趣味どきっ! 開け!世界遺産 第2回「東寺・平等院・熊野古道」 2015.12.10


は保護者、先生も、学ばなくてはいけないということにつながります。
子どもとしっかりルールについて話し合うことが重要だと思います。
中谷日出解説委員でした。
人類が後世に語り継ぐべき貴重な宝世界遺産。
日本では現在19か所が世界遺産に登録されています。
豊かな自然や文化そして歴史を物語る貴重な証言者たち。
その建造物や風景を旅してみると日本の歴史を読み解く事ができます。
世界遺産は日本史のタイムカプセル。
世界遺産を巡る旅は日本の歴史の再発見の旅。
さあ出かけましょう!旅の案内人はなぜかこの人。
本村さん実は世界遺産検定マイスターに認定されているんですよ。
ワクワク!ドキドキ!世界遺産へレッツゴー!今回は平安時代の信仰の旅です。
訪ねる世界遺産は3つ。
まずは京都駅から程近い東寺。
大きな五重塔で有名ですね。
そして京都・宇治市にある平等院鳳凰堂。
平成の修理を終え創建当初の姿がよみがえりました。
更に紀伊山地の聖地熊野三山へ至る熊野古道。
平安時代多くの天皇や貴族たちが熊野に詣でました。
この3つの世界遺産はそれぞれ特徴的な信仰と結び付き日本人の宗教観のあり方を教えてくれます。
世界遺産検定マイスターの本村健太郎です。
(3人)よろしくお願いします。
さあ今日は第2回ですね。
前回に引き続き高橋真麻さんビビる大木さん。
前回いかがでしたか?いや〜本当に勉強になったので今回はかなり期待しています。
ありがとうございます!頑張ります。
見てから行くとなおさら楽しめますんで。
勉強します。
さて!今日の舞台はですねこちら京都です。
おお〜!そして時代はここ平安時代なんです。
平安時代の始まりの辺りですね。
桓武天皇が奈良から京都に都をうつし平安京がつくられました。
「平安京」というのは「平らかで安らかな京になってほしい」…という願いが込められているんですね。
唐の都長安にならって碁盤の目状につくられた左右対称の都市ですね。
ちょうどその上に今京都の町があるという事なんですね。
ここが京都駅です。
今でいうとね。
でこの南の玄関の所に羅城門。
この羅城門の両脇に東寺と西寺。
これらは都を守るためのお寺なんですね。
この西寺の方は残念ながら焼失してしまって今は残っていませんがこの東寺は1,200年前の姿を現在に伝え世界遺産になりました。
西もあったんですね。
知らなかった。
さあ東寺というのは「お大師様の寺」と呼ばれています。
お大師様は空海じゃないですか。
正解です。
弘法大師空海ですね。
では…日本史タイムカプセル!京都駅から南西におよそ1キロ。
日本最大の五重塔が見えてきます。
東寺です。
正式名称は教王護国寺。
東寺は今も多くの人々に親しまれています。
弘法大師空海は平安建都から30年後東寺を天皇から与えられ中国で学んだ密教を伝えました。
密教はこの世にはびこるたたりや疫病などを加持祈祷を使って超人的な仏のパワーで鎮め現世に利益をもたらすというそれまでの仏教とは違う新たな教えでした。
特に密教特有の仏像が不動明王です。
平安の人々は初めて見る憤怒の形相で神秘的な呪力を発揮するという明王像の姿を驚きをもって迎え入れました。
空海が密教の教えを視覚的に表そうとしたのが…大日如来を中心とする密教の教えに従って21体の仏像が配置されています。
太陽を象徴する大日如来。
全ての神々を従え宇宙の真理そのものを表す仏です。
大日如来は菩薩に姿を変え人々と共に修行し悟りの世界に導きます。
更に明王となり人々の煩悩と闘い叱咤激励します。
それぞれの仏から更に4体に分身し仏の力をより増幅させあまねく衆生に及ぼすのです。
超人的な力を持つと考えられた密教は新時代の仏教として広まっていきました。
はいというわけなんですね。
でも今までのお顔ってみんな穏やかなものが多かったから初めて見た時は皆さんビックリしたでしょうね。
