常に絶やさない女王様スマイルは世を忍ぶ仮の姿
実はとんでもない人間嫌いだった嘉門ヒロはゲイであることを母に明かせない陽村超治に頼まれ理想の…もとい偽装の夫婦を演じるはめになってしまったが1年前に偽装結婚を解消しお互いパートナーができたら再会しようという約束も果たせこれで心置きなく親友として生きて行ける…と思ったのに
(陽村超治)なぁヒロ。
もう一度あの夜に戻れないかな?ヒロと離れたくないって思うんだよ。
お前のこと身も心も愛せたらいいのにって思っちゃうんだよ。
お前はどう?
(嘉門ヒロ)分かった。
ホントか?だったらその前に保君に電話して。
えっ?もしホントにやり直すならお互いパートナーとちゃんと別れるべきじゃないかな。
あなたが保君に電話するなら私もしおりさんと由羽ちゃんに言う。
今超治と一緒だって。
じゃあもう遅刻だから。
あ…なぁなぁヒロヒロ。
あのさあの…。
もし保君に話したら考えてくれんのか?昨日のこと。
私は…。
超治を失いたくないの。
えっ?もし26年前みたいに超治が私を愛せないって分かったら今度はもう親友じゃいられない気がするの。
また私を傷つけたってあんたが前より何倍も落ち込むだろうし。
だから親友でいるのが一番いいんだよ。
私達。
じゃあ。
あ〜やっぱ何か離れたくないなぁ。
何か言った?えっ?別に何も。
アディオス。
何でスペイン語なんだよ。
《ヤッベェ》ただいま。
(水森しおり)おかえりなさい。
ごはんもうすぐ出来るから。
手洗って来るね。
どうだった?昨日。
え?研修大変だったんでしょ?疲れてるんじゃないかと思って。
あぁ全然大丈夫。
見抜かれてる気がするのはなぜ?えっ?何を見抜かれてるの?えっ?あっあぁ…。
あの〜ホントは疲れてるの見抜かれてるのかなって。
あぁ何でバレちゃってるのかな〜と思って。
《いかんまた心の声が》
(物音)あっ!何やってるの由羽!あっ私が。
ごめんなさい。
(水森由羽)ごめんなさい。
この子早く大きくなってヒロちゃんみたいになりたいってこの頃牛乳ばっかり飲んでるのよ。
ヒロちゃん。
由羽のこと好き?好きよ。
どのぐらい?え?あぁうん…。
家族みたいに大事に思ってる。
ふ〜ん。
《え〜!》どうかした?え?アハ…うん…。
別に。
やろうか。
え?何を?結婚式由羽ちゃんと3人で。
いいの?うんもちろん超治や保君も招待して。
ありがとうよかったね由羽。
うん!
(吉本)相手はどんな方なんですか?いつも由羽ちゃんと図書館に来る水森さんです。
(村上)じょ…女性ですか?ささやかなパーティーを開きたいので皆さんにも来ていただけたらと思って。
あぁ…。
(須藤)だったらうちの図書館どうでしょう?え?使ってないスペースも結構ありますし有効に活用できないかなって考えてたんですちょうど。
大丈夫ですか?上のほうは。
頑張って許可もらいます。
(真理)何か館長頼りがいのある上司になりましたよね。
あぁ…まぁ正直都庁から出向して来た時は嫌でたまらなかったんですけど今じゃこの図書館は私にとって生きがいそのものですから。
気付くの遅いけどねジジイ。
え?すいません。
(真理)心のままに生きるって決めたんですもんね嘉門さん。
ええ。
すいません。
こんにちは。
(郷田八重子)あ〜らヒロちゃんどうしたの?うんあのみんなに報告があって叔母さんは?それがさ2〜3日前から寝込んじゃってさ。
何か病気?違うのよ〜。
うちの子達とさお馬さんごっこしてたらさ腰痛めちゃって。
大丈夫ですか?叔母さん。
(郷田照乃)少し楽になったけどこの子達がこうしてず〜っとへばりついてるから眠れやしなくて。
ほ〜らあんた達あっち行ってごはん食べて来なさいよほら。
ねぇはい。
あっママさずっとこの体勢でいたからつらいんじゃない?ねぇちょっと起きない?ああうん。
そうだそのほうがいいねほらちょっといい?大丈夫?痛くない?痛たた…。
あっそうだ。
痛たた…!ごめんねやだちょっとやだ〜!大丈夫?痛くない?
