ろーかる直送便 ナビゲーション▽サミットがやってくる〜伊勢志摩世界へのPR戦略 2015.12.07


三重県の名物や観光地がその日を待っています。
(女性)どうぞ!それは伊勢志摩サミットです。
世界が注目するサミットは…開催まであと半年。
三重県は名物食材の売り込みに乗り出しました。
しかしサミットの開催はテロの脅威と隣り合わせ。
地元には不安も広がっています。
期待と不安が入り交じる伊勢志摩サミット。
千載一遇のチャンスを生かすPR戦略を探ります。
「ナビゲーション」です。
主要国の首脳らが集まって毎年開かれている首脳会議サミット。
来年5月三重県の伊勢志摩地域で開催されます。
国内では8年ぶりの開催。
いよいよあと半年に迫っています。
では三重県の伊勢志摩地域一体どんな所なのかこちらで説明していきます。
大小さまざまな島そして複雑に入り組んだ海岸線。
これが美しい景観をつくっています。
そして伊勢えびなどの海の幸もありますよね。
また年間1,000万人が訪れる伊勢神宮もあります。
サミットの会場と想定されているのはどこなのかこちらです。
賢島です。
人口100人ほどの小さな島なんですがここで安全保障ですとかまたエネルギー問題など世界規模の課題について話し合いが行われるわけなんです。
どういった人たちが集まってくるのかこちらをご覧下さい。
今年ドイツで開かれたサミットの参加メンバーです。
ドイツのメルケル首相フランスオランド大統領またアメリカのオバマ大統領などなどそうそうたる顔ぶれです。
国にとってはまさに大事な外交の場なんですね。
そして地域にとりましては知名度を上げる絶好のチャンスなんです。
では今三重県ではどんな取り組みをしているんでしょうか?取材しました。
(女性)せ〜の…。
先月下旬三重県はあるパーティーを開きました。
招いたのは世界各国の大使らおよそ300人。
来年のサミット開催地には特産の高級食材が数多くある事を印象づけました。
サミットは地元PRの絶好のチャンス。
県が進めているのは世界に売り込める新たな食材探しです。
既にブランド化された伊勢えびや松阪牛だけでなく知られざる食材をPRしたいと考えています。
この日訪ねたのは県内の農家です。
古くから三重県だけに伝わる珍しい豆があります。
栽培が難しく一度は生産が途絶えた幻の食材です。
豊かな香りと独特の甘さはすり潰してペーストにすると更に引き立ちます。
三重県はこうした地元食材195品目をリストアップ。
カタログにまとめ外務省に提出しました。
サミットの晩餐会で使われれば首脳らが食べた食材として新たなブランドになると期待しています。
更に県はサミット向けに発掘した食材を広く知ってもらう戦略も展開しています。
この日訪ねたのは大手航空会社です。
カタログに載せた食材を多くの人が口にするよう機内食で使ってもらうのがねらいです。
ペースト状になった嬉野大豆はさまざまな料理に合うと売り込みました。
すいませんほんとに今日ありがとうございました。
多くの関心が集まるサミットまでの期間が食材の知名度を高める勝負の分かれ目と位置づけています。
高まるサミットへの期待。
しかしリスクもあります。
最も大きいのは…パリをはじめ各地で頻発するテロ事件。
主要国の首脳が集まるサミットは最高レベルの警戒が必要です。
パリでは一般市民が犠牲になっただけに地元では不安が広がっています。
テロの脅威にどう対応するのか?警察は高速道路の周辺などを徹底的に調査しています。
国や県の想定では首脳らは中部空港から伊勢志摩へヘリで移動します。
しかし悪天候などを理由に陸路を使う可能性もあります。
テロリストが潜伏しそうな場所はないか。
およそ200キロの道のりを全て調べ上げる事にしています。
…立てていければと考えております。
更に陸路での移動に備えるため地元は財政的な負担を強いられます。
道路の舗装や橋の耐震工事防犯カメラの設置などは国だけでなく三重県も負担しなければなりません。
そのために県が支出する額はおよそ60億円。