そうですよそのとおり。
特に不動明王は人間と同じように顔が1つに腕が2本です。
明王の中には顔の数腕の数が人間よりも多いものがありますよね。
ああいうのを多面多臂の仏像といいます。
それだけ超人的な働きをするという意味が込められているんですね。
さてその密教の話でしたね。
密教がなぜ当時日本の人に受け入れられたのか。
密教の特徴の一つにこちら即身成仏。
これは人間はこの世で…現世で成仏できるという考え方なんです。
あの世じゃない。
あの世じゃなくて現世で成仏できるんだ人間はという考えなんです。
でこの考えからいわゆる密教は現世利益をかなえてくれると。
現世利益?現世…この世でご利益があるという考えにつながるんですね。
ですからこの現世利益があるというところがこの密教が天皇や貴族に圧倒的な支持を受ける理由になったんですね。
はぁ〜!時は進んで平安時代中期新たな信仰が貴族の間に広まりました。
舞台となったのは宇治・平等院。
さあしかし平安時代も中期になりますと都にとんでもないうわさがはびこり始めました。
(大木高橋)うわさ?末法思想。
末法思想?いや〜末法…。
この世の終わりというか世界が滅亡するという考え。
ノストラダムスの大予言みたいな感じ…。
そんな感じなんですよ!どうしたらいい?え〜どうしよう?さあ!日本史タイムカプセル!京都市内から電車でおよそ30分の宇治市。
宇治川のそばに平等院があります。
およそ1,000年前に時の関白藤原頼通によって建立されました。
池の奥にある鳳凰堂は文字どおり鳳凰が羽を左右に広げた形で東を向いて建てられています。
参拝する人は池の対岸から西に向かって手を合わせる事になります。
鳳凰堂は極楽浄土手前の池は海を表しています。
当時極楽浄土は西の海に浮かぶ島だと考えられていたのです。
参拝者は池の対岸から真西に向かって堂内中央に安置された阿弥陀如来を拝みます。
自分が死んだあと慈悲深い阿弥陀如来が西方にある極楽浄土に導いてくれると信じられていました。
阿弥陀如来のまわりを囲むのは…浄土世界に住むという天人の姿は雲に乗って楽器を奏でたり舞ったりしてこの世を離れる不安や恐怖をかき消してくれました。
堂内には極楽浄土から死者を迎えにくる仏たちの様子が極彩色で鮮やかに描かれていました。
死後阿弥陀如来に導かれ極楽浄土へ行く事を願い祈る浄土信仰。
その背景には末法思想がありました。
末法思想は釈の入滅後時がたつと仏教の力が衰えるという考え方。
西暦1052年から末法の世に入るとされていました。
当時は大地震や疫病飢饉などが続き「平安」どころか「不安」の時代。
「現世での救いがない」とおびえた貴族たちはあの世のすばらしさを具体的にイメージして旅立つ事が極楽浄土への近道だと考えます。
平等院鳳凰堂は末法の世から逃れ死後の世界に救いを求めた貴族たちの願いが込められていたのです。
この世が終わった時にあの世に行く時のイメージトレーニングをするという事なんですか。
そういう事だったんですね。
いや〜…。
相当おびえてんですね当時の人って。
それこそほんとに地球が滅亡するんじゃないかと。
そういう考えからだったんですね。
それにしても復元されていた像にしても壁画にしてもきれいでしたね。
色使いも鮮やかで。
あの時代にあんなに色彩豊かな。
そうだったんですね。
当然あそこは当時庶民は入れないわけですよね?当時はまだ仏教というのは庶民には浸透していなくてほんとに平等院鳳凰堂…ああいうものは貴族だけのものだったんですね。
…しか見る事ができない。
そういう事ですね。
平安時代にはもう一つの信仰が流行しました。
舞台となったのは紀伊半島の山の中。
どんな信仰だったのでしょうか。
ではいきなりですが皆さんクイズです!日本が誇る当時からあるパワースポット一体どこでしょうか?その当時?平安時代ですよね?平安時代です。
今だと伊勢神宮とか出雲大社とか…。
はいはいはい…近いかも近いかも近いかも!近い?さあいこう!
