作家・野坂昭如さんが死去 9日に心不全で 85歳
「焼け跡闇市派」を自称し、小説「火垂(ほた)るの墓」などで直木賞を受賞、作詞家やタレントとしても活躍した作家で元参院議員の野坂昭如(のさか・あきゆき)さんが9日午後10時37分ごろ、心不全のため東京都内の病院で死去した。85歳。神奈川県出身。葬儀は近親者の密葬で行い、告別式を後日営む予定。喪主は妻暘子(ようこ)さん。
2003年に脳梗塞で倒れ、闘病を続けていた。
1945年、少年時代を過ごした神戸で空襲に遭い、その後、妹が亡くなった。早大文学部中退。このころからコント作家、CMソング作詞家などで活躍し、63年に「おもちゃのチャチャチャ」で日本レコード大賞童謡賞を受けた。
小説「エロ事師(ごとし)たち」が三島由紀夫らに称賛されて本格的に作家デビュー。68年には、米軍による占領を題材にした「アメリカひじき」と、戦災の体験を基に書いた「火垂るの墓」で直木賞。「焼け跡闇市派」として社会批判を展開した。
サングラスをかけた独自の風貌で知られ、永六輔さん、小沢昭一さんと「中年御三家」を名乗ってコンサートを開いたり、ウイスキーのテレビCMで「みんな悩んで大きくなった」と歌ったりするなど、破天荒な昭和一桁世代として、タレント活動でも人気を集めた。
雑誌「面白半分」の編集長として掲載した「四畳半襖(ふすま)の下張(したばり)」がわいせつ文書として摘発され、80年に最高裁で罰金刑が確定した。
83年に二院クラブから参院選に初当選。同年、田中角栄元首相に対抗して衆院・旧新潟3区に立候補したが、落選した。
晩年まで「戦争童話集」などを通じて、戦争の悲惨さを訴えた。小説「同心円」で吉川英治文学賞、「文壇」とそれまでの業績で泉鏡花文学賞。
関係者によると、9日午後9時すぎ、東京都杉並区の自宅から病院へ搬送され、病院で死亡が確認された。妻暘子さんが119番したという。