【巨人】「クルーズ先生」新風を巻き起こす!ライバル内野手は歓迎ムード
教えて、クルーズ先生―。巨人が獲得に乗り出した前ロッテのルイス・クルーズ内野手(31)について9日、同じ内野手陣から歓迎の声が相次いだ。入団が決まれば定位置争いは激化するが、脇谷、寺内、中井は華麗な守備を目で見て、吸収する構えだ。日本野球を2年経験した助っ人は、打撃でも若手への助言が期待される。攻、守で由伸巨人を活性化し、新風を巻き起こす。
クルーズ効果が早くも表れた。巨人が獲得を目指しているとの報道が出たこの日、内野のレギュラーを目指す男たちは、G球場で引き締まった表情で汗を流した。堅守強打の助っ人は強力なライバルになる。対抗意識ムキ出しかと思いきや、意外にも歓迎ムードが高まっていた。
寺内「守備がうまい。捕るのが柔らかい。学ぶことは多いと思う。絶対にプラスになる」
中井「内野を複数守るし、守備がうまい。打撃でもコンスタントに結果を出す。ライバルが増えますが、自分のやることは変わらない」
脇谷「いい選手。守備もメチャクチャうまい。勉強になると思う」
今季、チームは交流戦でロッテに3連敗。いずれも「4番・二塁」で出場したクルーズは、3試合連続安打を放った。初戦では決勝打と活躍し、マイコラスにシーズン最後の黒星をつけた。守備も華麗で正確。巨人ナインに強烈な印象を残した。この男が同僚となれば、若手の生きた教材となることは間違いない。
近年、巨人の外国人野手は、日本でプレー経験のない選手が多かった。「国内組」で記憶に新しいのが、11年まで在籍したラミレス(現DeNA監督)だ。自身の豊富な経験を生かし、打撃不振に陥った坂本らに的確な助言を送った。クルーズは性格も温厚。二遊間を守れる助っ人は巨人の歴史でも異色の存在だ。攻守でラミちゃんのような先生役としても、大きな期待がかかる。
今季、二塁のゴールデン・グラブ賞を受賞したクルーズの加入が正式に決まれば、内野のサバイバルは激化の一途をたどる。由伸監督は、来季のレギュラーを白紙とする方針だが、実績のある片岡や村田、FAで復帰した脇谷もスタメンで出られる保証はない。寺内や若手の中井、岡本には一層のアピールが求められる。様々な面での「クルーズ効果」は計り知れない。
チームは来季、リーグV奪回と4年ぶりの日本一を目指す。寺内は「井端さんや片岡さんが巨人に来た時も、勉強になる機会が増えた。今回も絶対にプラスになると思います。反骨心も大事ですが、一番の目的は日本一。キャンプでしっかり勝負できるように、準備するだけです」と強調した。
火花を散らして競争する一方、技術を吸収するところではしたたかに吸収する―。おのずとハイレベルの生存競争が繰り広げられそうだ。日米で実績を残したクルーズが、巨人再建のキーマンになる。(片岡 優帆)
◆最近の主な「G助っ人先生」 現DeNA監督のラミレスは、ヤクルト時代にシーズン200安打を達成した実績もあり、巨人でも若手に慕われた。坂本や長野にタイミングの取り方を伝授し、成長を手助けした。また、今季のマシソンは戸根、高木勇のルーキーコンビを遠征先で積極的に食事に誘い、失敗を引きずらないプラス思考の大切さなどを伝えた。巨人では言語の壁を越え、助っ人も若手に成功へのノウハウを教える土壌が整っている。