(照乃)痛い痛い…。
(八重子)何か飲む?飲む?水でいいからちょっと…。
静かに喋ってくれないかね?ちょっと静かに。
あ〜痛い…。
(八重子)はいママお水。
八重ちゃん変わったね。
え?何か頼りになるお母さんって感じ。
いや私はさもう再婚しないって決めたからさこういうふうに家族のためにこれから頑張ろうかなと思って。
(郷田天人)ホントはいくら婚活してもろくな相手がいなかっただけだろ。
うるさいわね!私はね結婚っていう制度自体に疑問を持っているの。
今やね整備不良となって操作不能となったシステムみたいな感じ?何を言ってるんだ?お前は。
あのさ評論家みたいなこと言ってんじゃなくてさ仕事はどうすんだよお前。
実はさちょっと今考えてることがあってさ。
何?八重ちゃん。
2人とも笑わないでよ。
おっ珍しいねマジだね。
絶対笑うな2人とも。
笑わないから。
早く言えよ。
私…介護士になろうかなと思って。
(照乃:天人)ハハハ…!ハハハ…!ちょっとちょっと…。
ちょっとママまで笑わなくたっていいじゃないのよ〜。
だってあんまりあんたと懸け離れてるから。
でも本気なんだね八重ちゃん。
ママの世話してたらさいろいろ困ってる人達を少しでも元気にしたいな〜なんて思っちゃったのなぜか。
(天人)確かにあれだよ年取って来るとさ耳が遠くなるっていうからねお前のそのバカデカい声はさ役に立つかもよ。
そんな言い方しなくても…。
八重ちゃんのいいところはどんな時にもひるまないってことじゃないかな。
じゃあさ欠点は?そりゃ山ほどあるよ。
まずさデリカシーを全く…。
シャラップ!八重ちゃんの欠点は私と一緒で自分以外の人を愛する量が足りなかったってことじゃないかな?でも見方を変えたら八重ちゃんのここにはまだいっぱい愛が詰まってるってことだし。
でもさ何か介護の資格取るのって結構大変みたいなんだよね。
それに私すぐ勉強すると眠くなっちゃうからさ。
じゃあうちの図書館に来て勉強すれば?寝てたらたたき起こしてあげるから。
そうしようかな〜ヒロちゃん絶対起こしてよ?起こすよ。
(八重子)よかった〜!よかったね叔母さん。
八重ちゃんが介護士になってくれたら老後の心配もないね。
そんなことより用件は何なんだよヒロ。
あぁあの…実は今度うちの図書館でしおりさんと由羽ちゃんと家族結婚式をするのでぜひ出てもらえないかなと思って。
あ〜出る出る!ねぇお兄ちゃん!うん行く行く。
ありがとう。
本当にそれでいいんだね?ヒロ。
えっ?私は相手がしおりさんだからとかそういうことを言ってるんじゃないよ。
超治って男のことがここにこれっぽっちも残ってないんだろうね?って聞いてんだよ。
の…残ってません。
あっ!何やってんの?ヒロちゃん。
もしかして二日酔い?
(照乃)いくらごまかしても自分の心にふたをすることはできないよ。
(弟子丸)どうしたの?ボ〜っとして。
え?あ〜いやあの…。
仕事どうしようかな〜と思って。
(弟子丸)焦らずじっくり探せば?たくさんの子供達を幸せにしたいっていう超治さんの気持ちは誰にも負けないんだから。
ありがとう。
(ベル)出る。
(ベル)
(ベル)はいもしもし。
もしもし保君?ヒロです。
(弟子丸)こんばんはヒロさん。
超治さんに代わりましょうか?あ…うん大丈夫。
代わらなくていいって。
そう。
はい分かりました。
おめでとうございますぜひ伺います。
失礼します。
(通話を切る音)何だって?ヒロ。
しおりさんと由羽ちゃんと3人で結婚式やるから来てくれって。
そう。
何かあんまり嬉しそうじゃないけど?そんなことないよ。
やった〜!う〜!
(チャイム)あ〜大丈夫俺出るから。
あっ。
(陽村華苗)こんばんは。
どうしたの?母さん。
(華苗)付き合ってる人がいるっていうから気になって会いに来ちゃった。
えっ?いるんでしょ?今。
あ…うん。
あっちょちょ…ちょちょ…あの…あのさこの前ヒロと富山に行ったことは内緒で。
バキュ〜ン。
あっ。
フ〜。
え?OK牧場。
(華苗)えっと何ていうか…。
はい。
超治の母です。
母さんそれもう3回目だから。
分かってるわよ。
えっと何ていうか…。
はい。
あぁ…やっぱり緊張するからカメラ回していい?え?何それ。
あれからゲイの人達のことをいろいろ勉強しようと思って話を聞いたんだけどそしたら私達の周りに同じ悩みを持ってる人がい〜っぱいいることが分かったのよ。
だからもっともっと話を聞いてネットで流そうと思ってるの。
素晴らしいと思いますおかあさん。
じゃあ行くわよ。
こないだまであんなに元気なかったのにホント立ち直るの早いんだから。
あんたと同じO型だからね。
じゃあレディーアクション!
(華苗)ほら何か喋って。
そんなこと言われても…何か質問してくんないと。
(華苗)えっとじゃあ保君は夢とかあるの?僕ですか?えっと…。
笑われるかもしれないんですけど正義の味方っていうかこの世界を少しでも良くできるような人間になりたくて。
尊敬する人とかいる?今はルキウス・クィンクティウス・キンキナトゥスです。
ルキウス・ク…ク…?ルキウス・クィンクティウス・キンキナトゥス。
古代ローマの政治家で普段は農業やってるのに国が危機になった時だけローマにやって来て平和が訪れたらまた田舎に帰って行った伝説の人物なんです。
へぇ〜。
あっそれとこの本を薦めてくれた超治さんの親友の嘉門ヒロさんも負けないくらい尊敬しています。
あっ私も大好きヒロさんのこと。
この前超治と富山に来て怒ってくれたのよ。
「早くいつもの陽村華苗に戻ったらどうなのよ」って。
え?ちょっと母さん。
(華苗)あ〜!ごめん。
ちょ…ちょっとトイレに行きたくなって。
(ドアが閉まる音)何で言わなかったの?ヒロさんと富山に行ったって。
いや別に隠すつもりはなかったんだよだけどほら余計な心配かけちゃいけないかな〜と思って。
だったら言わせてもらうけど。
何?富山から帰ってから超治さんの料理あんまりおいしくないよ。
えっ?
(須藤)式が始まりましたら由羽ちゃんと嘉門さんでこの階段を下りて来て水森さんと合流して参列した皆さんの前に行ったらどうかと思うんです。
分かりました。
館長さんありがとうございます。
由羽が大好きな図書館で結婚式させていただけるようご尽力いただいたみたいで。
(須藤)いえいえ。
(須藤)だってお2人が出会ったのはこの図書館なんですから。
今じゃたくさんの人が集まる場所になったんですよ。
嘉門さんのおかげで。
いや…。
(すみれ)おめでとうございます。
由羽ちゃんと3人で結婚式やるんですってね。
ありがとうございます。
あのよかったら原先生も来ていただけませんか?もちろんです由羽ちゃん久しぶりに一緒に本読まない?
(八重子)ヒロちゃん。
ヒロちゃ〜んヒロちゃん。
どう?介護士の勉強進んでる?う〜んこの子達の世話しながらだからさ忙しくてさ化粧する暇もなくてごめんねこんな顔で。
ううん今のほうがステキだよ八重ちゃん。
あれ?あっ靴変わった!
(八重子)へっへっへ…かわいいでしょ?もうさいい年してさ背伸びしても仕方ないからさ。
それよりさ気付いてる?他にまだ何か変わった所ある?違うわよ。
さっきから超治さんがヒロちゃんのことずっとジロジロ見てるんですけど〜。
何やってんの?あ…ちょっと業務連絡があってさ。
何それ。
母さんが来てお前と富山に行ったこと保君にバラしちゃったんだよ。
えっ。
それでいずれしおりさんにも伝わるんじゃないかなと思って。
分かった。
あとそれともう一つ業務連絡がありますよ。
何?俺さフリースクールつくろうと思って。
フリースクール?そう。
いじめや病気で不登校になった子供達に図書館で本読むみたいに自分のペースで好きなことを学べる場所をつくりたいな〜と思ってさ。
他の子達とうまく付き合えなくて「あれ?自分って普通じゃないのかな〜」って不安になってる子供達に「みんなと違って超ラッキー!」って教えてやりたいからさ。
どう思う?とってもいいと思う超治だからできることだと思うし。
だろ?そこにヒロっていうスーパー教師がいてくれたらもう完璧なんだけどな〜。
勉強から運動から音楽まで教えられるし。
私もそうできた…。
ん?何やってんだよ?別に。
もしかしてあれか。
心の声出るの我慢してるとか?じゃあじゃあ…何だよ?これ。
あの…昨日転んで前歯折ったから…。
ウソつけ!思ってることがあるんだったら隠さず言やぁいいだろ?こんにちは超治さん。
あ…こんにちは。
何の話?え?結婚式に出てくれるように頼んでたの。
そう来ていただけますか?ええもちろんですよ。
親友ですから俺達なぁ?ヒロ。
あぁ…うん。
ありがとうございます。
ヒロ。
しおりさんと由羽ちゃんと3人で幸せになれよ。
ありがとう。
じゃあ。
あた…!ちょっ…何だよ?「あた…」って何だよ?「あた…」ってえっ?言いたいことあるなら言えばいいだろう!あ…。
あた…。
し…しは…。
やっぱり…。
超治と…。
離れたくない…。
ハァ…。
ごめんなさい…しおりさん。
このままだと私…。
また心の声を…隠して生きて行ってしまいそうだから…。
ハァ…。
あなたと…結婚できません。
ごめんなさい。
(由羽)ウソだよね?ヒロちゃん。
由羽ちゃん…。
ウソって言って。
ごめんね由羽ちゃん。
パパになってくれるって言ったのに。
ごめんなさい。
ヒロちゃんなんか大嫌い!あっ待って待って由羽ちゃん。
待って。
離して!自分が…自分が身勝手だって分かってる。
こんなことしちゃいけないっていうのも分かってるの。
でも…。
私やっぱり自分に正直に生きて行きたい。
超治のことが心の中にあるのにママと一緒にいちゃいけないと思うの。
分かんない!何言ってるか!由羽ちゃん由羽ちゃん。
(泣き声)ごめんね。
(泣き声)悪いのはね僕なんだ。
(泣き声)「やっぱり離れたくない」ってヒロに言っちゃったから。
だけどヒロと一緒に生きて行くのを諦めるのはやっぱり嫌なんだ。
ゲイなのに何言ってんだ?って感じだけどでもヒロのことを身も心も愛するのを諦めるのは嫌なんだ。
(由羽の泣き声)ゆ…由羽ちゃん由羽ちゃん。
私もたくさんの人を笑顔にしたいって思う超治のそばで応援して行きたいの。
たくさんの人を幸せにしたいって2人で力を合わせてそうやって生きて行きたいの。
由羽は…由羽は幸せじゃない!!
