
あなたの故郷に行ってきたわ。
そして調べてきた。
あなたが誰にどう聞いたかわからないけどあなたのお父さんは酔っ払い運転で事故を起こしたんじゃなかった。
そんな話信じるもんですか…。
あなたのお父さんは本当にお酒をやめてちり紙交換をしながら一生懸命孫娘のみゆきちゃんと一緒にあなたの帰りを待っていたそうよ。
そんなのでたらめよ。
あいつは一度も面会に来なかったのよ。
酔っ払っちゃってみゆきの世話だってちゃんと見てたんだかどうだか…。
そうじゃない。
面会に行かなかったのは物心がつき始めたみゆきちゃんに刑務所に入っているあなたの姿を見せたくなかったから…。
そんな…。
でもあなたのお父さんはみゆきちゃんを連れてあなたの入っている刑務所の近くに時間を作ってはいつも行ってたそうよ。
聞いたことなかった?塀越しに聞こえるみゆきちゃんの歌う「大きな古時計」の歌を。

(みゆき)「大きなのっぽの古時計おじいさんの時計」「100年いつも動いていたご自慢の時計さ〜」「おじいさんの生まれた朝に買ってきた時計さ〜」聞いたことなかった?あなたその声を…。
それがあなたのお父さんにできる精一杯のことだった…。
あなた聞いたことなかった?あなた聞いたことない?おじいちゃんもう1回歌ってもいい?ああいいよ。
大きな声で歌うんだよ。

(みゆき)「大きなのっぽの古時計おじいさんの時計」「100年いつも動いていたご自慢の時計さ〜」「おじいさんの生まれた朝に買ってきた時計さ〜」聞いた…。
聞いた…。
あれみゆきだったんだ…。
あの声聞くとみゆきに会いたいって思った…。
みゆき…。
みゆき…。
あなたのお父さんはあなたとみゆきちゃんのために立ち直った。
あなた覚えてる?5年前私が逮捕したときに言った言葉。
あの言葉を繰り返すわね。
人間は必ずやり直せる。
だからあなたも罪を償ってもう一度やり直して。
お願い。
こうしてチェーンレイプに端をなした恐ろしい事件は終わった
一切お咎めがないの!?もう…総監も甘いね。
それだけじゃないわ。
今後は一切捜査一課に遠慮せずに行動していいってお墨付きも出たわ。
そりゃよかったね…。
良くないよ!俺の立場はどうなるわけ!?立場?あらあなたに立場なんてあったかしら?子離れできないただのスケベ親父じゃなかった?そんな言い方はないだろう!?俺はね仮にも君の元亭主だぞ絵里子!絵里子!?いや…坂本君…。
(電話)はいこちら警視庁女性捜査班。

茨城県水戸市にある2015/12/10(木) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
警視庁・女性捜査班[再][字]

同居人は夫殺しの女!平和な家庭が壊される…連続レイプ殺人の裏側に、復讐を誓う女の罠!

詳細情報
◇出演者
萬田久子、京本政樹、木野花、杉田かおる、伊藤裕子 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32723(0x7FD3)
TransportStreamID:32723(0x7FD3)
ServiceID:2072(0x0818)
EventID:45306(0xB0FA)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: