〜うわぁ!〜
(仙吉)人間そこがいちばん敏感なの!
(笑い声)
(青田富士子)次の方どうぞ!はい!じゃあ話はあとで。
(華岡万里子)はいお願いします。
(仙吉)おはようございます。
おはようございます。
村長今日はどうしました?今日はじゃなくて今日もでしょ。
病気予防ですよ!1日1回万里子先生の顔見ないとどうも調子が出なくて。
いつからそこが顔になったんですか!?いい歳して!知らなかった?東京じゃ流行ってるんだよ!ちょいエロ。
それを言うならちょいワルでしょ。
エロかわいい。
胃カメラの準備してください。
はい!あの…治ったかもしれない。
先生の顔見てもう治っちゃった!
(民子)いらっしゃいませ。
(民子)田中様ですね。
お待ちしておりました。
おそれいります。
こちらにお名前とご住所お願いします。
(民子)ありがとうございます。
お二人はお友達ですか?
(山田)えぇ…。
ガキの頃からの腐れ縁で。
あぁ幼なじみ…。
どうぞごゆっくりなさってください。
いらっしゃいませ!お一人様ですか?
(里佳子)えぇ。
予約してないんですけど泊めていただけます?はぁそれはもう…。
お部屋は空いておりますから。
どうぞ。
こちらにお名前とご住所お願いします。
夕飯1人分追加ね。
(信幸)はい了解。
どうかした?飛び込みのお客なんだけどね女の一人旅なんだよ。
やっぱり断わったほうがよかったかな。
大丈夫だろう。
最近はさぁお一人様っていうの?旅行でもなんでも1人でするの流行ってるらしいぜ。
それよりおふくろビール注文しといてくれた?あっ忘れてた。
またかよ!お大事に!どうも。
ありがとうございます。
ありがとうございました。
次火曜日ですから!せ…先生ちょっと!あぁいけないいけない。
ありがとう。
先生ご主人亡くなられて何年でしたっけ?あぁもう7年。
だったらそろそろ考えたほうがいいんじゃないんですか?何を?再婚!ははは!相手いないもん。
(桃井)万里子先生!先生!あら桃井さん。
巡回ご苦労さまです。
いやいや。
先生こそ往診ご苦労さまです。
いくらなんでもアンタじゃねえ…。
え?何がですか?いやいやこっちの話。
そういや芽衣ちゃんもそろそろお年頃ですね。
え?さっき見かけたんですよ。
松本さんとこの良太君と2人で仲よく歩いていくとこ。
あぁ…。
先生も頑張んないと芽衣ちゃんに先越されますよ!芽衣まだ小学校6年生ですよ!
(良太)なぁおもしろいもの見に行こうよ。
(芽衣)おもしろいものって?山姥?山姥?何それ?山奥に住んでる鬼女のこと。
鬼女?いるわけないでしょ。
いるさ!いない!だったら証拠見せてやるよ!あ…ちょっと待って!最高だなぁ仕事帰りの露天風呂。
(女性客)すご〜い!やぁすご〜い!すごい広くない?もみじがすっごいきれいなんだよ。
(3人)気持いい!
(香)臭い!
(真由美)何?この卵が腐ったような臭い!硫黄の匂いよ。
(真由美)硫黄?
(香)こんなに臭いお湯に浸かっててほんとに美人になれるの?美肌になるわよ!硫黄泉っていうのはね肌の角質を溶かして表皮の新陳代謝を促すのよ。
(香)へぇ〜詳しいんだ!こちらの華岡先生はね温泉療法医の資格を持ってらっしゃるの。
温泉療法医って?患者さんのね体調とか症状に合わせて温泉の泉質とか入浴方法をアドバイスするの。
(真由美)だったら私にもアドバイスしてくださいよ。
(香)私も!どうしたら美肌になるんですか?〜やっぱりいないじゃない。
(良太)いるって俺見たんだから。
(芽衣)山姥なんているわけないでしょ。
まったく子供なんだから。
お前だって子供だろ。
(芽衣)わっもうこんな時間。
ねぇ帰ろう。
急がないと日が暮れちゃう。
あぁそうだな。
行こう。
(文鳥の鳴き声)〜山姥だ!〜
(良太)来るな〜!〜
(芽衣の悲鳴)芽衣ちゃ〜ん!!
(良太)わぁ〜!!
(香の悲鳴)
(香)真由美!ちょっと!どうしたの?急に倒れて…。
もう入ってもいいですよ!もういいんですか?脈も目も大丈夫だから。
俗にいう脳貧血でしょう。
ふだんから血圧低かったんじゃない?さぁ測ったことないから。
いくら若くて健康でも健康診断は大切よ。
ぬるめのお湯に浸かっててもね適度に体があったまると血管が拡張して血圧が下がるの。
だから低血圧の人は気をつけないと貧血起こしてねさっきみたいに倒れて怪我したり打ち所が悪いと死にいたることもあるのよ。
えぇ!マジで?超マジ!
(良太)先生!先生大変だ!どうしたの?芽衣ちゃんが…。
(仙吉)よう!駐在何かあったのか?万里子先生んとこの芽衣ちゃんが山で行方不明になったって!なに!?そりゃえらいこっちゃ!おい自転車のせろ!せ〜のよいしょ!〜芽衣!芽衣お母さんよ!返事していたら!芽衣!
(村人たち)芽衣ちゃ〜ん!芽衣ちゃ〜ん!芽衣ちゃ〜ん!大丈夫か!?芽衣!芽衣!!どこ行っちゃったの…芽衣!!