(由羽の泣き声)超治どうしよう…。
ハァ…。
結局私達の言ってることなんてきれい事なのかな?偽善なのかな?意味なんか…ないのかな?
(由羽の泣き声)私は!ホントにみんなに幸せになってほしいのに!!
(由羽の泣き声)
(照乃)・バカだねぇ・
(由羽の泣き声)
(由羽の泣き声)自分が幸せじゃないのにひとを幸せにできるわけないだろ。
だからあの子にどんなに恨まれてもまずあんたが先に幸せになるしかないんだよヒロ。
(照乃)由羽ちゃん。
(照乃)泣きたいだけ泣きな。
でもねあんたにヒロの生き方を決めることはできないよ。
(照乃)由羽ちゃんには由羽ちゃんの生き方があるようにヒロにはヒロだけの生き方があるんだから。
(由羽の泣き声)
(指を鳴らす音)
(由羽の泣き声)
(由羽の泣き声)由羽ちゃんごめん由羽ちゃんごめんあのさあの…おじさんもさヒロちゃんの家族だからさちょっとヒロちゃんを応援してあげたいんだよな。
(八重子)由羽ちゃん私からもお願い。
私とお兄ちゃんねヒロちゃんに子供の頃からい〜っぱい助けてもらったの!鬼ごっこで私が鬼だとわざと捕まって鬼代わってくれたし。
あとなあとなあの…うちの親がすごいケンカしてたら俺達に聞かせないように大きな音楽かけて一緒に踊ってくれたりしてな。
私がね「おっぱいが大っきくなる呪文があるよ」って言ったらね一緒に100回も唱えてくれたの!「バストよバスト大きくな〜れ」って。
やめろあのさそれ全然知らないそんなことやってたの?残念ながら私とヒロちゃんもあんまり効果なかったけどね。
それホントにそう…いやそんなことどうでもいいんだよ!あのさ子供の前で「おっぱいおっぱい」とか言うなよバカ。
(八重子)おっぱいじゃないだって…。
(弟子丸)由羽ちゃん僕もフラれるからさ。
ふざけんなこの野郎って感じだけどさ。
それでも超治さんとヒロさんのこと応援したいんだ。
だってこれからやり直そうと思ってもまた失敗するかもしれないのにそれでもチャレンジしようとしてる…。
それに僕はこの2人のおかげで世界を平和にしたいと大きなことを言いながらも街で困ってる人を助けるみたいな小さなことを続けてもいいんだっていう勇気を持てたからさ。
あっ由羽ちゃんあの私からもお願いです。
何とか許してもらえませんかね?そうよここに来ればいつでも私達に会えるじゃない。
(小俣)私いつでも由羽ちゃんのために本読みますから。
(郷田愛:郷田真)ん。
(泣き声)
(華苗)あ〜。
み〜んないい顔してるわね〜。
いやいや…ちょっと母さん何やってんだよ?
