Updated: Tokyo  2015/12/10 19:07  |  New York  2015/12/10 05:07  |  London  2015/12/10 10:07
 

法人税29.97%へ下げ、来年度にドイツ並みに-与党が税制改正大綱

Share Google チェック

    (ブルームバーグ):自民党税制調査会は10日午前、党本部の総会で2016年度税制改正大綱案を取りまとめた。安倍政権が掲げる国内総生産(GDP)600兆円の達成に向け、法人実効税率を29%台に引き下げた上で18年度もさらに下げる。

国・地方の法人実効税率は現在の32.11%から16年度に29.97%、17年度は据え置いて18年度に29.74%と2段階で下げる。企業が過去の赤字を利益と相殺できる欠損金繰越控除の縮小や設備投資減税の廃止、赤字企業にも課税する法人事業税(地方税)の外形標準課税の拡充で財源を確保するメドがついた。税負担が重くなる中堅赤字企業には3年間納税を一部免除する。

安倍政権は企業の国際競争力を高めるため、法人実効税率を国際的にそん色ない水準に引き下げる方針を掲げていた。伸び悩む海外からの直接投資増加も狙う甘利明経済再生相は具体的にドイツ(29.66%)並みへの下げを表明していた。今回の改正で日本の税率は米国(カリフォルニア州40.75%)やフランス(33.33%)を下回り、ドイツに近づく。

日本経済団体連合会の榊原定征会長は11月26日の官民対話で、設備投資を18年度に15年度から約10兆円増の81.7兆円とする数値目標を提示。実現には法人実効税率の引き下げなどの事業環境整備が必要とし、来年度から29%台とするよう求めていた。来年度春闘に向けて収益が拡大した企業に対し、今年を上回る賃上げの実現を促す考えも示していた。

今年度税制改正では「15年度を初年度とし、以降数年で、法人実効税率を20%台まで引き下げることを目指す」とし、前年度の34.62%から32.11%に引き下げられた。財務省は財源難を理由に来年度の大幅な引き下げに難色を示したが、安倍政権は企業収益の拡大を後押しすることで賃金の引き上げや設備投資の増加につながるとし、来年度からの実施に踏み込んだ。

新税導入

17年度に予定されている消費税率10%への引き上げに向けた対策の1つとして自動車の購入時の税負担を軽減するための新税の導入も固まった。低燃料車を対象に、登録車は非課税、1%、2%、3%の4段階とし、燃費の良い車に低い税率を適用する。非課税車は電気自動車や燃料電池車などを想定。これに伴い、現行の自動車取得税(地方税)は17年3月末で廃止され、税収規模も縮小される。

増税時に税率を現行の8%に維持する軽減税率については生鮮食品に限定すべきだとする自民党と加工食品も含めるべきだと主張する公明党で調整が難航している。共同通信によると両党は約1兆円の財源が必要な生鮮食品・加工食品全体を対象とする方向で最終調整に入った。幹事長が調整を続け、10日にも合意する見通しという。

記事についての記者への問い合わせ先:東京 下土井京子 kshimodoi@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先: Brett Miller bmiller30@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net 上野英治郎, 広川高史

更新日時: 2015/12/10 13:34 JST

 
 
 
最新のマーケット情報を携帯でご覧いただけます。ぜひご利用ください。