(足音)お母さん!芽衣…よかった。
怪我してるの!?あのう…。
〜あのう…。
〜ご面倒おかけしましてすみません。
(村人)芽衣ちゃん見つかってよかったですね。
どうもありがとうございました。
お大事に。
(一郎)うちのバカ息子が!芽衣ちゃんを強引にあの山の家に誘ったそうで…。
なんとおわびしていいか…。
あのどうぞ頭を上げてください。
言いつけ守らなかった芽衣も悪いんですから。
(寿子)とんでもない。
大切なお嬢さんに怪我までさせてしまって。
ごめんね。
あぁ…。
ほんとにもうあんたも謝りなさい早く!ごめんな俺のせいで。
もういいよ。
大丈夫だから。
怪我もたいしたことなくて済みましたんで。
何もないんですけどよろしかったら…。
(一郎)あぁかえってすみません。
でもほんと山姥に食われなくてよかったよな。
まだ言ってる。
あの人は山姥なんかじゃないよ。
実際どういう人なんですか?8年ぐらい前にね山奥の空き家に越してきたんですよ。
(一郎)山奥にこもったきり人里にはめったに下りてこないんですよ。
ね?
(康夫)だからみんなまるで山姥みたいな女だって噂してるんですよ。
でも名前ぐらいあるんでしょう?あぁ…どうだっけ?何ていったっけ?島田さんですよ。
島田早苗さん。
(一郎)そうそう島田だ!島田って…。
そういや昔そんな名前の一家があの山奥に住んでましたよ。
いやもう何十年も前の話なんだけども炭焼きだったおやじさんが病気で死んで食うのに困った連れ合いが確か東京の親戚を頼って村を出てったんです。
じゃあそのご一家と血縁か何かでしょうかね。
いやぁ私もそこまではちょっと…。
ご家族は?いません。
1人暮らしです。
あんな山奥で1人で暮らしててどうやって生計立ててるんだろう。
自給自足に近い生活じゃないのかなぁ。
荒れ放題だった土地を耕していろいろ作ってるみたいだから。
なんにせよあんまり関わらないほうがいいですよ。
どうしてですか?
(寿子)だって…ねぇ?廃屋同然の家にたった1人で住みつくなんてなんか訳ありなんじゃないかってな。
〜何やってるんだよ?何?なんか気になってねぇ…。
(信幸)彼女が例のお一人様?
(民子)うん。
信幸!あ…あぁ。
「浅草芸妓をどり」
(芽衣)お母さん。
うん?昨日私が着てた服もう洗っちゃった?だってドロドロだったもんほら。
ポケットの中に入ってなかった?何が?
(芽衣)お父さんの懐中時計。
いや入ってなかったけど。
どうしよう…やっぱり落としちゃったんだ。
昨日山で?たぶん。
私探しに行ってくる。
芽衣…もう子供だけで山入っちゃ駄目よ!お母さん代わりに探しに行ってあげるから。
ほんと?うん。
どっちにしても早苗さんにお礼に行くつもりだったから。
(田中)お前が決めた場所だろう?しっかり思い出せ!ごめんごめん。
こんにちは。
ヤマメの穴場こっちでいいですか?ヤマメ?あぁ…釣り人ならあっちでよく見かけますけど。
どうも。
ほらな!あの…。
あなたたしか清風荘の…。
どうしたんですかこんな所で?紅葉がきれいだったので。
(早苗)「春雨に」「しっぽり濡るる鶯の羽風に」「わたしゃ鶯ぬしは梅」「やがて身まま気ままになるならば」「サァ鶯宿梅じゃないかいな」あの…私診療所の医師の華岡です。
昨日は娘が助けていただいてありがとうございました。
いいお声ですね。
「わたしゃ鶯ぬしは梅」って私は鶯であなたは梅の木ってことでしょうか?あの…。
あ…あの!昨日娘が山の中で懐中時計を落としたみたいなんですけど亡くなった父親の形見でお守り代わりにしてたんですけど…見かけませんでしたでしょうか?とにかくゆうべはどうもありがとうございました。
あの…お口に合うかどうかわかりませんがここ置いときますのでよろしかったら召し上がってください。
「わたしゃ鶯ぬしは梅」あった!なんだ…。
キャ〜!!
(サイレン)
(犬丸)じゃあ先生が遺体の第一発見者なんですか?はい…といっても私より先に発見した人がいるはずなんですけど。
(犬丸)どういうことですか?私が頭蓋骨を発見した時現場の土はすでに掘り返されていました。
おそらく昨日から今日にかけてでしょう。
そうおっしゃる根拠は?一昨日の晩はかなりの豪雨でした。
もしそれ以前に掘り返されていたのであれば頭蓋骨に付着した土は雨に流されていたはずです。
でも私が発見した時は土は付着したままで雨に濡れた形跡はありませんでした。
(東)どういうことなんでしょう?それはお前…何者かが何らかの理由であの木の根元を掘り返し白骨化した頭蓋骨を発見してしまった。
にもかかわらずそいつはなぜか警察に通報せずそのままこの場を立ち去った…ということなんだろうな。
だとしたらその人物はなぜ警察に通報しなかったんです?それはお前…面倒なことに巻き込まれるのが嫌だったんだろうよ。
あ…。
どうしました?いえ…。
であの…事件性はあるんですか?遭難や自殺って可能性もありますよね?頭蓋骨の頭頂部には縦に入った不自然な亀裂がありました。
おそらくある程度重量のあるスコップか何かで殴られたものじゃないでしょうか?ということは…事件か!?
(女性客たち)私のほうがスベスベ!手のひらもスベスベだよ!私さあっちの蒸し風呂行きたかったんだけど。
行く!行こう行こう。
どこいっちゃったのかねお父さんの懐中時計?あんな広い山だからね。
でも…やっぱり私あの時計…。
わかったわかった。
お母さんもう一度探しに行ってあげるから。
芽衣は二度と1人で山の中に入っちゃ駄目よ。
危ないから!ほら学校に遅刻するから食べなさい。
あるよきっと。
(康夫)そりゃあ大変だ。
亡くなったお父さんの形見じゃ代わりの時計買ってあげるってわけにもいかないもんね。
とりあえずもう一度だけ探しに行ってみようと思ってるんですけど。
いいですよ。
(康夫)はいどうも。
問題ないですけどねちょっと血圧が高めなので塩分とお酒控えめにしてください。
あら…。
(仙吉)大変だ!大変だ!!大変だ!!どうしたんですか村長?例の遺体身元がわかったんですよ!
(仙吉)遺体と一緒に発見された運転免許証の名義人と遺体の歯型が一致したんです!だからってなんでそんな大騒ぎしてるんですか?大騒ぎしますよ!被害者の名前いったい何ていうと思う?
(康夫)なに…もったいつけずに言えよ!島田満!島田?あの遺体山姥の亭主だったんですよ!けど村長どうしてそんなこと知ってるんですか?聞いちゃったんですよ。
さっき駐在所のわきを通りかかったとき。
犬丸:すべて調べはついているんですよ!8年前島田満さんはあなたとの婚姻届を提出したその日に3,000万円の生命保険の受取人を妻であるあなたに書き換えている。
しかも婚姻届を提出した3日後あなたは警察に満さんの捜索願いを出している。
これはいったいどういうことなんですか?さぁ?私のほうが聞きたいくらいです。
あなたが提出した捜索願いによると満さんは結婚した翌日つまりえ〜と…8年前の11月11日に生まれ故郷であるこの村に行くと言って東京を発った。
これはあの…間違いないですよね?はい。
8年前…満さんは本当に1人でこの村へ来たんでしょうか?どういう意味ですか?まぁ実際には…あなたも一緒にこの村へ来ていたんじゃありませんか?じゃあ警察は山姥が保険金目的で亭主を殺したって思ってるわけだ。
あぁ。
でも保険金の受取人になったのは8年も前の話でしょう?もし仮に保険金目的の殺人だとしたらあんな山奥に遺体を埋めるかしら?遺体が見つからなかったら保険金だっておりないんだし。
それにご亭主失踪してから8年も経つんでしょう?保険だってとっくに解約してるでしょうしね。
それがさ!じゃあ…質問を変えましょう。
あなたのご主人が失踪して8年経った今でも当時加入した生命保険を解約していないのはなぜですか?失礼ですけどあなたの預金口座を調べさせていただきました。
毎月1万7,000円保険の掛金として引き落とされています。
預金はもうほとんど残っていませんよねぇ。
正直生活苦しいでしょう?大きなお世話です。
もう一度お伺いします。
どうして保険を解約しなかったんですか?主人が生きてるって信じてたからです。
そうなんだ…。
8年もの間?はい。
(犬丸)夫婦として暮らしたのはたった一日だけだったのに?じゃあやっぱり山姥が?
(康夫)他にいないだろう。
今日のところは参考人として事情を聞かれただけみたいなんだけどしばらくは駐在が山姥の行動を監視するらしい。
ごめんください!診療所の華岡ですけど先日お話した時計のことで…。
どちらさまでしょうか?
(秀夫)この家の者だけど。
え?
(桃井)あれ?万里子先生!どうしたんです?
(桃井)そちらの方は?お知り合いですか?あんたたち誰?
(桃井)島田秀夫さんですか。
じゃああなた本当に亡くなった満さんの…。
実の兄です。
女房で…。
(喜代子)喜代子です。
こちらにはどうして?テレビのニュースで…発見された白骨遺体が弟だって知りましてね。
浅草?「浅草芸妓をどり」あんたなんだ…満が言ってた芸者あがりの女房っていうのは。
はい。
(秀夫)あいつもバカだよな。
いい歳してあんたみたいな女に騙されて殺されちまうんだから。
あんたなんだろう?あいつ殺したのは。
3,000万円の生命保険あいつに掛けてたそうじゃないか!そういうお義兄さんこそうちの人を殺したんじゃありませんか!?どういうことですか?8年前の11月11日…満さんはこの村の清風荘から私に電話をくれたんです。
「兄貴も親父の命日は忘れてなかったらしい。
墓地で偶然出くわして今一緒に清風荘に泊まってる」って…。
(桃井)じゃあお兄さんは8年前この村で満さんと会っていたんですか!?えぇ。
だからってどうして俺が実の弟を殺さなきゃならないんだよ!?満さんに背負わせた3,000万円の借金のことでトラブルにでもなったんでしょう。
3,000万円の借金って!?この人はね実の弟を返すあてのない借金の保証人にしたあげく夜逃げしちまったんですよ。
おかげで満さんは一代で必死に築きあげた会社を失ってそのうえ奥さんにまで逃げられて…。
会社も家族も何もかも失ってしまったんです。
…今の話本当なんですか?えぇ。
でも弟とは和解していました。
そんな見え透いた嘘誰が信じるもんですか。
ほんとですよ!あの日この人と満さんは私の目の前で…!満:もう済んだことだから。
ほんとに許してくれるのか?
(満)あぁ。
今夜は飲もう。
親父の供養だ
(喜代子)2人は昔どおりの仲のよい兄弟に戻って嬉しそうにお酒を酌み交わしてました。
だからこの人が満さんを殺すはずないんです!
(桃井)それで…3,000万円もあった借金はどうなったんです?さぁ…。
私が肩代わりしました。
(2人)えっ!?あなたが!?はい。
どうして?そんなこと決まってるでしょ。
満さんを愛していたから?はい…。
(秀夫)そう…あんたは満を愛していた。
だから借金の肩代わりをするかわりにあいつに結婚を迫ったってわけだ。
満は金のためにしかたなく結婚に応じた…。
だがどっかよそに女でもいたのかそれとも逃げた女房を忘れられなかったのか…とにかく裏切られたと思ったあんたは肩代わりした3,000万円と同額の生命保険を掛けた満を殺害した!そうなんだろ!?
