「ららら♪クラシック」今回は番組に届いたリクエストで人気No.1の曲が登場です!それは…。
(「幻想即興曲」)ショパンの「幻想即興曲」。
華麗な指さばきから繰り出される美しい音色。
繊細でありながら華やか。
これぞまさにショパン!「こんなふうにピアノを弾いてみたい!」って憧れますよね。
しか〜しこの曲実はショパンは…しかも盗作疑惑まで!そのために危うく消されてしまうまさに幻想幻となる運命にあったんです!その運命を変えたのは誰なのか?一体この曲の誕生にはどんな秘密が?ショパンの「影」の存在に迫ります。
「ららら♪クラシック」今日はショパンの「幻想即興曲」です。
ショパンの人気作品の一つですね。
ピアノを習った事がある人なら一度は弾いてみたいと思う憧れの曲ではないでしょうか。
本日のゲストはショパンの回にふさわしいこの方松井咲子さんです。
(一同)よろしくお願いします。
私ショパンが作曲家の中で一番大好きなので今日すごく楽しみにしています。
よろしくお願いします。
心強いですね。
そうですね。
松井さんは今年AKB48を卒業なさってタレント活動をしながら音大生でもあるという事なんですよね。
そうなんです。
改めてずっと小さい頃からピアノをやっていたんですけどまた勉強したいなと思って。
作曲家ではショパンが一番お好きという事なんですが…。
はい大好きです。
どういう点ですか?やっぱり曲が本当にすてきな曲が多くて聴いてもすごく好きだし弾くのも楽しいしほんとにかっこいい曲もあればきれいな曲もあるしすごくこう気分が上がるような楽しい曲もあったりとかしてすごく大好きですね。
ちなみに一番最初に弾いたショパンの作品というのは覚えていますか?小学校3年生くらいの頃にワルツの8番を弾いたのが多分一番最初のショパンでした。
ワルツから入って憧れたのはやっぱりこの「幻想…」。
そうですね。
この曲は弾いた事はあります?あります。
小学校6年生の時に。
早い!6年生なんだ!弾きました。
そこにすごく時間をかけて苦戦した思い出があります。
確かに難しいですよね。
そのあたりの事は後ほど詳しくご紹介したいと思います。
それでは「幻想即興曲」とはどのような曲なのかこちらをご覧下さい。
ピアノのお稽古を始めるとまず最初に弾きたいと思う曲ってありますよね。
そしてちょっと上達したら弾きたいと多くの人が憧れる曲それが…
(「幻想即興曲」)印象的な出だしから一気に駆け抜ける…訪れた静寂に響く懐かしくも美しいメロディー。
再び追い立てられるように突如走りだすスリル。
予測不能な息もつかせぬ展開がドラマチックに繰り広げられる本当に魅力的な曲ですよね。
タイトルにある「即興」とはいわゆるアドリブの事。
アドリブとはジャズでよくあるように…という事は「幻想即興曲」はショパンがアドリブで作った曲なの?完全にアドリブではなくかといって考え抜いて厳格に組み立てた曲でもない。
作曲家の自由な発想でアドリブのような面白さを盛り込んだ曲それが…ショパンが作曲した即興曲は4曲。
最初に作ったのが「幻想即興曲」です。
まるでその場で生まれたばかりのような新鮮なエネルギーに満ちたこの曲はショパンの作品の中で最も人気のある曲となったのです。
「幻想即興曲」というタイトルですけど即興で作った曲ではないんですね。
ピアニストの場合即興曲…これがアドリブ風なんだっていうふうに意識して弾くってどういう事をするんですか?自由です。
えっ自由?やっぱり作曲家が自由に発想したという事を受け継ぐ気持ちはとても重要なのではないでしょうか。
なるほどね。
私は作曲を全然やらずにきたのでアドリブっていうのがすごく苦手意識があるんですね。
う〜んどうなんだろう。
「自由に」って言われるのがすごく苦手…。
難しい逆にね。
そうなんです。
難しいので。
だからより深いですよね。
ある程度がんじがらめな…でもそうやってお話を伺うとなんか演奏家にとってはすごくやりがいのある曲に見えますね。
ただ弾けるだけでは表現しきれない何かというのもきっとあるんでしょうしね。
こんなにかっこよくてみんなが大好きな「幻想即興曲」ですがなんとショパンはこの曲世に出したくなかったという事実が判明しています。
「幻想即興曲」に関してはこんなふうに世界中で愛されているとはまさかゆめゆめ思っていないわけですよね。
ではなぜ今こうして私たちのもとにこの曲があるのかこちらをご覧下さい。
ショパンが24歳の頃に作曲した「幻想即興曲」はなぜ彼が生きている間は出版されなかったのでしょうか?その理由は同じ時期に作曲された他の作曲家の作品にそっくりだったから…。
う〜ん確かに似ていますね。
更にショパン自身が失敗作だと思っていたから…などなどいろいろな説がありはっきりしていません。
しかしショパンが「幻想即興曲」を世に出したくなかった事だけは確かなようです。
しかもショパンは死の間際に「書き残したものがたくさんあるが…」…という言葉を残したのです。
ショパンの遺言に従えば「幻想即興曲」はこの世から消えてしまう運命にあったのです。
なのになぜ私たちは今この曲を聴く事ができるのでしょうか?実は…その遺言を破った男がいたのです。
法律を学び音楽の知識が豊富だったフォンタナ。
幼なじみでもあった彼にショパンは全幅の信頼をおいていました。
そんな2人の関係は…?パリを離れ静かな田舎町で作曲に専念するショパン。
出来上がった楽譜はパリのフォンタナのもとへ。
フォンタナはその楽譜をきれいに清書し出版社に売り込みます。
更に…。
「手袋を買って送ってほしい」。
「香水もせっけんも!」。
ショパンのためにパリ中を走り回るフォンタナ。
もしもショパン自ら楽譜の清書や出版社との交渉を全部やっていたら…こんなにたくさんの作品が生まれ才能が認められる事はなかったでしょう。
こんなにもショパンから信頼されていたフォンタナはなぜ最後の最後に「残した楽譜は全部焼却してほしい」というショパンの遺言を守らなかったのでしょうか?人気作曲家だったショパン。
死後残された楽譜が流出無許可で出版された楽譜が現れ始めます。
「完全なものだけを出版する」と言っていたショパンの遺志に反する事態となったのです。
「このままではショパンの才能が汚されてしまう」。
フォンタナはショパンの事を最もよく知る者として楽譜を整理し公式な遺作集を出版しようと決意します。
ショパンの死から6年後フォンタナ監修の下遺族も認める遺作集が出版されました。
その最初に収められたのが「幻想即興曲」でした。
更に出版の翌年フォンタナはピアニストとしてこの曲を自ら演奏。
作品を世に広めるために力を注ぎます。
偉大なる陰の存在がショパンの最も愛される作品を世に送り出したのです。
フォンタナ様様ですね。
ほんとですね。
さすがのショパンも自分自身の作品にはちょっと見る目がなかったんではないかというくらいに焼いてしまおうとしたぐらいだったというのはね驚きですね。
なぜでしょうね。
不思議ですね。
しかもねこの「幻想即興曲」という「幻想」というタイトルなんですがショパンは単に「即興曲」としか書いていなかった。
という事で出版する時にフォンタナが付けたのではないかと言われているんですけど。
これ「幻想即興曲」じゃなかったらここまでなかったと思いますよ。
そうですね。
うまいですよね。
だからいろんな意味でフォンタナ様の貢献度というのは非常に…。
大きな存在だったんですね。
でもショパンっていう偉大な存在のそばにいる引き立て役じゃないですか。
松井さんはこの役回りはどうですか?実際に自分の幼なじみがすばらしい人だったら…でも尊敬はすごくできます。
でもパシリとかはちょっと嫌ですけど。
でもやっぱりちょっとでも支えになりたいとかそういう気持ちが多分フォンタナにもあったと思うのでいい関係だったんじゃないかなとは思いますね。
ショパンは実は相当フォンタナを尊敬してたと思いますよ。
高く買っていたと。
それはもう自分が「自分以上の力を持ってる」とある種思えるような人でないと譜面は預けられないですよね。
なるほどね〜。
そうですね。