そのほとんどを借金で賄うとしています。
これについて県民は…。
ゲストです。
地域活性化についてコンサルティングをしていますブランド総合研究所の田中章雄さんです。
よろしくお願いいたします。
よろしくお願いします。
田中さんは三重県そして伊勢市のアドバイザーも務めています。
そして隣は取材に当たっている津放送局の井上浩平記者です。
よろしくお願いします。
まず最初なんですけれどもフランスで同時テロ事件が起きました。
各国首脳が来るこの伊勢志摩サミットですけれども当然対応というのは求められてきますよね。
そうですね。
警察も今回のテロ事件を受けてですね来年の伊勢志摩サミットに対して一段と警戒感を強めているのは間違いありません。
といいますのはですね伊勢志摩サミットは過激派組織ISがですね日本を標的にすると主張して以来初めて日本で開かれるサミットになるからです。
警察の幹部によりますと来年のサミットでは前回の北海道でのサミットでおよそ2万人規模の警備体制敷かれたんですがそれを上回るですね厳重警戒を敷かなければならないと話しています。
各国の首脳が来ますから当然それだけの対応が求められてくるわけなんですがさあサミットというのは実際どれぐらいの規模の会議なのかそこで前回国内で行われました北海道洞爺湖サミットこのデータをご覧頂きましょう。
これにプラスしましてそれぞれ関係者の飲食ですとか宿泊またはメディアセンターの建設などこういったものも含めて北海道経済に対する経済効果はこちら。
…に上るというふうに見られてるわけなんですね。
田中さんこうやって見ますとやはりサミットというのは経済効果が大きいという事が言えますよね。
ええ350億円大きい効果だと思うんですが実はそれよりもですねそれの数倍いや数十倍以上のPR効果があるんですね。
十分これでも効果が大きいかと思ったらPR効果というものの方がもっと大きい。
はい。
サミットが開かれるのはほんの一定期間だけなんですね。
実はその前段階にこの会場である伊勢志摩というのはどういう所であるかというような情報を世界中に発信されるんですね。
そのPR効果。
それからサミットが行われたあとにそこにこんないいものがあったという事をメディアを通じてですねたくさんの人に知られると思うんですけれどもそういうあとでの効果。
これ。
それからそれをもととした経済波及効果。
こういったものを考えますととてつもなく大きな市場だという事が言えると思いますね。
始まる前と後も含めたらほんとに長い期間の効果が見込めるという事なわけなんですね。
(田中)そうですね。
ほんの一時期だけではありません。
そうするとVTRの三重県の取り組みというのはまさにPR効果をねらったものという事が言えるんですか?そうですねこれをきっかけにたくさんの人にいや世界中に三重県の食材を知って頂こうという事ですからこれは非常にいい取り組みだと思いますね。
こういったサミットが開かれるという事でどうなんでしょう地域住民の方はこのサミットというものをどう捉えているんですか?期待とともに不安の声も聞かれるんですね。
といいますのはサミットでは首脳会議の会場周辺の立ち入りが制限されたりですねまた首脳らが車で移動する場合はその前後数十分とかですね道路が封鎖されると見られます。
また伊勢志摩地域は真珠養殖など漁業が盛んですので漁や養殖にも船の制限がされるとですね影響が出るのではないかといった不安も聞かれるんですね。
ただいつどこでどのように規制が行われるかといった情報は国もまだ何も出してないですので地元住民にとっては不安ばかりが聞かれるという現状です。
生活への影響の不安あともう一つVTRの中で財政的なところの不安という声もありましたけれどもこれは田中さんどう捉えてますか?60億円の投資…費用がかかるとありましたけれどもこれをですね費用と考えないで投資と考えればいいと思います。
費用ではなく投資…どういう意味なんでしょう?つまり伊勢志摩サミットというのは60億円かける事で世界中に非常に安全に会議が開かれる場所だっていうイメージを植え付ける事ができればこれから国際会議であるとかあるいは観光面でも安全な観光地であるというイメージがつくのでそうなるとものすごく絶大な効果が生まれると思いますね。
まさにPR効果のうちの一つといってもよろしいわけですね。
この今テロとか危ないといってるものは実はチャンスともいえると思います。
さあ国としては安全に会議を開きたいその思いがある一方でやはり地元では知名度を上げたい…そういった思惑もあります。
この2つの側面があるサミットなわけなんですけれどもその中で三重県は果たしてどういう取り組みをしていけばいいのか?前回国内で開かれました北海道にそのヒントを探りに行きました。
7年前のサミットの舞台…首脳会議が行われたホテルは今もサミット効果が続いています。
経済誌の……に選ばれ宿泊客は増加しています。
当時の福田総理大臣やブッシュ大統領らが写真撮影した場所は人気の観光スポットです。
福田さんだよ福田さん。
更に北海道で開かれる国際会議の数も増えています。
かつては年間50件ほどでしたが今では100件近くに上っています。
一方会場となったホテルから10キロ以上離れた洞爺湖町の温泉街。
首脳らが訪れる機会はありませんでした。
その結果サミットの恩恵は警備関係者の宿泊など一時的なもので終わったといいます。
実は温泉街の近くにも首脳らを招く案がありました。
首脳らを遊覧船に乗せる洞爺湖クルーズを計画していました。
実現すれば洞爺湖の美しい景色が世界中に報道され国際的な観光地に生まれ変わると期待していたのです。
しかし国がテロや事故が起きるリスクを問題視。
計画は幻に終わりました。
最大の観光資源である湖の景色を十分に発信できなかった洞爺湖町。
首脳会議の会場として脚光を浴びたホテルとは明暗が分かれました。
地元PRに必要不可欠な首脳らとの接点。
成否の鍵は国の安全対策との両立です。
その難しい課題にチャレンジした人がいます。
はいどうぞはい。
会場のホテルで料理顧問を務めていた…サミットをきっかけに北海道の食材の良さや生産者のこだわりを世界に伝えられないかと考えていました。
そこで中道さんは各国のファーストレディーと北海道の生産者が触れ合える場所を作ろうと思いつきます。
実現すればその様子が世界中に報道されると考えました。
イメージしたのはフランスの…店が所狭しと立ち並び生産者と訪れる人の間に自然と触れ合いが生まれます。
中道さんのこだわりは夫人たちが自然と立ち止まりたくなる楽しいマルシェでした。
その実現のために通路を狭くして本場のようなにぎわいを演出しようと考えていました。
しかしこのアイデアも国から却下されます。
通路が狭いと警護担当者が動きにくく夫人の安全を確保できないというのです。
これに対し中道さんは通路を広げた上にぎわいはエキストラでつくり出す案を提示。
交渉は2か月にわたりました。
そして迎えたサミット当日。
中道さんが実現させた…夫人たちとの触れ合いを通して世界中に発信された北海道の魅力。
中道さんは安全を優先する国とうまく折り合いをつける事がサミットでPRを成功させる鍵だと感じています。
いちシェフである中道さんが国と交渉を重ねてそれも2か月の交渉でようやく実現させたこの北のまるしぇの取り組みどうご覧になりましたか?すばらしい取り組みだと思いますね。
やはり地域の良さ特に食材であるとかそういったものを伝えるのはこういった実際にそこで仕事をしている人生産者であるとかシェフであるとかこういった人たちの生の声なんですね。
それをやはりいろんな制限がある中でどういう事をやればそれが伝えられるかという事を考えるこれはすばらしい事だと思います。
あのいろんな人たちの間に要人を入れる特に今回は各国首脳の夫人を入れるというこれは国にとっては大変な事なんでしょうけどね。
大変だと思いますね。
ただその人たちがどのように反応するかとともにですねその食材がどんな魅力があるかという事を一緒に伝えていくというのがある点はすばらしいですね。