(華苗)あんまり感動的な光景だからネットに流そうかと思って。
(華苗)由羽ちゃん私ねいい年して思うのよ。
自分は何て子供なんだろうって。
本当の大人になるためには寿命が何年あっても足りないって。
だから人生なんてヒロさんと超治みたいに自分がやるべきことを毎日必死になってやり続けるしかないの。
失敗したり後悔することばっかりだけど。
ミルクはこぼれてもいちいち嘆いてる暇はないの。
どうせミルクはこぼれるんだから。
でもねあなたにはこれだけの人がいるってことだけは忘れないでね。
ここにいるのはみ〜んな家族同然の人なんだから。
(指を鳴らす音)サプラ〜イズ。
ウソ?どこ行ったの?ヒロちゃん右のポケットを見てみて。
(八重子)え〜?どうやったの?お兄ちゃん!ねぇあれホントに本物?妹よいろいろあるからあまり見るな。
早く大人になりたいんじゃないの?由羽!ヒロちゃんは由羽のこと好き?好きだよ。
どのぐらい?このくらい。
(由羽の泣き声)
(由羽の泣き声)じゃあ行くね。
ごめん。
ゲイなのにまたヒロと付き合うなんて自分でやっちゃいけないことをやろうとしてるってことは分かってるんだけど。
全然大丈夫正義の味方なら超治さんの幸せのために身を引くのが一番だと思うし。
それにヒロさんと超治さんなら奇跡起こせるって。
ありがとう。
全然大丈夫正義の味方なら超治さんの幸せのために身を引くのが一番だと思うし。
もしかして酔っぱらってる?うん…。
俺実はフラれるの初めてなんだよね。
結構キツいもんだねフフっ。
ごめん。
全然大丈夫正義の味方なら超治さんの幸せのために身を引くのが一番だと思うし。
それ3回目だから。
(弟子丸)僕も新しいパートナー見つけるから。
より戻そうと思っても無駄だからね。
(ドアが閉まる音)いろいろとごめんなさい。
もう謝らなくていいから。
それよりもし超治さんがトライしてダメだった時どうするの?また孤独な人間嫌いに戻ったりしないよね?どうしてそんなに優しいの?あなたは。
最初に会った時言ったでしょ。
「告白するって決めた瞬間フラれるのを覚悟してる」って。
でも最後に一つだけ言わせて。
何?ふざけんなバカ!あんたなんか超治とうまく行くわけないじゃない!別れちまえ!別れちまえ!絶対私と付き合ったほうがよかったって後悔するに決まってるんだから!!あ〜何でこんな面倒で身勝手な女を好きになっちゃったんだろう私。
すっきりした。
心のままに生きるのってつらいわよ。
あの…コーヒー飲む?あ…うんいただきます。
あ…もしかしてこれフリースクール関係の?そうそうNPO法人にするから認可とかさあとスタッフだったり場所探したりとかもうやることだらけで。
私にできることがあったら言って何でもやるから。
そう言うと思った!ハハハ…。
取りあえずあの…名前考えてくんないかな。
自分でも考えたんだけどさ…なかなかいいの思い付かなくて。
ねぇ。
ん?「ひとりぼっち」っていうのはどう?「ひとりぼっち」?さすがにそれはまずいんじゃないか?だってさここに来る子供達はみんな独りぼっちなんでしょ?だったら教えてあげたらいいじゃない。
独りぼっちが集まったらもう独りぼっちじゃないんだよって。
私は超治のおかげで独りぼっちじゃなくなったしここに来る子供達にもみんな私と同じようになってもらいたいから。
なるほどな。
「ひとりぼっち」いいね。
うん!いいよいい!やっぱり俺達一緒にいると最強だな!うん!フフフ…。
ハハハ…!ヒロ〜!いやいや…ちょっと…何やってんの?いやいや…今だってほらちょうど盛り上がったしこういうのは勢いが大事かなと思ってだって26年前もこういうふうに始まんなかったっけ?確か。
そうだけどさもう若くないんだよ私達。
そっかごめん何か…悪かったね。
いや俺はね善かれと思ってやったんだけどでもそうだよね26年たったんだもんな…。
あっごめん…ごめん分かったあのえっと…じゃあもう一回やろうもう一回仕切り直して。
えっと…私がフリースクールの名前を「『ひとりぼっち』はどう?」って言いました。
そしたらあなたが「俺達2人で一緒にいると最強だな!」…って言いましたで私が「うん」って答える。
その次から行ってみる?行くよ?よ〜いスタート!ヒロ〜!ねぇねぇ…ちょっと…。
ん?あの…段取りっぽいのはやっぱりちょっと…。
余計入りにくいっていうか何だろうごめん。
じゃあ分かった!あの…そっちのタイミングでいいからあの…先にベッドに行って待ってるから私。
え?いやいや…ちょっとちょっとヒロヒロ…!いやいやちょっと…。
ほら来て来て…あのさ…。
ダメもうすっごいプレッシャー感じるごめん。
ホントそれはちょっとあれだわ無理だわ。
分かった!じゃああの…前おかあさんにもらった下着!下着着けてみてもいいよほらこの下着ね。
パニックもう見た瞬間パニックだから。
ちょっと…何?それ何で持って来てんの?そんなの。
じゃあどうすればいいのよ!そんなの分かんないよ俺だって!じゃあちょっと落ち着こうよ!え?ハグしていいか?…ってもうしてるけどな!取りあえず…深呼吸しようよ!うん…だねうん。
フゥ〜。
やっぱりこれが一番落ち着くなぁ俺達。
うん。
あ…。
このままさあっち行かない?電気消して。
そうだね。
うん。
あ痛っ!ごめんごめん…。
いい…もうスリッパいいよ…。
ごめんごめん…。
はい消した…よし。
痛い痛い…!ごめんごめん。
超治?超治?超治?ウソでしょ?