(うなり声)ハリウッド版のゴジラ。
ゴジラじゃないゴジラじゃない。
違います?ゴジラじゃない。
パワースポットがこれって何?こんなパワースポットないですよね。
熊?ん〜!熊野古道。
正解です!あの和歌山の?よく出ました正解です!確かにパワースポットで結構女子アナとか行ってましたね。
ちょっと病んだ時に…。
実際行ったの?私は行ってないんですけど悩みを抱えた女子アナ熊野古道に行くってのがはやった時期あったんですよ。
ハハハッ大丈夫かな〜。
正解です。
熊野古道ね。
古来神が宿ると言われる熊野です。
当時から。
当時からです。
この時からパワースポットなんだ。
そうなんですよ。
天皇や貴族はこの熊野に一体どんなパワーを求めたんでしょうか?
(大木高橋)「どんなパワー」?では日本史…。
日本史タイムカプセル!いやそれ僕のセリフ!トレッキング愛好者はもちろんパワースポットとしても注目される熊野古道。
2004年に世界遺産に登録されました。
奈良三重和歌山三県にまたがる紀伊半島の聖地熊野三山をつなぐ参詣の道です。
聖地熊野三山とは自然を神として古来から信仰されてきた三つの社です。
熊野本宮大社の御神体はこの川。
紀伊山地を流れる熊野川です。
熊野速玉大社のもともとの始まりは熊野の神が最初に降り立ったとされるゴトビキ岩です。
巨大な岩が生命力の象徴として祭られています。
熊野那智大社は那智山の中腹に鎮座する高さ133メートルの那智大瀧が御神体。
熊野三山はまさに自然崇拝の聖地です。
こうした自然信仰が息づいた熊野は死後の世界である黄泉の国と通じていると信じられていました。
熊野にお参りして一度黄泉の国に触れ穢れをそぎ落として現世に戻れば再び生まれ変われるよみがえる事ができると信じられたのです。
末法思想が広がる中天皇や貴族たちは京の都からおよそ1か月かけて歩く熊野詣をこぞって始めます。
これは天皇や上皇の熊野詣の記録。
後白河上皇は絶大な権力を持ちながらも不安に駆られていたのでしょうか。
33回も足を運んだとか。
熊野古道はつらい現実から生まれ変わる事ができる信仰の道なのです。
熊野は黄泉の国でしたね。
熊野つまり黄泉の国から帰る。
「よみ」「がえる」と。
「よみがえる」という言葉の語源がこの熊野「黄泉の国から帰る」。
つまり再生する復活するという再生の場所だったんですね。
じゃあ行くだけじゃ駄目で無事に帰ってくる事に意味があるっていう事ですか。
今でこそトレッキングコースとして人気ですけども1,000年前の熊野古道長く険しい修行の道だったわけですね。
そこに行って帰ってくるだけで大変な修行になったわけですね。
道の整備なんてないですもんね当然。
ものすごく奥深い山ですからね。
何とかして救われたいという思いだったんですね。
ほんとに不安だったんですねみんなね。
ねえ。
よみがえりの聖地熊野にはもう一つの特徴があります。
日本古来の神と仏教が結び付き神と仏を一体のものとして祭る信仰のあり方です。
神を祭る熊野本宮大社。
その祭神には仏教の極楽浄土を願う阿弥陀如来の信仰が結び付いていきます。
熊野速玉大社の祭神は苦しみや病気を癒やす薬師如来。
熊野那智大社の御神体那智大瀧はあらゆる者に救いを差し伸べる千手観音とも見なされています。
つらい現実から現世で救われたいと願い参詣する熊野古道。
熊野は神と仏この世とあの世生と死が一つになった場所でした。
そして神仏習合という日本人の宗教観を決定づける特徴も備えていたのです。
え〜っと…。
ん?ん〜っと…。
どうしました?あっいたいた!先生!ちょっと…。