さあショパンが亡くなったあとのフォンタナなんですけれども波乱万丈の人生で最後はなんと原因不明の病気でピアノを弾く事もできなくなってお金にも困ってしまって自殺してしまうんですね59歳で。
ちょっと結末は悲しい。
う〜ん切ないですね。
ショパン天国でフォンタナに言ってると思いますよ。
「この曲に関しては僕の見る目が間違っていた。
君が正しかった。
ありがとう」ってね。
そう信じたいですね。
ここでちょっとブレーク!今回もたくさんの曲をおすすめ頂きました。
それではメッセージと共にご紹介します。
まずはこちら。
大勢で過ごすクリスマスも楽しいですよね。
そんな時にはぴったりの曲かもしれませんね。
続いては…2人きりのクリスマスにはこんなしっとりした曲もいいですね。
そして最も多くおすすめ頂いたのは…今年のクリスマスあなたはどんな人とどんな音楽で過ごしますか?「おすすめクラシック」次回…メッセージお待ちしています。
ショパンの人気曲…この曲の楽譜を出版し演奏までして世に広めたのはショパンを陰で支え続けた親友でした。
即興のような新鮮なエネルギーに満ちたこの曲にはショパンの綿密な計算が隠されています。
ショパンの作曲の技に美濃さんが迫ります!ピアノを習う人みんなの憧れの曲「幻想即興曲」ですけれども実はとても難しい曲ですよね。
はい。
この曲の最大のポイントでもあるんですけれども右手と左手が同じリズムを刻む事がないという。
ちょっと演奏してみますと…。
…というふうになっています。
実はこれ右手が8個そして左手が6個と違うリズムを刻んでいます。
さあこの感じ右手と左手が違うというのがどういう感じなのかというのをちょっと衣良さんにね体験して頂きたいと思います。
これですか。
分かりました。
半分にして右手が4つ左手が3つ。
これ普通できるんですか?いきますよ。
123123…。
そこに右手が4つ。
(たたく音)123…アハハハハ。
(たたく音)最後はお馬さんがパカパカっていうパターンになりましたね。
ずれた感じはよかったんですが。
ちょっと難しい。
これをしかも流れるように演奏しなければいけないんですよね。
そこに松井さん自身もかなり小学校6年生の時ですが苦労したという事ですよね。
苦戦しました。
片手ずつだと理解できるんですけどいざ両手でやるともうパニックですよね。
「合う…合わない?えっ何これ?」みたいな。
もうそれでずっと時間をかけてました。
ではなぜねショパンはこのようにずらしたのかという事をちょっと考えてみたいんですけれどもやっぱりこの微妙な音のずれというのが…もしね両方6つの音にして弾くとどうなるか。
どうですか?重要な音は入ってるんですけれども。
そうですね。
ちょっと落ち着きすぎちゃいますね。
そうですよね。
この…。
ずれたヒラヒラヒラヒラというこれが…。
どうなるんだろうっていう。
機転をね。
すごく自分の心情を揺さぶられるという感じの部分ですね。
続いてもう一つのショパンの計算を見ていきたいと思います。
この曲の初めの部分と途中でとてもゆったりとした美しいメロディーが出てくる部分。
パッと見ていかがでしょうか?松井さん譜面を見た印象で。
調号が変わって転調している。
あとは最初のこの細かい16分音符のパッセージに比べて2分音符が使われていたりゆったりするのがもう見た目から違いますね。
すばらしい。
まさにおっしゃるとおりでございます。
衣良さんついてきてますか?はい。
なんとかパカパカと。
実はAの部分は「短調」という悲しみを持った調性で書かれてます。
そしてBの方はテンポもだいぶ落ち着きます。
明るい調になってたっぷりと歌うパッセージが出てきますね。
こんなに変わっているのに曲を通して聴いているとスムーズに変化してきて大きなショックを私たちに与えないというのはなぜなのかというとですね実はAは…。
ソのシャープから始まって…。
上のソのシャープまで到達しています。
Bの部分は…。
ラのフラットから始まって…。
上のラで終わるというふうに上昇していく音型なんですが衣良さん。