(ドアが開く音)あぁ…おはよう。
「おはよう」じゃないわよ。
え?どこ行ってたのよ。
あぁ…いや…。
トイレットペーパー切らしてたからこれ。
もう…。
え?もう…。
またいなくなったかと思ったでしょ。
26年前みたいに。
あぁ…ごめん。
ごめんなヒロ。
もういいわよ。
いやそうじゃなくてあの…。
やっぱり何ていうかほら…お前を…身も心も愛せなくてごめん。
26年前みたいにまたお前を傷つけたから。
もうさあの…俺のことなんてもう見捨ててくれよ。
これ以上俺とかかわってもお前が苦しむだけだから。
私は…。
超治と一緒にいたい。
え?超治は?俺も一緒にいたいよ。
でも…。
だったら肉体的に結ばれなくたってそんなの構わないじゃない。
いや…だけど…。
確かにこのまま一緒にいても幸せになれないかもしれない。
きっとまたつらいことがいっぱいあると思う。
あんたが他の男の人を好きになったら身がよじれるほど苦しむかもしれない。
それでも2人でいたほうがいいことが何倍も何百倍もあるし。
周りの人をたくさんたくさん笑顔にできると私は信じたい。
片手じゃ拍手できないって言ったのはあんたでしょう?じゃあ…どういう関係になるんだよ?俺達。
「親友」とか「夫婦」とか…。
そんな呼び方なんてどうでもいいじゃない。
大事なのは私達の絆でしょ?いつでも相手のことを思って何があっても揺るがないでお互いを信じて味方でいることでしょ?ホントにいいのか?ヒロ。
またお前を傷つけるかも…。
2回泣かされたんだからもう3回も4回も一緒よ!それに失敗を恐れてたら何もできないし。
私達は私達らしく心のままに生きるだけ生きようよ!周りに影響されないでお互いの個性を信じようよ!それが飛びっきり難しいことだからこそ。
ただ一つお願いがあるの。
これからは毎日ハグをしてほしい。
「ハグしていい?」が私達の「愛してる」だから。
私へのハグは特別にしてほしい私もそうするから。
だから…ハグしていい?…ってもうしてるけどな!結婚しよう超治。
私達が生きてるこの世界に同じ人生なんて一つもないんだし。
俺達みたいな夫婦がいたっていいよな。
うん。
(職員)では書類に不備はございませんのでこちらで受理させていただきます。
おめでとうございます。
あぁ…そうだ。
取っといてよかったよ。
心の声出していい?何だよ。
フフっ。
実はちょっと不安になってる。
自分で決めたもののホントに大丈夫かなって。
いや俺も正直ズシ〜って責任で肩が重くなった感じっていうのかなハハっ。
でもみんなも私達みたいなもんかもね。
うん…だな。
あぁ…そうだ!あのさ母さんの投稿ビデオ見ようよ最近結構人気あるみたいでさ。
ある意味運命の出会いってこれなのかなっていう感じがしてまして。
一緒にいることが自然過ぎちゃうんですね。
なので全てが自然で。
何かいない…ヨシユキが僕の隣にいないことすらもう今想像できなくなりましたね。
先に言えばよかった…。
フフフ…。
もう言うのがホントに怖くて直前まで胃が痛くてね。
で2人で一緒に言いに行ったんですけど。
その時にお父さんが「そうだったのか」って…ね。
「つらかったんだね」って言ってくれて。
もうそれがホントに嬉しくて。
お墓どうしようかとか…。
ハハハ…!現実的な。
