スイスで60年ぶりの自動車レース開催となるはずだったフォーミュラ E ルガーノ ePrix の開催が延期されました。理由は開催のための契約金を用意できなかったためとみられます。 スイス連邦は、1970年代にフェラーリ F1 チームなどでいぶし銀の活躍を見せたクレイ・レガツォーニをはじめ、近年ではフォーミュラ E 第1シーズンでチャンピオン争いを繰り広げたセバスチャン・ブエミ、インディカーで鳴らした女性ドライバーシモーナ・デ・シルベストロなどコンスタントにトップドライバーを輩出している国です。

またトップカテゴリーに進出するチームも多く、1980年代の国際 F3000 で活躍したオニックスおよびブルンチーム、耐久レースからF1に進出したザウバー、最近では WEC のレベリオン・レーシングなどが活躍しています。

ところが、スイスでは1955年以降、F1ドころかあらゆるモータースポーツが開催されていません(1982年にF1スイスGPが開催されているものの、これは仏ディジョンサーキットでの開催)。その理由は1955年のル・マン24時間レースでメルセデス・ベンツがクラッシュ、マシンの一部が観客席に飛び込んで83名が死亡、120名もの死傷者を出す大事故を起こしたため。

事故を重く見たスイス連邦議会は、自動車レースの開催を禁止する法律を作り(ドライバーやチームが他国で開催されるレースに参加することは認めるものの)、2015年初頭に フォーミュラ E に限っての開催を認める法案が可決するまで、国内でのレース開催は禁止されていました。
 
 
60年のブランクを経て、ようやくモータースポーツが再開されることになったスイスですが、肝心のフォーミュラ E のカレンダーにその名前はまだあがっていません。8月にはイタリア国境に近いルガーノの街での開催に加えてスポンサーも決まったと伝えられてはいました。ところが10月から翌7月にかけての第2シーズンが開幕しても、スイスラウンドについては進捗がありませんでした。

そして12月8日、フォーミュラ E の CEO アレハンドロ・アガグは、第2シーズンにおけるスイスでのレース開催を中止すると発表しました。理由は主催者がレース開催のために必要な1000万ユーロ(約13億円)を支払わなかったため。具体的にはコースを設置するために公開の場での協議を重ねる必要が出てきたとのこと。言ってしまえば"お役所仕事"が遅々として進まなかったようです。

スイス国内のモータースポーツファンには残念な話ですが、アレハンドロ・アガグはスイスではチューリッヒ北部の街からも開催の申し込みがあることを明かしており、第3シーズン以降の開催の可能性を示しています。

ちなみにフォーミュラEはスイスからセバスチャン・ブエミとシモーナ・デ・シルベストロの2名がドライバーとして、またトヨタF1で活躍したイタリア人ドライバーヤルノ・トゥルーリが結成したトゥルーリチームもチーム本拠地をスイスに置いて参戦中です。

下は11月7日のフォーミュラ E マレーシア戦。次戦は12月19日、ウルグアイにて開催です。

スイス、60年ぶりの自動車レース開催ならず。開催権料支払われず、フォーミュラE第2シーズンでの開催断念

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