(満の叫び声)そんなことあるわけないでしょう!じゃあお兄さん夫婦はしばらく清風荘に?そう警察の指示で。
ということは容疑者は山姥とその義理のお義兄さんの2人になったわけだ?ううん3人。
えっ!?警察は兄嫁の喜代子さんも疑ってるみたい。
あぁ夫婦で共謀した可能性もあるってわけね。
それにしても意外でしたねぇあの山姥が元芸者だったなんて!早苗さん華やかな芸者の職を捨ててまでなんであんな山奥に越してきたんだろう?それ私!どれにしようかなと!
(かけ声)メ〜ン!ドウ〜!あそう!2人とも東京から?えぇ。
(秀夫)男2人で温泉旅行なんてよっぽど仲いいんだね。
腐れ縁ってやつなんですよ。
…いくぞ。
男2人で温泉来て何考えてんだかいやらしい!いくぞおい!えっ?あぁ…。
例のお一人さん…西川さん。
あぁこれ…?食欲がないからお夕飯いらないって…。
あぁそう…なんだ今日いいの釣れたのにな。
どうした…?えっううん…。
〜
(ノック)誰?・
(信幸)板場の者ですがよろしいでしょうか?おかゆを作ったものですからよろしければどうぞ…。
(里佳子)どうも…。
熱いんでこちらに置きますねじゃあはい…。
〜お母さん…。
どうしたの?ほんとなの?早苗さんが人殺しだって…。
…どういうこと?良太君が言ってたの…村の人たちはみんなそう言ってるって…。
ねぇ嘘でしょ?お母さん!早苗さん私のこと助けてくれたんだもん。
人殺しなんかじゃないよね!?ねぇそうでしょ!?芽衣…!・もしもし華岡ですけど。
〜
(康夫)先生先生!こっちこっちこっち…!!
(康夫)大変だよ!もう私は何がなんだかもう…。
(康夫)あそこです!まだあったかかったんで先生に電話しちゃったんですよ!島田秀夫さん…!どうです!?やっぱり…!〜サビ…!?
(パトカーのサイレン)
(康夫)本堂でおつとめをしておりますとあの…何か…悲鳴のような声がしまして…で気になって…こちらへ来てみたらあの…。
私が駆けつけたときはもう脈ありませんでした。
まだ死後硬直は始まっていなかったので死後1時間経過していなかったと思います。
ということは死亡推定時刻は…8時頃か…。
(犬丸)あぁあの桃井から聞いたんですが昼間島田早苗は亭主が殺された件で義理の兄である秀夫さんと言い合いをしてたそうですね。
えぇ…。
(犬丸)おい凶器は見つかったか?
(鑑識官)少なくとも境内には…。
犯人が持ち去ったか…。
(喜代子)いや〜っ!!どうして!?どうして…どうしてこんなことに!?どうして〜っ!!
(桃井)おはようございます!
(パトカーのサイレン)〜さっき警察の前で見かけたんですけどこちらに泊まってるお客さんじゃないかと…。
えぇ…うちの一人客で西川里佳子さん。
あの…どうして連行されたんですか?見ちゃったのよ島田秀夫さんが殺された日の夕方…。
うんっ!何なのよもう…。
(里佳子)離してください!離してくださいっ!離して…!どうしました?あっいや…何でもありませんよなぁ
(民子)それにね…裏庭に置き忘れた鎌がなくなって彼女がとったんじゃないかって…。
凶器は鎌だったんですか?そうらしいわね…。
刑事さんが言うにはね殺された島田さんの遺体の傷口に鉄のサビがついてたんだって。
サビ…!?やっぱり…。
でもどうして彼女が…?知りません鎌なんて!だいたいどうして私が島田さんを殺さなきゃならないんですか!?
(犬丸)私もそれをお聞きしたかったんですよ。
島田さんが殺された日の夕方…あなたと島田さんの間に何があったんですか?何もありません!宿の裏山を散歩してたらたまたま島田さんと出くわして宿までご一緒しただけです。
何隠してるんですか?別に…何も隠してなんか…私より怪しい人ならもっと他にいるんじゃありませんか?じゃあ島田秀夫さんを殺したのは山姥じゃなかったんですか?それはまだ。
今日も桃井さんが早苗さんの監視続けてるみたいだし。
(桃井)あの…一つお聞きしてもいいですか?どうしてあの日子供たちを追いかけたんでしょうか?あの日…あの子たちが走っていった先で小さな地すべりがあったんです。
じゃあ危険を知らせようとして?
(パトカーのサイレン)女将さん!あぁ…。
喜代子さんどうしたんですか!?里佳子さんが証言したんですよ。
島田秀夫さんが亡くなった晩奥さんと言い争ってるのを見たって…。
じゃあ喜代子さんが島田秀夫さんを!?そこまではまだ…。
里佳子さんと同じで任意の取り調べってことだから。
あの里佳子さんは?さっき警察から戻ってお部屋に…。
じゃあ容疑は晴れたんですか?それはまだみたいよ。
今も若い刑事さんが…。
(信幸)大変だ!おふくろ!里佳子さんが部屋で倒れて…先生!えっ先生お願い!はい!先生どうなんでしょう?貧血のようですね。
気分はどう?山で私と会ったあの日あなた死に場所探してたのね?あのう…そして実際昨日首吊り自殺を図った。
〜でも偶然出くわした秀夫さんに助けられたのね。
何やってるんだバカ!大丈夫か?
(咳込む声)死なせて…私が見たのは…。
死のうとしていた里佳子さんを秀夫さんが強引に連れ帰ってきたところだったんじゃないんでしょうか。
違う?そのとおりです。
そのこと警察には?言えるわけ…ありません。
どうして?不倫相手に捨てられて死ぬつもりだったなんてあんまりにも惨めすぎます。
それでも生きなくちゃねお腹の赤ちゃんのためにも。
あんまり目立っていないけど4か月…いや5か月に入ったくらいかな。
貧血は妊娠が原因ね。
産みたいんでしょう?本当は。
だから中絶できなくて赤ちゃんと一緒に死のうと思った。
違う?
(嗚咽)母親の先輩としていわせてもらうとね女は子供を産むことで自分も母親として生まれ変わるの。
だから頑張って生きてみようよ。
きっとお腹の赤ちゃんがあなたに勇気くれるから。
でも私にはもう仕事も住む場所もない…。
(信幸)だったらうちで働けばいい。
(里佳子)え?いいよねぇ?いいと思うなおふくろ。
そりゃあ人手は足りないし…。
うんうん!お前がいいって言うなら私はかまいませんよ。
よし決まった!いいですよね?ありがとうございます!こちらこそ!あのバカひと目惚れしちゃったのよ。
これからはお腹の赤ちゃんのためにもちゃんと食べないと…ね!あそうだ!おいらおかゆ炊いてくるから!
(信幸)あ痛い!
(笑い声)なに!?男に捨てられて自殺未遂?えぇ。
だったら最初からそう言えってんだバカ野郎が!けどこれで容疑者は早苗と喜代子2人に絞られましたね。
あぁ。
どうして私が主人を?あの女に決まってるじゃありませんか!あの女ですよ!
(嗚咽)で早苗さんは?
(桃井)今署のほうで取り調べ中です。
あの日は山を下りてません。
何度言ったら気が済むんですか。
何度でも。
本当のことを言っていただけるまでですよ。
おかげでやっと早苗さんの監視役から解放されて明日は久しぶりの休暇です。
あっそうだ!お願いしたいことがあるんですけど。
えっ?〜
(桃井)東京でデートか…。
すみません!あっちです。
本当は一人でって思ったんですけど私一般人だしいきなり訪ねていっても怪しまれると思うから。
でもどうしてそこまでこの事件に?芽衣が早苗さんに命を助けてもらったことも私が早苗さんのご主人の遺体を発見してしまったこともなんだか…なんか縁があるみたいで。
(八千代)だから私はあの島田とかいう男との結婚には反対だったんだよ。
どうして反対なさったんですか?
(八千代)だってあの男には当時3,000万円もの借金があったんだよ。
楓に近づいたんだって金目当てに決まってるじゃないか。
楓って?
(八千代)あぁ…芸者時代の早苗の源氏名…呼び名。
売れっ子だったんだよあの子…若い頃はね。
(八千代)まじめで芸一筋の子だったのによりによってあんな男と…。
(八千代)あの男の借金まで肩代わりして籍を入れちまったんだよ。
それなのにたった一日で楓の夢は破れちまった…。
楓さんの夢って?亭主のふるさとで2人っきりで静かな生活を送りたいっていつもそう言ってた。
そしてあの日亭主は父親の墓参りのついでに自分が子供の頃住んでた家の様子を見に行ってくるとかいって東京を発って…それっきり。
(八千代)心配した楓が亭主のふるさとまで行って捜したんだけど結局見つからなかった。
(カラスの鳴き声)その後警察からは何の情報も?どうせ騙されて捨てられたに決まってるってそう思われたんだろう。
まともには相手にしてもらえなかったみたいだよ。
どうぞ。
すみません。
けどねこの界隈の人はみんなそう思ってた。
だからあの子も居づらくなったんだろうね。
それからしばらくしてあの子は姿を消しちまった。
亭主が戻ってきたらあの家で待ってますって伝えてくれって私にそう言い残してね。
それであんな不便な場所に…。
(早苗)「わたしゃ鶯ぬしは梅」あの…わたしゃ鶯ぬしは…。
梅?はい。
春雨だね!「わたしゃ鶯ぬしは梅」ってね!それってどういう意味なんでしょう?意味ねぇ…。
けど早苗さんなんだって村の人たちを避ける必要があったんでしょうか?村の人たちと親しくなれば自分の過去や村に来た理由を詮索されることになるでしょう。
いつ戻るかわからない夫を待っているとは口が裂けても言えなかったんじゃないんでしょうか。
女としてのプライドってやつですか。
うん。
面会!?そうです。
・
(犬丸)無理ですよ。
島田早苗は島田満及び秀夫殺害事件の重要参考人として取り調べ中なんですから。
凶器発見されたんですか?・
(犬丸)例の山の家から鎌を押収しました。
でも島田秀夫さん殺害に使われた凶器は錆びた鎌だったんですよね?・
(犬丸)えぇ。
だったら押収されたその鎌は犯行に使われたものじゃありません。
島田秀夫さんが殺害される前日私あの山の家を訪ねたんですけどもその時早苗さんは鎌を研いでいるとこでした。
だとしても犯行には別の鎌を使ったのかもしれない。
そんな!とにかく面会は許可できません。
犬丸さん!ん?島田早苗がめまいと吐き気を訴えてかなりつらそうなんですがどうしましょう?どうしましょうってお前…。
この時間じゃ救急くらいしか開いていないだろう。
もしもし…もしもし!私行きます!今すぐ行きますから!胸開きますから後ろを向いていてください。
あっあぁ…。
失礼しますね。
早苗さんずっと待ってたんですねご主人のこと。
先生!面会は許可できないと…。
面会じゃありません診察中です。
くそ…。
浅草の八千代お姐さんにあの春雨っていう唄の意味を教えていただきました。
鶯である私の帰る場所は梅の木であるあなたのいる場所。
いつになったらあの鶯のようにあなたのそばで暮らせるのか。
切ないばかりで考えれば考えるほど気が滅入る。
だからもう考え込まずに生きましょう。
早苗さんにとって満さんが梅の木だったんですね。
私が今の唄を初めて聞いたのは早苗さんの家を訪ねた時でした。
犬丸さん…その帰り道に満さんの白骨遺体を見つけたんです。
何がおっしゃりたいんですか?つまりあの日遺体が発見されるまで早苗さんは満さんが亡くなったことを知らなかったということです。
知っていたらあの春雨という唄をうたうことができるはずありません。
どんな唄をいつうたっていたかなんてことは無実を証明する証拠にはなりませんよ。
犬丸さんにはおわかりにならないんですね。
何が!?女心が!