でもそろそろそのくらいになって来たら考えないと…みたいな。
まぁでもそういうのを考えられるのもね一緒に考えられるのも…。
そうですね。
別に…う〜ん…多分20年後も普通に同じように一緒にいるとは思うので。
「何で結婚したの?」ってよく聞かれるんですけどでも結局これは僕が世の中に「この人と何があっても離れることはないよ」って宣言するためだと思うんですね。
ひょっとしたらねまた…他の男性に恋をすることはあるかもしれないですけどでも一番大切なのは彼女だっていうことはもうこれは一生変わらないことなので。
何かもう今この人すっごい自分がいいこと言ったっていう顔してますけどこれでちょいちょい浮気してるもんね。
ちょっと待ってそれ言う?今…すぐ言う!いやあれから何年かたってるんですけど私達そっちのほうはないもんね?そっちのほうは。
ちょっと待ってよ…フフフ…。
心の声をせき止める門がねもう全開になってるんで最近。
何かもうね毎日答えと問いの連続ですよ。
「何でこんな人と一緒にいるんだろうな」って。
「もう別れちゃおうかないやでも一緒にいるといいこともあるしなでもな〜」みたいな感じ?でも大事なのはお互いをこう理解しようとする気持ちかな〜って。
だって人間なんてね死ぬまで自分以外の人のことなんかちゃんと分からないのかもしれないし…。
ひょっとしたらねその…お互いを理解し続けることを「愛」っていうのかもしれないしね。
今私が喋ってんだけどそれ今言おうと思ったのに!あっそうなの?あっそう!ヒロ〜!ハグしていいか?2015/12/09(水) 22:00〜23:00
読売テレビ1
偽装の夫婦 #10【天海祐希主演「一生のパートナーと出逢えた奇跡」】[終][字][デ]
元恋人から求婚…が、彼はゲイでした。「女王の教室」「家政婦のミタ」脚本家・遊川和彦と挑む意欲作。“本当のパートナー”とは?新しい夫婦の形を描くラブストーリー。
詳細情報
番組内容
ヒロ(天海祐希)は超治(沢村一樹)から「もう一度やり直したい」と告白される。心揺れるヒロだったが「やり直すなら、お互いのパートナーと別れるべき」と言い、「親友のままでいるのが一番いい」と超治に言い聞かせる。しかし、しおり(内田有紀)、ユウ(井上琳水)が待つ家に帰ってきたものの、自分の心の声をうまく抑えられなくなった彼女は、自分の思いを封じ込めるように、結婚式をしようとしおりに提案するが…
出演者
天海祐希
沢村一樹
内田有紀
工藤阿須加
坂井真紀
佐藤二朗
柴本幸
田中要次
キムラ緑子
富司純子ほか
原作・脚本
【脚本】
遊川和彦
監督・演出
【演出】
深川栄洋
音楽
【音楽】
平井真美子
【主題歌】
「What You Want」JUJU(ソニー・ミュージックレーベルズ)
制作
【プロデューサー】
大平太
高明希
田上リサ
【制作会社】
5年D組
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
ステレオ
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32725(0x7FD5)
TransportStreamID:32725(0x7FD5)
ServiceID:2088(0x0828)
EventID:8442(0x20FA)