あ〜!あら先生。
先生。
どうも。
前回に引き続き世界遺産検定を主催する世界遺産アカデミーの目黒正武主任研究員に解説して頂きます。
テーマは「なぜ熊野古道は文化遺産なのか?」。
世界遺産には登録名…名前があるんです。
この熊野古道は「紀伊山地の霊場と参詣道」という名前が付いた世界遺産の一部なんです。
ここで特徴的なのは参詣「道」。
道の世界遺産。
道が世界遺産になっている。
この道というのは俗世界と信仰の世界を分ける結界みたいなものですね。
基本的には自然の中を歩ける。
歩く事が意味がある。
このように人がつくったもの…道ですねこの場合は。
…と周りは厳しい自然。
その厳しい自然がつくったものが一緒になって新しい景色が出来上がる。
その景色に文化的価値があるっていうのが今の世界遺産の流れなんですね。
文化的景観。
つまりこの熊野古道は一見自然の場所にありますけども実は自然遺産ではなく文化遺産という事ですね。
その形を登録する事によって…そして先生熊野にはこの神仏習合という。
すごい事ですよね!神様と仏様が一緒になるっていうこの考えは。
この神仏習合っていうキーワードも世界遺産検定の勉強をすると必ず何回も出てくるキーワードですね。
一回受け入れて自分なりに解釈して新しいものが出来上がっていくっていうのは非常に日本的だと思います。
というわけで今日は京都それから熊野のお勉強をしましたね。
熊野にトレッキングがてら再生に行くっていうのはどうですかね?いや〜再生したいです〜!えっ何かあったの?いやいや…何か変えないと。
新しく真っ白な気持ちでもう一回ゼロから始めたいでしょいろんな事。
何もないのに行ったら再生も何もないじゃない。
そうなんですか〜?何かあってからの方がいいよ。
皆さん今日は分かりましたか?
(大木高橋)は〜い!では「開け!世界遺産日本史タイムカプセルの旅」また次回お会いしましょう!さよなら!
(拍手)弘法大師空海が示した密教の世界観。
現世で成仏できるという即身成仏の思想。
末法思想から生まれた死生観。
そして極楽浄土への憧れ。
現世での再生を願った熊野詣。
そして神と仏を合わせて考える神仏習合。
日本人は長い歴史の中で多様な信仰の形を育んできました。
世界遺産はそうした日本人の信仰のあり方を私たちに教えてくれます。

(テーマ音楽)2015/12/10(木) 10:15〜10:40
NHK総合1・神戸
趣味どきっ! 開け!世界遺産 第2回「東寺・平等院・熊野古道」[解][字]

日本の世界遺産から歴史をひもとくシリーズの2回目は「神も仏も。信じるものは救われる!」がテーマ。京都東寺の立体曼荼羅、平等院の極楽浄土、熊野三山へレッツゴー!

詳細情報
番組内容
今回は平安時代の信仰の旅。訪ねる世界遺産は三つ。一つ目は五重塔で有名な京都の東寺。弘法大師・空海が伝えた「密教」の寺には、超人的なパワーがみなぎる。不動明王の迫力とは?。二つ目は宇治の平等院鳳凰堂。人々の極楽浄土への憧れから生まれた優美な世界に迫る。三つ目は神仏集合・自然崇拝の聖地・熊野三山へ至る「熊野古道」。これらの世界遺産と信仰との結びつきから、私たち日本人の宗教観のあり方を知ることができる。
出演者
【出演】本村健太郎,高橋真麻,ビビる大木,世界遺産アカデミー主任研究員…目黒正武,【語り】河野多紀

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
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