(早苗)8年間…ずっと待ち続けていたわけじゃありません。
迷ったことも疑ったこともあきらめたこともありました。
でも長年苦労して蓄えてきた財産も芸者という仕事も失ってあの村の…あの家以外他に行くとこなんてなかった。
信じて待っていなければ生きてる意味さえ見失ってしまいそうで。
待つ以外他に道がなかったんです。
それでも愛していたんでしょう?えぇ。
あの人と一緒になれるならすべてを捨ててもいいとまで思いました。
だから…。
結婚して今すぐ!お願い!できないよ。
あなたの借金…私が全額肩代わりする。
バカなことを言うな!だからお願い!残りの人生あなたと一緒に生きさせてお式も何もできませんでしたけどあの人の女房になれたってだけで私は十分幸せでした。
けどあの人…。
これお前が持っててくれ。
無一文の今の俺には他にお前にあげられるものがないから。
バカね…3,000万円の生命保険は満さんの愛の証しだったんですね。
だから満さんが失踪して8年経っても解約できなかった。
これでも早苗さんがご主人手にかけたと…?痴情のもつれってやつはね愛があるからこそ起きるんですよ。
でどうなんです?容態のほうは。
過労のようです。
明日の朝まで安静にしといたほうがいいでしょう。
知り合いの病院に連絡して病室用意してもらいます。
はぁ…。
(早苗)だったらあの…先生にひとつお願いがあるんですが…。
何でしょう?明日家に残してきた文鳥に餌をやっていただきたいんです。
お安い御用ですよ。
(文鳥の鳴き声)落としましたよ。
あのこれ。
はい?落としたでしょ?あぁ…すみません。
いいえ。
ありがとうございました。
おじゃましま〜す!
(文鳥の鳴き声)あぁ…。
あぁっ!あっ…あぁっ…。
〜ん?硫黄?
(サイレン)
(サイレン)どうしてわかったんですか?早苗さんの家荒らしたのが清風荘のお客さんだって。
うっ…。
大丈夫?大丈夫。
早苗さんちのね土間に落ちてた白いタオル硫黄のにおいがしたんですよ。
この村の人間が空き巣なんかに入るわけないしあとは考えられるのは清風荘のお客さんくらいかなって。
で現場に残っていた足跡がね男のものだったんだけど調べてもらったら清風荘のお客の田中って男の靴と一致したんですよ。
なるほどねぇ。
さすが万里子先生。
だけどどうして早苗さんの家荒らしたりしたんだろう?特に盗まれたものもなかったみたいだし。
(桃井)先生!あっ桃井さん。
頭の怪我どうです?大丈夫ですよ。
昨夜不法侵入で逮捕された田中のことなんですけど田中じゃなかったんです。
田中が田中じゃなかった?どういうこと?偽名だったんです。
偽名!?田中と一緒に宿に泊まっていた山田も偽名でした。
どうして偽名なんか…。
2人には前科があったんです。
8年前の11月10日現金輸送車を襲撃したんです。
えっ!?その事件で2人とも懲役刑を受けて先週出所したばかりでした。
8年前の11月10日って島田満さんがこの村にやってきた前日ですよね。
(桃井)えぇ。
田中の本名が工藤勝利。
(桃井)山田の本名が坂上敏男です。
(桃井)記録によるともう一人加藤という仲間がいたんですが奪った6,000万円を持って逃走したままいまだに捕まっていないようです。
奪われた6,000万円は?見つかってません。
あら。
警察の取り調べに対して工藤も坂上も加藤に騙されたって証言しています。
そういえばあの2人がこの村にやってきたのはいつなんです?出所したその日ですから1週間前…。
あっ!ちょうど万里子先生が島田満さんの白骨遺体を発見した前日ですかね。
それって単なる偶然なんでしょうか?どういうことですか?いやもしかしたら島田満さんの遺体を掘り返したのはあの2人じゃないかって…。
どうしてそんなことする必要があるんですか?8年前に埋めた6,000万円を回収するためです。
えっ!?えっ!?これはあくまでも推測ですけど…。
でも6,000万円は加藤って仲間が独り占めして逃げたって。
もしそれが偽証だったら?あぁ…。
もしかしたら彼らは現金輸送車を襲撃したあとあの場所に6,000万円を隠した。
そして刑期を終えて隠したお金を回収するためにあの場所へ戻ってきた。
でも穴から出てきたのはお金じゃなくて白骨化した遺体だった。
(悲鳴)
(桃井)だとしたら遺体を発見したという通報がなかったこともうなずけますね。
警察に電話なんかできるはずないわよね。
でもどうして6,000万円と遺体が入れ代わったんです?島田満さんを殺害した犯人が入れ替えたんでしょうね。
じゃあ工藤は早苗さんが6,000万円を横取りしたと思って。
たぶん…。
つまりお前たち2人は白骨遺体を掘り返しちまったあと横取りされた金を取り戻すために清風荘にとどまりその機会をうかがっていた。
ところが工藤がお前を裏切って1人であの山の家に忍び込んだってわけか。
(坂上)えぇ。
現金輸送車を襲撃したのだって俺はあいつに利用されたようなもんだったんです。
それなのに金まで独り占めしようとするなんて…。
坂上がすべて白状したよ。
(工藤)えっ!?お前は坂上ともう1人の共犯者加藤と3人で現金輸送車から強奪した金をあの山の中に埋めた。
そのあと東京に戻ってみると加藤の面がわれてお前たちは指名手配されていた。
腹を立てたお前は加藤を殺し警察に捕まったあとは金は加藤が持ち逃げしたとしらをきった。
あぁそのとおりだよ。
(犬丸)でその金は?さぁね。
あの女の家からは出てこなかった。
あの女きっとどこか別の場所へ隠しやがったんだ!あのアマ!6,000万円?そんな大金見たこともありませんよ。
だったら金はどこへ消えたんだ?俺に聞かれても困りますよ。
知ってたらとっくに掘り返してトンズラしてます。
あぁまぁそりゃそうだな。
もういいですか?8年前の事件に関しては罪は償ったんだし。
(東)犬丸さん!ちょっと…。
鎌が見つかった?〜
(桃井)こっちです!現場はこっちですから。
急いでください。
足もと気をつけて。
(信幸)えぇ間違いなくうちの鎌です。
お客さんにお出しするためのイワナを釣りにきたらあの岩の上にあったんでもうびっくりしちゃって。
それで俺…。
電話くれたんだ?はい。
ありがとう。
〜
(犬丸)鎌の分析急いでくれ!〜っていうことはその鎌から指紋が出れば島田秀夫さんを殺害した犯人がわかるってわけだ。
えぇ。
(桃井)万里子先生!出ましたよ指紋!山姥喜代子さんどっち?それがどちらでもなかったんです。
(2人)えっ?いったい誰の…?
(犬丸)工藤…島田秀夫さんをやったのはお前だったんだな。
どういうことだよ?とぼけんなよ。
ほれ。
(犬丸)これからお前の指紋が検出されたんだよ。
そんな…。
何かの間違いだよ。
もう1回調べてくれよ。
なぁ!なぁ!もう1回調べろよ!なぁ!じゃあ事件の日喜代子さんと秀夫さんが口論してたっていうのは…。
清風荘の女将と同じ現場を目撃して秀夫さんと里佳子さんとの関係を誤解したからのようです。
あぁやきもちね。
で早苗さんは?自宅には戻されましたが島田満さんの事件に関して容疑が晴れたわけではありません。
早苗さんはご主人殺してません。
じゃあ喜代子さんは?あいえ…。
満さんと秀夫さんが和解してたという話は嘘だとは思えませんしだとしたら喜代子さんには満さんを殺す動機がありません。
でも他に容疑者はいませんし…。
8年前現金輸送車を襲った3人が6,000万円を隠すためにこの村に来てた…っていうことは清風荘に宿泊してたのかもしれません。
工藤と坂上の供述によると金を埋めたあとは車でそのまま東京にとんぼ返りしたっていうことなんですが…。
それも偽証だとしたら?もしかしたら早苗さんのご主人もその工藤って男が…。
接点があったのかもしれないわ。
〜
(桃井)この2人なんですけど…。
8年前?はい。
さぁ?覚えてません。
あっ…。
ただ…あの晩…私が休んだあとで宿で意気投合して朝まで一緒にお酒を飲んだ人がいたって主人から聞いた覚えが…。
どんな人だったんでしょう?たしか…片耳が不自由な若い男の人だって。
坂上だわ。
えっ!?あの人自分が落とした鍵の音にも落としましたよって呼んだ私の声にも気がつかなかったんです。
落としましたよ。
あのこれ。
はい?落としたでしょ?あぁ…すみませんねぇ?はい。
私もういい?
(2人)すみません。
ありがとうございました。
ねぇあの人たぶん左の耳が聞こえてないんだと思います。
じゃあ東京へとんぼ返りしたっていう供述はやっぱり嘘だったんだ。
嘘じゃないのかもしれません。
坂上は供述どおり一度は工藤たちと一緒に東京へ戻った。
でもそのあとまた1人でこの村に引き返してきたんじゃないでしょうか。
何のために?仲間に内緒で6,000万円の隠し場所を変えるために。
それって…。
島田秀夫さんを殺害した犯人って本当に工藤だったんでしょうか?でも凶器の鎌から検出されたのは工藤の指紋だけで坂上の指紋はありませんでした。
えっ?先生!そういえば山田さん…あっ坂上さんですか。
宿でお出しする川魚はいつも自分で釣りにいって釣ったその日にお出しするから新鮮なんだってご説明したんですよ。
そしたら穴場はあるんですかって聞かれたんで…。
教えたんですか?えぇ。
はい。
どうもありがとう。
そうです坂上敏男です。
宿にはいませんでした。
至急指名手配お願いします。
私早苗さんとこ行ってきます。
今の話すぐ伝えてあげたいから。
私も追いかけます!〜
(喜代子)あの!はい。
お願いしたいことがあるんですけど…。
何でしょうか?〜あっ!〜早苗さん診療所の華岡です。
早苗さん!