このソのシャープとラのフラット。
どうですか?全く同じ音に聴こえますよね。
わあ!耳がすばらしくよくなってきましたよ衣良さん。
そのとおり。
実は「異名同音」っていうんですが同じ音なんです。
違う名前を持っているけど同じ音という事で2つのフレーズは同じ音から始まって同じ音で終わっている。
この上がり方がちょっと違うという事なんですよね。
そんな手を使ってなじませていた。
なるほどね。
このようにショパンが相当「即興曲」とはいえ計算している部分というのがね感じられますね。
すごい。
今日の演奏ゲストは…チャイコフスキー・コンクールとショパン・コンクール2つの世界的なコンクールに入賞した日本を代表するピアニストです。
ショパンの作品を演奏する時のポイントというか意識されてる事ってどんなところですか?感じるのは…きれいな呼吸とかほんとに歩く時にただダラダラっていうふうじゃなくてこうスッスッと美しい歩き方ってできそうで大変難しいじゃないですか。
そういうなんかほんとに…なるほどね。
なんだか哲人みたいですね。
歩く事とか息する事をちゃんとしないといけないっていう。
小山さんこの曲を演奏する時に一番大切にしているポイントというのはどういう点でしょう?だからなんかこう流れる風とかそういう空気ですね。
そういう感じはなんかいつも想像しながら演奏します。
ピアノから吹く風を是非お楽しみ下さい。
小山実稚恵さんの演奏でショパン作曲「幻想即興曲」です。
(拍手)すごいですね。
先ほどフォンタナのお話を聞いたので改めて「幻想即興曲」を聴くともう最初のちょっと陰りのある部分はほんとに答えの出せないモヤモヤ感なのかなとかすごいきれいな中間部は遠い地からショパンの事を思っているのかななんてちょっとフォンタナの気持ちと重ねて聴いてしまってほんとに多くの方から愛されているのがすごく納得のすてきな曲だなって思いました。
ピアノから風吹いてました?ビュンビュン吹いてましたね。
すばらしい演奏でしたね。
はい本当に。
風のようなんですけど冒頭部分結構ちょっとガツッときましたね。
突風でしたよね。
すごいなあ。
今日はショパンの特集でしたけれどもフォンタナ様様。
そうですね。
フォンタナのような普通の人の人生のなんかすばらしさみたいなのもあると思うんですよね。
こうして私たちが聴く事もなかったかもしれないって考えるともう何という幻。
ほんとですね。
でもこうしてあれこれ話を聞いてしまうとフォンタナが作った曲聴きたくなりますよね。
フォンタナに興味を持って…。
最近CDも出てるって伺ったので聴いてみようかな。
皆さんの所にもショパンの風は届きましたか?「ららら♪クラシック」今日はこの辺で…。
2015/12/10(木) 10:25〜10:55
NHKEテレ1大阪
ららら♪クラシック「偉大なる“影”の存在〜ショパンの“幻想即興曲”〜」[字][再]
世界中で愛される「幻想即興曲」。この曲を、実はショパンは気に入っていませんでした。死後、この作品を出版し、広めていった「影」の存在に迫ります。
詳細情報
番組内容
ショパンの「幻想即興曲」。番組に届いたリクエストで一番人気のこの曲は、世界中で愛されるショパンの名曲のひとつ。しかし、ショパン自身は気に入っていなかったのです。そのためこの曲は、ショパンの死後にようやく出版され世界中に広まったのです。それを仕掛けたのは誰なのか?ショパンが信頼し、全てを託した偉大なる「影」の存在に迫ります。【ゲスト】松井咲子(元AKB48メンバー)【演奏】小山実稚恵(ピアノ)
出演者
【ゲスト】松井咲子,ピアニスト…小山実稚恵,【司会】石田衣良,加羽沢美濃,【語り】服部伴蔵門
ジャンル :
音楽 – クラシック・オペラ
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
劇場/公演 – ダンス・バレエ
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