先日、設立間もない企業(スタートアップ)がプレゼンテーションを行い、ビジネスモデルの優劣を競い合うイベントが都内で開かれた。「テッククランチ東京2015スタートアップバトル」。優勝したのはクラウド労務手続き支援の会社だったが、ボクが注目したのはAWS賞と審査員特別賞を獲得したOne Tap BUY(ワンタップバイ、東京・港区)という証券会社だ。
「今さら証券会社?」と思うかもしれないが、同社はスマートフォン(スマホ)専用の証券会社である。「何を言っているんだ? 私だってスマホで取引しているよ」と言われそうだが、それはネット証券だ。ワンタップバイはスマホのアプリで動く会社だ。「投資をもっと身近にする」というテーマに、スマホで挑んでみようと2013年10月に設立された。
既に有価証券の売買業務を認可する第1種金融取引業免許の申請が受理されている。米国ではすでにスマホ専用の証券会社があるが、日本では初めて。16年初頭にもサービスを始めるという。
いち早くデモに触れてみた。アプリを立ち上げると米国の上場株約30銘柄を扱っていた。グーグルの親会社のアルファベットやアップル、コーチ、マクドナルドなどおなじみの会社のロゴが並ぶ。ワンタップバイの林和人社長は「知らない会社の株はなかなか買われない。有名な会社だけをピックアップした」という。
その会社のことを知らない人のために、アプリでは電子書籍で会社のストーリーや事業内容を描いた漫画も用意していた。フェイスブックやアップルの創業者物語が記載されている。
多くの証券会社では売買する株数を入力しなければならないが、ワンタップバイは金額で売買できる。最大9999万円まで、1万円から株を買うことができるという。 ロゴをクリックしてみると回転式のスイッチが表示され、0万から9万円まで並んでいる。試しに1万円をクリックして、「買い」「売り」のどちらかを選択。暗証番号をいれて、確定をすれば終了だ。
ここまでたったの4タップである。ボクは株をやらないので詳細は分からないが、オンライン証券では15タップ前後の場合が多いという。その他にも円グラフで自分のポートフォリオを見て、グラフを動かすだけで株の売買ができたり、利益だけを売ったりとユニークな機能があった。
のろ・えいしろう 愛知工大工卒。学生時代から企業PRに携わり、出版社を経て日本テレビの「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」で放送作家デビュー。戦略PRコンサルタントとしても著作多数。愛知県出身、46歳。
このアプリは初心者向きかもしれない。専門家にとっては1万円ずつの売買は面倒だろうし、億単位を扱う人も不向きだ。でも、お小遣いを株に投資して取引する人にとっては楽しい。
切れ目なく稼働するクラウド型エコシステムを自社で開発。24時間、365日取引ができるようにした。「今やスマホは24時間ずっと私たちの手元にある。いつでも簡単に、売買できることが大切」と林社長はいう。
16年からはいよいよ子ども版の少額投資非課税制度(NISA)が始まる。幼いころから投資に親しめる環境づくりや資産の世代間移転を促す仕組みとして注目されている。お年玉で株取引ができる時代の到来だ。
残念なのは、米国株三十数銘柄のみしか売買できない点。日本の株ならもっと身近に感じられたと思う。デートの前に利益を現金にしたり、ちょっとした隙間で株取引をしたり。そんな時代が来るかもしれない。
[日経MJ2015年12月7日付]
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