(ノック)
(早苗)あんたと話すことなんてないよ!さっさと帰って!〜帰ってよ!わかりました。
〜と〜っ!待て!島田秀夫さんを殺害したのはあなただったのね。
あなたはいつも清風荘の信幸さんがあの渓流で川魚を釣ってるの知っていた。
だから犯行に使った鎌をわざとあの岩の上に置いて信幸さんに発見させるように仕向けたのよ。
もし仮にそうだったとしてもあの鎌に残っていたのは工藤の指紋だ俺のじゃない!指紋なんて工藤さんと同じ部屋にいたあなただったら簡単につけられたはずよ!だったら動機は!?俺にはあの男を殺す動機がない。
いいえあるわ。
島田秀夫さんが思い出してしまったからよ。
8年前のあの日清風荘であなたと一緒にお酒を飲んだこと。
あなたはその事実を警察だけではなくて工藤さんにも知られるわけにはいかなかった。
なぜならば6,000万円を1人で別の場所に移し変えたことがバレてしまうからよ!島田満さんを殺害したのもあなたね。
あんたがうちの人を…!?ああ…そうだよ。
なんで!?なんでそんなことを…!?早苗さん!
(早苗)うっ!
(包丁で刺す音)早苗さん!?
(倒れる音)あ〜っかなり深いな。
(犬丸)先生!助かった!確保!はい!先生…。
これ…お嬢さんに…。
〜
(早苗)このまま…死なせて。
あの人の…ところに…逝かせて。
逝かせるわけにはいかないわ。
まだあなたには伝えなきゃいけないことがあるから。
始めます。
はい。
拘ピン。
異物除去します。
〜止血開始します。
(工藤)裏切り者。
お前もな。
どうしてだよ…俺たち友達じゃなかったのかよ!?友達?ふざけんじゃねえ!お前のせいで俺は…俺は!ガキの頃から散々工藤に振り回されて…。
この耳が聞こえなくなったのだってあいつに殴られたせいなんです。
それなのにあいつは俺をいいように利用し続けて…気がついたらいつの間にか俺まで犯罪者になってた。
(犬丸)だからあいつを騙して強奪した6,000万円を独り占めしようと思ったわけか。
ええ。
これまでの慰謝料代わりにね。
(犬丸)だからってどうして島田満さんを?見られちまったから…。
あの日あの木の下で…。
(足音)〜満:うわぁ〜っ!〜そのあとちょうど掘り返してあった穴にあの男の死体を埋め掘り出した6,000万円は別の木の根元に埋め直しました。
島田秀夫さんを殺したのもお前だな?ええ。
あの夜…。
ねぇねぇあんたお〜い。
あんたひょっとしてこっちの耳聞こえてないんじゃないの?
(坂上)え?あっやっぱりそうだ!ほれ8年前に俺あんたとここで酒飲んでんだよ。
さっき思い出してさ。
あぁ…あの時の。
(秀夫)おう!どうです?1杯再会を祝して。
おっいいね!
(坂上)行きましょ行きましょ!
(坂上)街にある酒場に出ようって誘って宿の裏庭に置いてあった古い鎌を持ち出しました。
私ねお酒好き。
ここにしましょうか?えっ?ここって飲むとこなんかないじゃん。
いいんですよ。
どうせ飲んでる暇なんか…ないんだから。
(秀夫)えっ!?〜
(鎌で刺す音)〜
(坂上)使った凶器は宿に持ち帰って自分の指紋を拭き取ったあと寝ている工藤に握らせて指紋を残しました。
工藤を犯人に仕立てあげれば例の6,000万円はお前が独り占めできたってわけだ。
ええ。
バカ野郎!早苗さんはなお前が殺した亭主の帰りを8年ずっと待ち続けた。
それだけが彼女の生きがいだったんだ!お前はな!夫婦2人それぞれの人生をめちゃくちゃにしたんだ!よく考えろ!気分はどうですか?〜どうして死なせてくれなかったんですか。
秀夫さんの奥さんに伝言頼まれてるんですあなたに。
私に…?8年前の11月11日満さん言ってたそうですよ。
不運が俺を今の女房に引き合わせてくれました。
だから今では借金にも俺を裏切った兄貴にも…感謝してるんですご主人にとっても早苗さんあなたが梅の木だったんですね。
〜「ハァ〜アァ〜ア〜…」もう駄目だ恥ずかしいや!このへんで勘弁してください。
(拍手)私の唄はこのくらいでね。
続きまして上ノ山地区踊り島田早苗さんです!盛大な拍手でお迎えください!
(拍手)待ってました〜!
(三味線と唄)よかったね。
〜
(拍手)日本一!〜ねぇちょっとちょっと!
(芽衣)はい!うわぁ〜大きい!今年はよく出来てるわねぇ。
万里子先生〜!は〜い!〜2015/12/09(水) 13:00〜15:00
テレビ大阪1
午後のサスペンス「湯けむりドクター華岡万里子の温泉事件簿2」[字][解]
山へ時計を探しに行った万里子は、人間の頭蓋骨を発見。それは8年前に失踪した早苗の夫だった。警察は保険金目的で早苗が殺したと疑うが…。
詳細情報
番組内容
温泉療法医・華岡万里子の娘・芽衣は、友達と山奥に“やまんば”を見に出かけ、姿を消す。しかし怪我をした芽衣を助けたのは、“やまんば”こと島田早苗だった。翌日、芽衣は父親の形見の懐中時計を落として来たことに気づく。山へ時計を探しに行った万里子は、途中で人間の頭蓋骨を発見。それは8年前に失踪した早苗の夫のものだった。警察は保険金目的で早苗が殺したと疑うが…。
出演者
華岡万里子…かたせ梨乃
青田富士子…三林京子
桃井真太郎…寺門ジモン
島田秀夫…大門正明
島田喜代子…橘ユキコ
西川里佳子…今村恵子
木村民子…宇津宮雅代
華岡芽衣…尾崎千瑛
犬丸剛…渡辺哲
島田早苗…藤真利子 ほか
原作脚本
【脚本】野口ゆかり
監督・演出
【監督】水谷俊之
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
解説放送あり
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