国として安全に会議を進めていきたい中でもこういった取り組みはできるという事なんですね。
ええできると思いますね。
ただ残念なのはその首脳の人たちが実はターゲットにしてるように見えてしまうんですけども実は一番ターゲットにしたいのは彼らじゃなくてですねその先にいるメディアの先にいる実は世界中の消費者じゃないかなと思うんですね。
その視点がもしも強調されればその情報をきっかけとしてたくさんの人に北海道の魅力を伝える事ができればもっと効果が出たと思いますね。
今田中さんの方から評価と課題というところも見えてきましたけれどもそうなるとこういった民間での取り組みというのは三重県内伊勢志摩サミットに向けてどうなのかというところなんですが…。
三重県の場合ですが県庁を中心にどうしても行政中心になってるのが現状です。
サミットを追い風に地域の知名度を上げようという地元の民間の動きはまだまだ限定的で活発になってないのを見受けられます。
ただなんとか関わりたいという思いはあるもののどうしていいのか分からないという方が多いのも実態ではないかと思います。
田中さんあと半年に迫っていますけどこの半年って時間は長いんですか?短いんですか?短いともいえますね。
といいますのは実はサミットの会期だけじゃなくてその前にたくさんのメディアの方がいらっしゃるわけですね。
伊勢志摩というのはどんなところであるかって事を伝えるんですがその時に魅力を伝える事をしていかないと実際のサミットの会期中はサミットの中の情報だけになってしまうのでその前に会場である情報をいかに伝えるかこれすごく重要だと思います。
しかも鍵になってくるのはどう各国メディアに対して訴えていくかってところなんですか?例えば先ほどクルーズの話がありましたがクルーズももし首脳が乗ってもらえないのであればそこにメディアの人たちを実際に招待して彼らが実際に体験してそしてこれはすばらしいと思えばもっともっとあそこで諦めてしまうんじゃなくてもっともっとその情報として世界に伝わったんじゃないかなと思うんですね。
伝えたら向こうにもたくさんの人が見ているわけですよね。
そう思います。
だからそういった事も考えてちゃんと準備をしてそしてなるべくそのチャンスを自分たちで見つけていくって事を市民が自分たちでやっていく。
これが必要だと思いますね。
そうですね。
となると私たちもそういったメディアの人たちが来るんだって心の準備が必要ですね。
(田中)はいそう思います。
なるほど。
どれだけじゃあこれから海外にいろんな人たちに向けて情報を発信していくのかヒントを頂きました。
今日はどうもありがとうございました。
ありがとうございました。
2015/12/07(月) 15:15〜15:41
NHK総合1・神戸
ろーかる直送便 ナビゲーション▽サミットがやってくる〜伊勢志摩世界へのPR戦略[字]

来年5月に三重で開かれるサミット。地域の魅力を世界に発信できる一方、自治体は莫大な経済負担を強いられます。経済効果を高めるためどう準備を進めるべきか考えます。

詳細情報
番組内容
来年5月に三重県で開かれるサミット。県では受け入れ体制づくりが急ピッチで進んでいます。開催期間中には関係者やメディアなど、のべ3万人が訪れると見込まれていて、地域の魅力を世界にアピールできると地元の期待は高まっています。一方、自治体が莫大な経済負担を強いられることに対して懸念の声もあります。サミットの経済効果を高めるために地元はどう準備を進めていくべきか考えます。
出演者
【出演】ブランド総合研究所地域活性化アドバイザー…田中章雄,NHK津放送局記者…井上浩平,【キャスター】永井伸一

ジャンル :
ニュース/報道 – ローカル・地域
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:20598(0x5076)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: